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ピューリタン革命/権利請願【ぴゅーりたんかくめいけんりせいがん】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ピューリタン革命/権利請願
ぴゅーりたんかくめいけんりせいがん

「本国会に召集された僧俗の貴族および庶民により、国王陛下に捧呈され、これに対して陛下が国会全体に勅答を給うた請願」
  至尊なる国王陛下に
 (1) われらの至高の主たる国王陛下に対し、国会に召集された僧俗の貴族および庶民は、謹んでつぎのように奏上したてまつる。エドワード1世の治世に作られた通称「承諾なき賦課金に関する法律」(Statutum de Tallagio non Concedendo)と呼ばれる法律によって、大司教、司教、伯、バロン、騎士、市民、その他わが王国の庶民中の自由人、の快諾と同意がなければ、国王またはその相続人は、賦課金(tallage)または援助金(aid)を課してはならない、と宣言され、規定されている。またエドワード3世治世第25年に開かれた国会によって、今後何人も、国王に対する貸付をその意に反して強制されることはない、何となれば、このような貸付〔の強制〕は、理性とこの国〔でみとめられている〕特権に反するからである、と宣言され、規定されている。またわが王国の他の法律によって、何人も上納金(benevolence)と呼ばれている負担もしくは賦課または同様の負担を課せられないと規定されている。また前述の諸法律その他わが王国の正しい諸法律によって、陛下の臣民は、国会の一般的承諾にもとづいて定められたのでないかぎり、税金、賦課金、援助金、その他同種の負担の支払を強制されることはない、という自由をうけついでいるのである。

 (2) しかし、それにもかかわらず、最近諸州のいろいろの奉行にあてられた・さまざまの訓令付の・授権状が出され、それによって、陛下の人民は、さまざまの場所で集合を命ぜられ、一定の額の金銭を陛下に貸与するよう要請された。かつ、数多くの者が、そうすることを拒むと、わが国の法律のみとめていない宣誓を強制され、陛下の枢密院その他の場所に出頭出席する義務を負わされた。またほかに、そのために監禁、勾留(こうりゅう)、その他いろいろな方法で、苦難を加えられ、心の平静を奪われた者がある。また、わが国の法律および自由な慣習に反し、その他種々の負担が、陛下または枢密院からの命令または指示によって、州知事、副知事、点呼管理官、治安判事、その他の官吏によって、陛下の人民に賦課されている。

 (3) また「イングランドの自由の大憲章」と呼ばれる法律〔=マグナ・カルタ〕によって、自由人は、その同輩の合法的裁判によるか、国法によるのでなければ、逮捕、監禁され、その自由保有地、自由、もしくはその自由な慣習を奪われ、法外放置もしくは追放をうけ、またはその他いかなる方法によっても侵害されることはない、と定めている。

 (4) またエドワード3世治世第28年に、国会によって、いかなる身分または地位にあるを問わず、何人も、法の正当な手続によって答弁の機会を与えられることなしに、その土地もしくは保有地から外に逐(お)われ、逮捕、監禁され、相続権を否認され、または死にいたらしめられることはない、と宣言され、規定された。

 (5) にもかかわらず、前述の諸法律その他以上の目的のために定められた陛下の王国の正しい諸法律の趣旨に反し、最近多数の陛下の臣民が、なんら理由を示されずに監禁された。しかも、陛下の発せられた人身保護令状により、裁判所の命ずるところにしたがいかれらを釈放〔すべきか否かを決定〕するために、かれらが陛下の裁判官の前に出頭せしめられ、〔裁判官が〕その身柄拘束者にその拘束の理由を明示せよと命じた場合にも、陛下の枢密院の諸卿の副署のある陛下の特別の命令によって拘束がなされているという以外に、なんら理由を明示しえないのに、なお、答弁することのできるような〔明確な内容をもった〕法にしたがった訴追はなんらなされぬままに、かれらはそれぞれの監獄に連れもどされたのである。

 (6) また、近来王国の諸州に、陸海兵士の大部隊が方々に派遣され、王国の法と慣習とに反して、住民は、その意に反して、かれらをその家に迎え、かつ迷惑にもかれらの逗留(とうりゅう)を許すことを強制されており、人民の大きな苦悩の種となっている。

