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ビーナス

デジタル大辞泉

ビーナス(Venus)
ローマ神話菜園の女神ウェヌスの英語名。のち、ギリシャ神話の美と愛の神アフロディテと同一視された。
金星(きんせい)のこと。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

ビーナス【Venus】
ローマの女神ウェヌスVenusの英語名。ウェヌスはもとはローマの菜園を守る小女神であったが,のちにギリシアの女神アフロディテと同一視され,愛と美をつかさどる女神の総称となった。
[旧石器時代の地母神崇拝]
 ビーナスの原型およびビーナスにまつわる神話は,太古の地母神崇拝に起源をもっている。植物を生ぜしめる大地を地母神(大母神)とみなす思想は,古代世界各地に見られる。そのような思想を美術的に表現した地母神像として有名なものには,旧石器時代にさかのぼる〈ウィレンドルフWillendorfのビーナス〉や〈レスピューグLespugueのビーナス〉があり,他にも同種のものが無数に出土している。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ビーナス
びーなす
Venus

ギリシア神話の女神アフロディテAphroditeがローマ神話のウェヌスVenusと同一視され、それが英語に移されたもの。古来から美しい女性の象徴として絵画や彫刻の主題に多く取り上げられてきている。

[前田正明]

彫刻

もともと豊饒(ほうじょう)と再生という原始信仰に基づく小アジア系の大地母神イシュタルやアシュタルテの影響から生まれ、ギリシア各地に伝播(でんぱ)され信仰された女神である。したがって、キクラデスの偶像やキプロス出土のきわめて初期の像では、女神のほとんどすべてが、胸部と下腹部を誇張した、全裸の姿で表されている。しかし、紀元前7世紀後半から前6世紀末にわたるギリシア美術のアルカイック期においては、イオニア風のキトンをまとい、片手に女神の象徴的持ち物であるハトやリンゴを持つつつましい姿に変わる。この着衣と裸体の二つの相異なる表現は、女神の特性を跡づけ、その変遷を理解するうえで興味深い問題である。プラトンが『饗宴(きょうえん)』のなかで女神の具有する特性を「ウラニア」(天上的な)と「パンデモス」(地上的な)とに分けているように、ビーナスは一方において清楚高邁(せいそこうまい)な天上の女神でありながら、他方では官能的な愛欲の女神である。有名なルドビージの玉座の正面浮彫りは『アフロディテ・アナデュオメネ』(海から出るアフロディテ)を表し、その両側面に、ベールで身を包み香をたくつつましい女神の姿と、全裸で楽しげに笛を吹く悦楽の女神の姿が刻まれている。

 古典前期の前5世紀には、女神は他の神々と同様、高貴な精神に貫かれた厳正な姿で表されたが、この世紀の末には、薄い衣を透かして女神の肉体の美しさを表現した、いわゆる『ウェヌス・ゲネトリクス』(豊饒の女神)の像が制作された。女神を天上的な神性から地上的な美のなかに表現した最初の彫刻家は、前4世紀(古典後期)の巨匠プラクシテレスである。彼の有名な『クニドスのアフロディテ』は、女神を全裸の姿で表現した最初の傑作で、ここにおいて女神は人間感情の対象となり、その優美な姿は以後のビーナス像の原型とされた。さらにヘレニスティック期に至るとしだいに地上的・現実的となり、ドイダルセスDoidalsesの『うずくまるビーナス』や、水に映る自分の後ろ姿に見入る作者不詳の『美しい尻(しり)のビーナス』などが制作された。ビーナス像は官能の悦(よろこ)びに酔う自由奔放な姿態となり、ついには男女両性(ヘルメスとアフロディテ)を具有したヘルマフロディトスHermaphroditosの像が制作されるに至った。また、これらの極端な官能美の追求に対し、古典様式への復帰の機運が高まり、『ミロのビーナス』や『メディチのビーナス』が制作されるなど、この時代はビーナス像において美術史上まれにみる多様な発展を示した。ローマ時代のビーナス像は、このヘレニスティック期の様式を踏襲発展させたものである。

[前田正明]

絵画

ビーナスを描いたギリシア絵画の原作は残存せず、ポンペイその他から出土したローマ時代の絵画中に若干みいだされるにすぎないが、絵画にみられる女神像も、初期の時代には、おそらく彫刻と同様な発展を示したと推定される。たとえば、前4世紀のものとされる鏡箱の蓋(ふた)(ロンドン、大英博物館)に線刻された牧神パンと遊ぶアフロディテは、上半身の衣を脱ぎ豊かな胸部をあらわにしているし、ポンペイ出土のフレスコでは全裸で表されている。女神を全裸の美しい姿で表すという表現形式は、ヘレニスティック期以後しだいに一般化し、ローマ時代はもちろん、禁欲的な中世キリスト教世界においても「創世記」のイブなどの像を通して受け継がれていた。

 古代復興の機運が高まった14、5世紀になると、女神はかつてヘレニスティック期の彫刻にみられたように、ルネサンス絵画のなかにふたたびその優美と官能の姿を発展させた。ボッティチェッリの名作『ビーナスの誕生』(フィレンツェ、ウフィツィ美術館)はアフロス(海の泡)から生まれた女神が貝に乗って西風に送られてキプロス島に運ばれ、そこでホーラ(季節の女神)によって美しく装われて神々の座に導かれたという誕生譚(たん)を描いている。中央に立つ女神は清純な処女の美しさを思わせるが、このポーズはフィレンツェのメディチ家に伝わるビーナス、すなわちヘレニスティック期のいわゆる「ウェヌス・プディカ」(恥じらうビーナス)型を示している。これに対し、港湾商業都市として繁栄したベネチアでは現実生活へのあこがれがいっそう強く、女神は官能美の対象として表現された。たとえばジョルジョーネは『眠れるビーナス』で自然の大気の中で花のような肉体を画面いっぱいに横たえた姿を描き、ティツィアーノは『ウルビーノのビーナス』や『ビーナスとキューピッド』などで豊満な肉体をベッドに横たえる姿のビーナスを多く描いている。このような傾向は時代が進むにつれていっそう顕著になっている。

[前田正明]

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精選版 日本国語大辞典

ビーナス
(Venus)
[一] ギリシア神話の愛と美の女神アフロディテのラテン名ウェヌスの英語読み。多くの場合キューピッドを伴った裸体の女性として表現される。ボッティチェリの「ビーナスの誕生」、ヘレニズム期の「ミロのビーナス」などが有名。また転じて、美女をいう。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一〇「よしんばウビイナス〔弁天さま〕を見たからっても」
[二] 金星。
※美しい星(1962)〈三島由紀夫〉二「金星(ヴィーナス)の純潔とは一つの逆説である」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ビーナス

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