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ブラック【ぶらっく】

日本大百科全書(ニッポニカ)

ブラック(Joseph Black)
ぶらっく
Joseph Black
(1728―1799)
スコットランドの医師、化学者。アイルランド出身でボルドー在住のワイン商人の息子。ベルファストで初等教育を受けたのち、グラスゴーおよびエジンバラ大学で学ぶ。グラスゴー大学解剖・植物学教授(1756)、エジンバラ大学化学教授(1766)。優れた教師として名声を博す。学生ではなかったが、グラスゴー大学器械修理人であったJ・ワットも教えを受けた一人である。熱学の分野で潜熱と比熱の概念を確立したが(1761~1766年ころ)、博士論文中の化学部門を拡張した「マグネシアアルバ、生石灰、および他のアルカリ物質に関する実験」(1756)は歴史に残る論文となった。結石の治療に用いられていたカ性アルカリにかえてブラックはマグネシアアルバ(塩基性炭酸マグネシウム)を取り上げた。(かしょう)により顕著な重量減があり、生成物は酸で発泡しない。これを酸に溶解し、真珠灰(炭酸カリウム)で処理すると、出発物質がほぼ定量的に得られた。この重量の増減はある種の「空気」の出入に起因すると洞察して彼は、それが普通の空気とは異なることを化学的に確かめた。それは「固定空気」(炭酸ガス)と命名された。こうして異種気体の存在が初めて知られ、以後20年のうちに、水素、窒素、酸素などの気体の発見が相次いだのである。ブラックのこの業績は、気体化学のみならず定量化学の創始であるといえよう。[肱岡義人]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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