●プトレマイオス
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
プトレマイオス
Ptolemaios, Klaudios
[没]170頃
2世紀頃活躍したギリシアの天文学者,数学者,地理学者。英語ではトレミー Ptolemyという。アレクサンドリアで天文観測を行なった。生地はプトレメイス・ヘルミイといわれる。彼以前の天文学研究の集大成『アルマゲスト』を著し,地球中心の宇宙体系と,離心円,周転円の組み合わせで諸惑星の運動を説明する精密な天文学理論を完成させた。特にエカントと呼ばれる工夫を導入することにより,従来の理論の精度を飛躍的に向上させた。またヒッパルコスの星表を発展させ 1000以上の恒星を含む星表を作成した。彼の天文学理論はその後 16世紀にいたるまで絶大な影響を残した。幾何学者としても優れており,三角法の研究,精密な弦の表の作成,射影幾何学,空間の次元論,平行線公理の研究などが知られる。また地理学上の業績は大著『地理学便覧』から知られ,ヒッパルコスの業績を発展させ,地中海沿岸諸国各地の経緯度を定めた地図を作成したほか,地図の円錐投影法,天体観測に基づく補正法などを示し,後代に長く影響を与えた。ほかに光の屈折理論などを扱った光学や,音楽の研究も残しており,力学の研究も行なったといわれている。
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デジタル大辞泉
プトレマイオス(Klaudios Ptolemaios)
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世界大百科事典 第2版
プトレマイオス【Ptolemaios Klaudios】
アレクサンドリアで活躍した数学者,天文・占星学者,地理学者。ラテン名Ptolemaeus Claudius。英語読みのトレミーPtolemyとしても知られる。127‐141年にアレクサンドリアで天体観測をしていたという事実以外に,個人的情報はほとんど知られない。その主著《アルマゲスト》は地球中心体系に基づくもっとも精緻(せいち)な天文理論として,コペルニクス時代まで,古代,ビザンティン,イスラム,中世ヨーロッパの天文学の中心となったが,このほか,天文書としては,《アルマゲスト》のなかの計算用の数表だけをまとめた《簡易数表》,大部な《アルマゲスト》の縮冊版ともいうべき《惑星仮説》,あるいは占星術的内容をもった《テトラビブロス》(原題は〈占星術上の意味付け〉を意味するアポテレスマティカだが,4巻からなるので,テトラビブロス=四書と通称される)などのほか,地理学書としての《地理学入門》や音楽学・音響学書といえる《ハルモニア論》,純粋の数学書(例えば《ストイケイア論》)や光学(視覚学)に関する著作などがあったといわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
プトレマイオス
ぷとれまいおす
Klaudios Ptolemaios
2世紀前半に活躍したギリシアの天文学者。天動説の完成者。英語ではトレミーPtolemyとよぶ。伝記も残らず生没年は不詳。彼の名は、著書『数学大集成』(アルマゲスト)をはじめとする業績によって知られている。『アルマゲスト』は、ルネサンスまで、西洋の宇宙観を支配したが、そこに構想された宇宙像は、周転円説といわれる構造体系であって、ピタゴラスの等速円運動と、エウドクソスの離心円と、アポロニオスの周円転とを合成したものであった。
プトレマイオスはもっぱら惑星現象における位置と光度との変化を幾何学的に説明することを試みた。その思考方法も観測資料も、紀元前2世紀にロードス島で活躍した天文学者ヒッパルコスの業績を受け継ぎ、取り入れたといわれるが、独自に三角法の計算表を作成したり、四分儀をはじめとする観測器械を考案したり、月の運行の不等速や光の屈折や大気差などの観測、発見も行っている。
このほかにプトレマイオスには『地理学』と『テトラビブリオス』(四元の書)なる著述がある。前者には緯度・経度を付した円錐(えんすい)投影図法の地図が描かれ、後世、コロンブスの航海に用いられた。また後者は占星術の原典として中世を経て、今日に至るまでその分野では使用されるという。なお、彼の自然に対する哲学思想は諸先達の折衷学派に属する。
[島村福太郎]
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精選版 日本国語大辞典
プトレマイオス
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旺文社世界史事典 三訂版
プトレマイオス
Ptolemaios
ヘレニズム時代にアレクサンドリアで活躍したギリシアの天文学者・地理学者。英語名はトレミー(Ptolemy)
その天動説は,コペルニクスによる地動説が現れるまで,中世の宇宙観を支配した。また地球の大きさの測定や経緯線の設置は,15世紀の探検航海に無二の指針を与えた。著書は『天文学大全(アルマゲスト)』『地理学大全』。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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