●フィッショントラック法【フィッショントラックほう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
フィッショントラック法
フィッショントラックほう
fission track method
年代測定法の一つ。天然または人工の鉱物には必ず微量のウラン 238が存在する。ウラン 238は,自然に核分裂を起し,その核分裂片の通過した跡が飛跡として記録される。この飛跡は非常に安定で,常温では保存することができる。したがって鉱物中のウランの原子数と飛跡の数とから,年代測定ができる。しかし材質によっては 300~700℃に熱されると約1時間で飛跡が消滅してしまう。そのため火山噴出物や人造ガラスなどは,この性質を利用して年代を決定することができる。たとえば遺跡で火を受けた黒曜石を使えば,黒曜石の噴出時の年代ではなく,それ以後人為的もしくは自然的に加熱された年代,すなわち遺跡の年代を知ることができる。
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
デジタル大辞泉
フィッショントラック‐ほう〔‐ハフ〕【フィッショントラック法】
放射年代測定の一。鉱物中に含まれるウラン238が崩壊すると、高エネルギーの核分裂片が生じ、火山ガラスやジルコンの結晶中に飛跡を残す。この現象を利用し、飛跡の数から鉱物の年代を測定できる。数万年から数億年の年代測定が可能。フィッショントラック年代測定法。FT法。
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
フィッショントラックほう【フィッショントラック法 fission track dating method】
ウランの放射性同位体238Uの自発核分裂(崩壊定数λsf=7~8×10-17/年)で生じる飛跡(フィッショントラック)の数を顕微鏡下で計数し,Uの量との関係から年代を求める方法。数万年前から数億年前の年代測定に有効。単位面積中の飛跡の数ρsは単位体積試料中の238Uの初期の量と年代t0に比例する。全飛跡のうち計数される飛跡の割合(計数効率)を238αとすると,ρs=(λsf・t0)・238U・238αとなる。
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
「フィッショントラック法」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●フィッショントラック法の関連情報