●ヘッベル
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ヘッベル
Hebbel, Christian Friedrich
[没]1863.12.13. ウィーン
ドイツの詩人,劇作家。煉瓦職人の子として,赤貧のなかで成長,父の死後 14歳で自立した。保護者に招かれハンブルクに行き,そこでお針子エリーゼ・レンジングの愛情と献身的な扶助を受けた。 1836年よりハイデルベルク,次いでミュンヘン大学に学び,作家生活に入った。彼の名をドイツ中に広めた悲劇『ユーディット』 Judith (1840) ,『ゲノフェーファ』 Genoveva (43) ,『マリア・マグダレーネ』 Maria Magdalene (44) を発表。 46年2人の子までなしたエリーゼを捨て,女優クリスティーネ・エングハウスと結婚した。『ヘローデスとマリアムネ』 Herodes und Mariamne (50) ,『ギューゲスと彼の指輪』 Gyges und sein Ring (56) などの悲劇は,個人の意志と世界の意志の対立を描く。ほかに中世ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』を戯曲化した3部作『ニーベルンゲン族』 Die Nibelungen (62) など。
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デジタル大辞泉
ヘッベル(Christian Friedrich Hebbel)
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世界大百科事典 第2版
ヘッベル【Friedrich Hebbel】
ドイツの悲劇作家。古典主義とリアリズムの過渡期に位置する。ウェッセルブーレン(ホルシュタイン地方)の生れ。貧困のため22歳近くなってからハンブルクに勉学に出た。ハイデルベルク,ミュンヘンの大学で学び,1839年ハンブルクに帰還。処女作《ユーディットJudith》(1841)で名まえを知られた。旧約聖書外典の女主人公にフロイトにも通じる鋭い心理解釈を加えたものだが,もう一人の主人公ホロフェルネスをニーチェのツァラトゥストラの先取りとすることもできる。
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ヘッベル
へっべる
Christian Friedrich Hebbel
(1813―1863)
ドイツの劇作家。北ドイツのディトマルシェンの貧しい左官の長男として生まれ、小学校卒業後、土地の教区管理所で従僕兼書記として働きながら、独学で文学的教養を培った。23歳のとき、ハンブルクの篤志家たちの知遇を得る。ハンブルクで1年勉強したあと、ハイデルベルク、ミュンヘンと遊学を試みたが、詩作にひかれる彼はついに学業を断念し、当時もっともてっとり早く金を稼ぐ手段であった劇作にとりかかる。こうして処女作『ユーディット』(1840)を完成する。これは同年上演され、一部の人々から賞賛されたが、劇作家として生活していけるだけの名声は得られなかった。翌年、中世の聖女伝説に基づく悲劇『ゲノフェーファ』を完成。2年後、デンマーク王から旅行扶助金を給与され、パリ、ローマ、ナポリを歴訪し、1845年ウィーンに落ち着き、ようやく執筆に専念する。
このころから運が向いてきて、すでに2年前完成していた市民悲劇『マリア・マグダレーネ』(1844)がケーニヒスベルクで初演されたのをきっかけに、各地で彼の作品が上演されるようになった。保守的なウィーンの劇場が彼に門戸を開いたのは、3年後のブルク劇場での『マリア・マグダレーネ』が最初であった。これ以後彼は、ウィーンを代表する劇作家の1人として、次々に悲劇『ヘローデスとマリアムネ』(1849初演)、悲劇『アグネス・ベルナウアー』(1852)、悲劇『ギューゲスとその指輪』(1856)、史劇『ニーベルンゲンの歌』(1861初演)などの話題作を発表した。ドイツ演劇史上、彼は古典派と近代派との橋渡し役として位置づけられているが、激しい情熱と純粋な理念とに衝(つ)き動かされる劇的人間の造型は、近代演劇の先駆というよりは近代演劇そのものである。彼の激動の生涯を克明に記述した日記は、ゴンクール兄弟、アミエルのそれに匹敵する優れた文学作品である。
[谷口 茂]
『実吉捷郎訳『ヘッベル短編集』(岩波文庫)』
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ヘッベル
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