●ピラカンサ
デジタル大辞泉
ピラカンサ(〈ラテン〉Pyracantha)
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世界大百科事典 第2版
ピラカンサ【fire thorn】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ピラカンサ
ぴらかんさ
[学] Pyracantha
バラ科(APG分類:バラ科)トキワサンザシ属の総称。ヨーロッパ南東部からヒマラヤ、中国西南部に6種分布する。日本ではタチバナモドキ、トキワサンザシ、カザンデマリがよく栽培され、これらを含めて一般にピラカンサの名でよんでいる。タチバナモドキP. angustifolia (Fr.) Schneiderはホソバノトキワサンザシともいい、中国西南部原産で明治の中ごろ渡来した。常緑低木で高さ2~3メートル。根元から枝を分け、短枝の先は鋭い刺(とげ)になる。葉は互生し、線状長楕円(ちょうだえん)形で長さ3~5センチメートル、先は丸みを帯び、基部はくさび形、縁(へり)にほとんど鋸歯(きょし)がない。革質で表面は濃緑色で無毛、裏面は灰白色で軟毛を密生する。5~6月、散房状花序をつくり、径約8ミリメートルの白色花を5~15個開く。花序および萼片(がくへん)は線毛を密生し、花弁は5枚で倒卵形。なし状果は扁平(へんぺい)な球形で径約7ミリメートル、頂に萼片が残る。晩秋に橙黄(とうこう)色に熟し、冬の間もついている。名は、橙黄色の果実をタチバナになぞらえていう。トキワサンザシP. coccinea (L.) Roem.は南ヨーロッパからアジア西部原産で明治の中ごろ渡来した。常緑大低木で、短枝の先は刺になる。葉は互生し、狭倒卵形または倒卵形で長さ2~4センチメートル、先はやや丸く、縁に低くて鈍い鋸歯がある。裏面は淡緑色で、基部の縁以外は毛がない。5~6月、白色の5弁花を開く。果実は扁平な球形、鮮紅色に熟す。カザンデマリP. crenulata (Roxb.) Roem.はヒマラヤトキワサンザシ、インドトキワサンザシともいい、ヒマラヤから中国西部原産で昭和初年に渡来した。常緑大低木で、短枝は刺になる。葉は互生し、倒披針(とうひしん)形または狭長楕円形で長さ2~7センチメートル、トキワサンザシより細く、先は鈍くとがるか、もしくは丸く、縁に細かい鋸歯があって両面は毛がない。5~6月、白色の5弁花を開く。果実は扁平な球形、晩秋に鮮紅色に熟す。タチバナモドキは生け垣に多く用いられ、トキワサンザシ、カザンデマリは庭木、盆栽、いけ花などにして果実を観賞する。
[小林義雄 2020年1月21日]
栽培
やや耐寒性があり、関東地方以西に植えられる。日当りでよく育ち、土質はとくに選ばない。成長は速く、毎年剪定(せんてい)をして樹形を整える。繁殖は挿木、実生(みしょう)による。
[小林義雄 2020年1月21日]
文化史
中国雲南省の蘭茂(らんも)(1397―1476)の著した『滇南本草(しんなんほんぞう)』に、赤陽子(せきようし)の名で、果実が産後の子宮出血、虫下し、目をよくするなどの薬として記載がある。ピラカンサの現在の中国名は、ラテン語の属名に由来する火棘(ひら)であるが、『滇南本草』には救軍粮(きゅうぐんろう)、赤果(せっか)、純陽子(じゅんようし)、火把果(ひはっか)などの異名が掲げられている。救軍粮の名を檀萃(だんすい)の『農部瑣録(さろく)』は、武侯が南征のおり、軍士が果実を食べたからであると述べている。
[湯浅浩史 2020年1月21日]
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精選版 日本国語大辞典
ピラカンサ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ピラカンサ
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