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ピグー税【ぴぐーぜい】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ピグー税
ぴぐーぜい
Pigovian tax

環境破壊、薬害、アスベスト禍のように、市場経済がうまく働かず、経済活動が社会に悪影響を及ぼす場合、その是正のために企業などの経済主体に課す税。イギリスの経済学者、アーサー・ピグーが主著『厚生経済学』The Economics of Welfareで提唱。地球温暖化対策としてヨーロッパなどで導入された環境税や炭素税はピグー税の考え方に基づいている。

 消費や生産など特定の経済活動が市場を介さず、他の経済活動にマイナスの影響を及ぼすことを外部不経済とよぶ。19世紀後半、イギリスでは蒸気機関車の出す火の粉による森林や家屋の焼失が典型的な外部不経済として社会問題になった。ピグー税は経済活動に必要な費用(私的限界費用)と社会的被害相当額(社会的限界費用)の差額を経済活動に税として課す手法をとる。一般に、外部不経済を是正する手段としては、(1)税制、(2)補助金、(3)一律の規制、(4)民間の当事者間で解決をめざす「コースの定理」(経済学者コースが提起)、の四つの手法がある。このうち税制をピグー税とよぶ。環境問題を例にとると、税制として環境税、補助金にはエコカーや太陽光発電への補助金、一律規制には法令や条例による環境規制、コースの定理には排出権取引が該当する。

 環境経済学では、ピグー税がもっとも効率的な外部不経済の是正策であると説明している。しかしピグー税を実際に導入するには、社会的被害額を正確に算出する必要がある。また課税のための行政コストがかかり、即効性にも欠ける。このため実際には各国の環境税や炭素税はすべてピグー税の理論ではなく、税率を試行錯誤的に調整して目標水準を達成する税率を求めるというボーモル・オーツ税Baumol-Oates tax(経済学者ウィリアム・ボーモルとウォーレス・オーツが提唱)の考え方に基づいて導入されている。

[編集部]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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