●ブリキ
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ブリキ
tin plate
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世界大百科事典 第2版
ブリキ【tinplate】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ブリキ
ぶりき
tin plate 英語
bliki オランダ語
スズをめっきした薄鉄板。「錻力」「鉄葉」の当て字が用いられた。スズの歴史は非常に古く、紀元前4000年ごろに銅‐スズ合金(青銅)がつくられ、紀元後25年に鉄器にスズめっきが施されていた。スズめっきが近代技術として発達を始めたのは13世紀のボヘミア地方においてであるといわれる。古くから使われてきた理由は、スズの融点が低いために後述の溶融法で容易に美しい光沢のめっきが可能であり、そのうえ鉄の弱点である腐食性を補うことができるからである。
スズめっき法は溶融法と電気めっき法とに大別される。スズの融点は231.9℃と低く、初期においてはもっぱら溶融法が行われたが、今日では厚めっきが要求される酸性内容物の缶など特別な場合を除き、ほとんど電気めっき法で行われている。その理由は、溶融めっき法の2分の1以下の薄く均一なめっきが容易にでき、スズ層の薄さによる耐食性の低下を合成樹脂塗料の進歩で十分補えるようになったためである。原板としては極(ごく)軟鋼薄板が用いられる。冷間圧延板はアルカリ洗浄と酸洗いされ、600~700℃で光輝焼きなましされる。数%の調質圧延を行ってからふたたび洗浄と酸洗いを行い、めっき浴に入れる。めっき液にはスズ酸ソーダ、カ性ソーダ液やフェノールスルホン酸スズなどを用いる。めっきを終了した板はクロム酸など酸化性溶液をくぐり、薄く緻密(ちみつ)なスズ酸化膜を形成し、その後塗油されて巻き取られる。ブリキは元来スズ自体の潤滑性と油膜の存在により絞り加工が容易であるが、厳しい加工を施す場合ほどあらかじめよく焼きなまされた原板が使用される。スズの使用量をさらに節約するために、冷延鋼板の表面にきわめて薄いクロムめっきを施した無スズ鉄板がキャンスーパーなどの名称で生産され、食品や飲料の容器に利用されている。この耐食性を補う意味をも兼ねて、缶になってのちに合成樹脂塗装を施される。これはブリキに比べて、はんだ付け性が劣る。スズ‐鉛合金めっきにより、はんだ付け性が向上する。
[須藤 一]
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精選版 日本国語大辞典
ブリキ
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化学辞典 第2版
ブリキ
ブリキ
tin plate
炭素量0.1質量% 以下の薄い軟鋼板の表面にスズをめっきしてすぐれた耐食性を与えたもの.オランダ語のblikが語源.めっきの方法に溶融めっきと電気めっきとがある.溶融めっきでは0.1~0.4 mm 程度の厚さの原板をまず酸洗して表面の酸化膜を除去したのち,中和水洗し,180~200 ℃ に調節された10% NH4Cl-ZnCl2の融解フラックス層を通して310~330 ℃ のスズ浴に入れスズを付着させる.出口側スズ浴の上を覆っている厚いパーム油のなかを通る間に3対の仕上ロールで余分のスズはしぼられて均一な厚さのめっき層が得られる.めっき層の厚さは1.5 μm 程度で,鉄との界面には0.3 μm くらいの合金層(主としてFeSn2)が形成される.上記の溶融めっきは高価なスズの使用量が多いのに対し,電気めっきによる電気ブリキは0.4 μm 程度の薄いめっきができ,表裏の厚さを変えることもできるので,溶融めっきは電気めっきに置き換えられる傾向にある.ブリキの耐食性は非常にすぐれているが,スズは鉄よりイオン化傾向が小さいため,表面にきずができて鋼板が露出すると腐食が促進される.成形加工が容易で毒性の心配もないので,食用缶(缶づめ用や防湿用食品缶)や石油缶などに広く用いられている.
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