●プルトニウム
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
プルトニウム
plutonium
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知恵蔵
プルトニウム
(渥美好司 朝日新聞記者 / 2008年)
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デジタル大辞泉
プルトニウム(plutonium)
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監修:松村明
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世界大百科事典 第2版
プルトニウム【plutonium】
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知恵蔵mini
プルトニウム
(2018-8-2)
出典:朝日新聞出版
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日本大百科全書(ニッポニカ)
プルトニウム
ぷるとにうむ
plutonium
アクチノイドに属する放射性元素の一つ。原子番号94、元素記号Pu。ウラン鉱物中にウラン238と自発核分裂で生成した中性子との反応で生じた質量数239の同位体がわずかに存在するが、その事実が知られる以前は完全な人工合成元素と考えられていた。人工元素として初めて肉眼で認識しうる量が生産された元素でもある。1940年カリフォルニア大学の研究グループがウラン238の重水素衝撃で質量数238の同位体を得たが、その後、原子爆弾開発計画によって原子炉中で大量に生産されるようになった。ウラン、ネプツニウムがそれぞれ天王星、海王星から命名されたのに倣い、冥王(めいおう)星Plutoから命名された。多くの同位体があるが、半減期の長いα(アルファ)崩壊核種が多く、質量数244のものの約8000万年が最長で、大量に生産される239のもので約2万4000年である。
[岩本振武]
性質と用途
銀白色の金属となる単体には結晶構造の異なる6種の同素体があり、そのうち2種は温度上昇で収縮する特異な性質を示す。自己の発する崩壊エネルギーで温度が自発的に上昇する危険性があるので、小塊にして冷却保存される。ウランに似て、+Ⅲから+Ⅴまでの酸化状態でさまざまな化合物をつくり、それらの物理・化学的性質も詳細に調べられている。
天然ウランの99.3%を占めるウラン238は現用核分裂炉では燃料とならないが、それが中性子を吸収して生成するプルトニウム239は広いエネルギー範囲の中性子と反応して容易に核分裂する核燃料であり、その効率からも、ウラン238の有効利用の面からも重要な核燃料である。現用炉の使用済み燃料からも再処理によって回収されている。一方、プルトニウムはもっとも危険な物質で、その原因は、核分裂が容易なこと、自発昇温性であること、α崩壊性であることなどにある。プルトニウムを扱うプラントでは、臨界量のプルトニウムが凝集しないように細心の注意が払われている。
[岩本振武]
毒性
プルトニウムの毒性は主として肝臓および骨髄造血部への濃縮保留とその場所でのα崩壊に起因する。α粒子そのものは健康な皮膚を通過しないが、含プルトニウム粉末・溶液は傷、消化器、呼吸器から体内に侵入する危険性がある。人体内許容基準はプルトニウム換算0.6マイクログラム、大気許容基準は30ピコグラム/立方メートルで、ほかのあらゆる毒物よりも低く設定されている。
[岩本振武]
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精選版 日本国語大辞典
プルトニウム
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化学辞典 第2版
プルトニウム
プルトニウム
plutonium
Pu.原子番号94の元素.人工放射性超ウラン元素.電子配置[Rn]5f 67s2の周期表3族アクチノイド元素.質量数228~247の20種の同位体核種が知られている.1940年に,G.T. Seaborg(シーボーグ)グループがカリフォルニア大学バークレー校の60 in サイクロトロンで加速した重水素核 D+ でウラン 238U を衝撃して,238U(d,2n)238Np β崩壊→ 238Pu のように質量数238の核種を得た.ウラン天王星,ネプツニウム海王星についで冥王星(プルトー)から命名された.
244Pu がもっとも長寿命で半減期8.00×107 y(α崩壊).もっとも重要な 239Pu は半減期2.411×104 y(α崩壊).238U の中性子照射により,2回のβ崩壊を経て
238U→ 239U→ 239Np→ 239Pu
のようにして得られる.α粒子エネルギーは5.155~5.105 MeV.分岐率3×10-10 % で自発核分裂も起こす.100万kW 級発電炉1基で 238U から年間約200 kg 生成する.核分裂に対する臨界質量は圧縮度でも異なるが,反射体なしで10 kg 程度,核弾頭には2~4 kg の兵器級プルトニウム(93% 239Pu)を搭載しているといわれる.銀白色の金属.密度19.84 g cm-3(α態25 ℃)で非常に重い.融点641 ℃,沸点3232 ℃.第一イオン化エネルギー5.8 eV.常磁性.金属は複雑な結晶構造転移を示し,合計六つの変態がある.α(単斜晶系)122 ℃ 以下,β(体心単斜)122~200 ℃,γ(斜方晶系)200~310 ℃,δ(面心立方構造)310~452 ℃,δ′(正方晶系)452~480 ℃,ε(体心立方構造)480 ℃ 以上.熱伝導性,電気伝導性は高くはない.比抵抗145 μΩ cm.金属はPuF4,PuO2,PuCl3をCaなどのアルカリ土類金属で還元すると得られる.濃塩酸,希硫酸,過塩素酸に可溶.酸化数2~7の酸化状態が知られ,もっとも安定な酸化状態は4.酸化数2はPuH2,PuOなどが報じられている.高酸化数の化合物ほど加水分解しやすく,自己の放出するα線で酸化還元反応を受けやすい.ハロゲン化物,硝酸塩以外は水に難溶.水溶液は酸化数に応じて,鮮やかな色を帯びる.PuⅢ(青紫色),PuⅣ(黄褐色),PuⅤ O2+(桃色),PuⅥ O22+(桃橙色),PuⅦ O53-(青色),PuF3(紫色),PuF4(赤褐色),PuF6(赤褐色),ほかのハロゲン化物,PuO,PuO2(黄褐色),Pu2O3(黒色),硫化物,窒化物などが知られる.
金属および化合物ともに有毒で骨,肺などの臓器に障害を与える.ただし,重金属としての毒性よりも放射能障害の可能性のほうがはるかに高い.不溶性の酸化物以外の 239Pu 化合物の空気中濃度限度7×10-7 Bq/cm3,排水中の濃度限度4×10-3 Bq/cm3(放射線障害防止令・同位元素の数量等を定める件).用途は核兵器および核燃料用.238Pu(α崩壊,半減期87.7 y)は宇宙用原子力電池に使われる.かつて月面探査のアポロ計画や人体に埋め込むペースメーカー用にも使用された.[CAS 7440-07-5][CAS 13842-83-6:PuF3][CAS 13709-56-3:PuF4][CAS 13693-06-6:PuF6][CAS 12035-83-5:PuO][CAS 12059-95-9:PuO2][CAS 12036-34-9:Pu2O3]
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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