 (7) また、エドワード3世治世第25年に、国会によって、何人も、大憲章および国法の定めるところに反して、生命または肢体を裁判によって奪われることはない、と宣言され規定されている。また、前述の大憲章その他この陛下の王国の法律によって、わが王国の慣習または国会制定法によって確立されたこの陛下の王国の法によるのでなければ、人を死刑に処してはならない、とされている。また、いかなる種類の犯罪人でも、この陛下の王国の法律にしたがって適用さるべき訴訟手続の適用を除外されないし、この陛下の王国の法律にしたがって科せらるべき刑罰以外のものを科せられないのである。それにもかかわらず、最近、陛下の国璽を捺したさまざまの授権状が発せられ、それによって、ある人々が、つぎのような権能と権限とをもつ奉行に指名され、任命された。その権能および権限とは、陸海兵士その他かれらとともに動く放縦な人々で、殺人罪、強盗罪、重罪、叛逆罪、その他すべての非行または軽罪を犯した者に対し、国内で、軍法によって訴追をなし、戦時中軍隊で用いられる軍法の認める簡易な手続と順序によって、このような犯罪人の審理と有罪の宣言を行い、軍法にしたがってかれらに対し死刑を執行し死にいたらしめる、という権能と権限である。

 (8) 前記の授権状を口実に、数人の陛下の臣民が、前記の役人中の数人の者によりて死にいたらしめられた。この場合、もしかれらが国の法律によっても死刑に価するのであれば、かれらはこの〔国の〕法律によって裁判され処刑さるべきであって、他の法律によって裁判され処刑さるべきではない。

 (9) また、さまざまの暴虐な犯罪人が、この授権状にかこつけて除外例を求め、この陛下の王国の法律によりかれらが当然うくべき刑罰を免れている。というのは、陛下のいろいろな役人や司法官が、不当にも、このような犯罪人は、軍法により、前述の授権状を根拠としてのみ、処罰し得るのだという口実の下に、この陛下の国の法律によってこれらの犯罪人の訴追をすることを拒否したり、差し控えたりしたからである。このような授権状、その他同様の性質をもったものは、すべて前記のこの陛下の王国の諸法律とまさにまったく相反するものである。

 (10) したがって、国会に召集された僧俗の貴族および庶民は、謹んで至尊なる陛下につぎのことを嘆願したてまつる。すなわち、今後何人も、国会制定法による一般的同意なしには、いかなる贈与、貸付、上納金、税金、その他同種の負担をなし、またはそれに応ずるよう強制されないこと。何人も、このことに関し、またはこれを拒否したことに関して、答弁、前記のような宣誓、もしくは出頭を求められること、勾留されること、その他いろいろな方法で、苦痛を加えられ、心の平静を奪われること、はないこと。自由人は、前記(訳者註――5を指すものと思われる。)のような方法によって拘禁または抑留されないこと。陛下がかしこくも前記〔6〕陸海兵士を立退かせたまい、陛下の人民が将来それによってわずらわされることがないこと。軍法による裁判〔を命ずる〕前記〔7〕のような授権状が撤回され、無効とされること。今後、同様の性質をもつ授権状が、前記のように執行されることを目的として発給されることは――それがいかなる人に対してであるにせよ――ないこと。というのは、それを口実に、陛下の臣民が、国の法律および特権に反して、危害を加えられたり、死にいたらしめられたりしないためである。

 (11) 至尊なる陛下に対したてまつり、国会に召集された僧俗の貴族および庶民は、これらすべてのことを、わが国の法律によるかれらの権利および自由として、うやうやしく嘆願したてまつる。また陛下が、前記諸事項にかかげられた・陛下の民に害となるような・裁定、行為、訴訟手続は、今後それを実行したり、先例としたりせぬことを、宣誓したまわらんことをうやうやしく嘆願したてまつる。また、陛下が、かしこくも陛下の民の一そうの安楽と安全とのために、前記諸事項について、陛下の官吏および家臣が、陛下の栄誉とこの国の繁栄とを尊重して、わが王国の法律にしたがって陛下のために勤務するようにとの聖慮を宣示たまわらんことを、うやうやしく嘆願したてまつる。


 請願は、1628年6月2日に〔国王に〕示され、これに対してつぎのような勅答があった。

  国王は、わが国の法律と慣習にしたがって正義が行われることを欲し、また国王の臣民が、その正しい権利と自由に反して不正または圧制を〔うけたと〕訴える原因となるようなことが全然ないよう、法律が正当に執行されることを欲する。国王は、この臣民の正しい権利と自由の保持については、国王の大権の保持についてと同じくらいに、義務を感ずるものである。と。

 6月7日、慣例の方式で勅答が与えられた。すなわち、「裁可」〔字義通りには「希望された通りになさるべし」〕と。

     高木八尺他編『人権宣言集』(岩波文庫)所収、田中英夫訳による

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