●フラクタル【ふらくたる】
知恵蔵
フラクタル
(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
フラクタル(fractal)
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世界大百科事典 第2版
フラクタル【fractal】
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
フラクタル
fractal
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)
フラクタル
ふらくたる
自然界には、たとえばリアス式海岸の海岸線や、空に浮かぶ雲の形、河川の本支流の形、動物の体内に広がっている血管の分布の形、あるいは樹木の枝の形など、数学の初等幾何で扱う円や三角形、球、直方体などの整った形とは異なって不規則で複雑な図形が至る所に存在する。数学の古典的な微分法は、どんなに複雑なようにみえる形(曲線)であっても微分が可能である、つまり、全体としては曲がっていても、それを十分に細かく分解していけば、細分された部分はやがて直線と見分けがつかないほどになってしまう、いいかえれば十分に細分された微小部分は直線で近似的に表すことができる、という前提のもとに発展してきた。ところが前記のような自然界にみられる形はその図形を分解していって、その一部を取り出して拡大してみると、元の全体の図形と同じような複雑な図形を依然としてもっている。
いま、どのように分解してもその部分が元の全体と同じ形を備えている図形を数学的に考える。このつねに元の形の縮小した形を備えているという性質を自己相似性という。自己相似性を備えた図形は、その微小部分が線分に近似できないから微分が不可能である。フラクタルとはそのような自己相似性を備え、どこでも微分が定義できないような形(集合)をいい、それを扱う数学をフラクタル幾何学という。
このことばはフランスのマンデルブロB.B.Mandelbrot(1924― )がつくったもので、語源はラテン語のfractasであり、「破片」「分割」を意味する。
フラクタルは定量的にはフラクタル次元(相似性次元)で表される。この次元は普通にいう一次元(線)、二次元(平面)、三次元(立体)といった整数で表される次元と異なり、非整数の値も含む次元であり、一般的には次元の高い図形のほうがより複雑で不規則な図形といえる。フラクタル図形は、現在、コンピュータで容易に描くことができ、コンピュータ・グラフィクスの分野で発展した観がある。事実、フラクタルは微分不可能であるため、コンピュータによる解析やシミュレーションが不可欠であり、コンピュータとともに発展した幾何学といえる。その対象には前記のような自然界のさまざまな形のほか、天体の分布、地震の発生頻度、ランダムウォーク、流体や高分子構造などきわめて広範囲であり、その研究と成果が注目される。
[栗原 裕]
『高安秀樹著『フラクタル』(1986・朝倉書店)』
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典
フラクタル
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化学辞典 第2版
フラクタル
フラクタル
fractal
1960年代にフランスの数学者Benoit B.Mandelbrotにより開拓された数学概念で,自己相似性を示す集合のこと.フラクタル集合Fは相似である各要素 Fi の合併集合であるが,Fi も同様に相似な要素に分解され,これが無限に繰り返される.たとえば,正三角形において各辺の二等分点を直線で結べば4個の正三角形ができる.中央の正三角形を除く残りの3個の正三角形に対して同様の操作を行い,この操作を無限に繰り返すと,入れ子構造の不思議な図形ができる(Sierpiński gasket).これも一つのフラクタルである.複雑に入り込んだ多孔質物質の構造や,眺望した峰々の様子など,自然界にもフラクタルに似た図形が見られる.
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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