●ファン・デル・ワールスの状態方程式【ファン・デル・ワールスのじょうたいほうていしき】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ファン・デル・ワールスの状態方程式
ファン・デル・ワールスのじょうたいほうていしき
van der Waals' equation of state
(p+a/V2)(V-b)=RT
a ,b は気体の分子間力によって決る定数,R は気体定数である。この状態方程式は実在気体の理想気体からの偏差をある程度まで説明でき,気相 - 液相間の転移や臨界状態の研究に用いられた。図は種々の温度に対する等温曲線で,点線の内側は気体と液体が共存する領域である。曲線tについてみると,まず気体領域で体積を減じると圧力が徐々に増し,A 点に達する。実際の変化は直線 ABC の方向に進み,この間は気体の液化が進んで気体と液体とが共存している。全部が液化してしまう点が C である。液体は体積を少し縮小するのにも大きな力が必要であるから,圧力が急激に増大する。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ファン・デル・ワールスの状態方程式
ふぁんでるわーるすのじょうたいほうていしき
van der Waals' equation of state
オランダの物理学者ファン・デル・ワールスが1873年に提唱した状態方程式。理想気体の状態方程式は圧力をP、体積をV、絶対温度をT、粒子数N(mol数)、気体定数をRとすればPV=nRTと表される。しかし、実際の気体は、温度を下げるか、あるいは圧力を上げると液化する。この気相・液相相転移を説明するために、気体分子が有限の大きさをもつこと、また気体分子間には引力が働くことを考慮した状態方程式
がファン・デル・ワールス方程式とよばれる。ここでa,bは個々の気体に特有な定数である。aは粒子間引力による実効的な圧力上昇、またbは気体分子の大きさによる実効的な体積減少を表している。温度が低くなると、圧力が体積の非単調関数となる。そのとき、一つの圧力に対して複数個の体積がこの方程式の解として現れる。ちょうど非単調関数になり始める温度を臨界温度といい、臨界温度、その温度での圧力、体積は
で与えられる。これらで規格化した圧力、体積、温度
を用いると、ファン・デル・ワールス方程式はa,bによらない形
となる。このように規格化された量を用いれば、すべての実在気体は同一の関係で表される。異なる気体で同じ規格化された値をもつ状態は「対応状態」とよばれる。
[宮下精二]
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