●フレスコ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
フレスコ
fresco painting
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デジタル大辞泉
フレスコ(〈イタリア〉fresco)
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デジタル大辞泉プラス
フレスコ
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世界大百科事典 第2版
フレスコ【fresco】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
フレスコ
ふれすこ
fresco イタリア語
affresco イタリア語
13世紀末から16世紀中葉にかけて、イタリアで盛んに行われた壁画技法。フレスコは英語の「フレッシュ」に相当し、新鮮な(まだぬれている)石灰漆喰(しっくい)の壁に描く技法からの名称。したがってフレスコの語を壁画一般に用いることは避けるべきで、「真のフレスコ」(ブオン・フレスコbuonfresco)技法は、乾いた壁(セッコsecco)に描くセッコ技法はもちろん、ある程度乾いた壁に描くメッツォ(メゾ)・フレスコmezzo fresco技法とも画然と区別すべきである。真のフレスコ技法では、原則として顔料は水(ときには石灰水)だけで溶かれ、通常の絵の具のような接着剤やつなぎ材としてのメディウムは使用しない。フレスコ画の顔料は、石灰漆喰の化学変化による乾燥硬化で壁面と一体化する。ぬれた石灰漆喰の上に塗られた顔料は漆喰壁に浸透して絵の具層を形成する。つまり、石灰漆喰(水酸化カルシウムと水)は空気中の炭酸ガスと化合する際、水分を放出して石灰岩(炭酸カルシウム)の状態に変化し、壁と一体化した非水溶性の強靭(きょうじん)な絵の具層をつくるのである。
[長谷川三郎]
フレスコ画の制作
(1)アリッチオarriccio 石壁の上に砂を混ぜた石灰漆喰を塗る。
(2)シノピアsinopia 木炭で構図を描き、オーカー(天然黄色顔料)を薄く溶いて塗り重ねたのち、シノピアとよばれる赤色土性顔料で素描する。このシノピア技法は13世紀中葉から14世紀中葉、および16世紀末から17世紀初めによく行われた。
(3)イントーナコintonaco 絵を描くための最上層の地塗り。目の細かい砂や大理石粉を混ぜた石灰漆喰を塗る。この地塗りは、1日で画家が描き終えられる一定の部分(ジョルナータgiornataという)だけに、絵を描く直前に塗られる。
(4)シノピアが描かれない場合には、イントーナコのあとで構図を転写する。これには次の二つがある。〔a〕スポルベロspolvero 原寸大の構図を素描した紙(カルトン)の輪郭線に点線状に小孔をあけ、イントーナコに当て、上から木炭粉末の入った布袋をたたき付けて転写する方法。15世紀中葉から後半にかけてもっともよく使われた転写法。〔b〕カルトンを当てて鉄筆で輪郭線をトレースし、イントーナコ上にへこんだ線を刻み付けるようにして転写する方法。16世紀に多用された。
(5)水(または石灰水)で溶いた顔料を用いて絵を描く。顔料は耐アルカリ性の天然土性顔料を選ぶ。画家は自分の力量や細部の難易度に応じて決定したジョルナータを、的確に時間内に完成することが条件となる。改変や加筆は許されず、タッチを誤るとイントーナコの段階からやり直さなければならない。
フレスコ技法は、バザーリのことばにあるように、卓越した技量を備えた大画家にこそふさわしい「男性的」で「確固たる」絵画技法である。また色彩は明るく透明感にあふれて完全にマットな美しい画面をつくり、経年変化によって格調高い深い輝きを帯びるなど、真にモニュメンタルな絵画の制作に適した最高の壁画技法である。ジョットのアレーナ礼拝堂(パドバ)の壁画、ピエロ・デッラ・フランチェスカのサン・フランチェスコ聖堂(アレッツォ)の壁画、そしてミケランジェロのシスティナ礼拝堂(バチカン)の天井画、14、15、16世紀を代表するこれらのフレスコ画連作の壮麗さと色彩の鮮明な美しさは、フレスコ技法の特質を十分に物語っている。「もっとも美しくもっとも精緻(せいち)な」(チェンニーノ・チェンニーニ)、そして「もっとも永続的な」(バザーリ)技法とたたえられたフレスコ技法も、ルネサンス絵画とともに衰退した。その理由として、〔1〕画家がぬれた壁に色を塗る際、乾いたときの色調を見ることができない、〔2〕修正加筆が許されない、〔3〕ジョルナータに従って手順を踏んで描き進めねばならず、一つの仕事に画家は長期間拘束される、などがあげられる。すなわち、熟練を要する困難な技法であったこと、加えて経済的にも不利だったため、時代の変化とともに、画家たちはフレスコ技法を顧みなくなったのである。
[長谷川三郎]
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精選版 日本国語大辞典
フレスコ
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