●ベネチア国際映画祭【ベネチアこくさいえいがさい】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ベネチア国際映画祭
ベネチアこくさいえいがさい
Mostra Internazionale d'Arte Cinematografica di Venezia
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
知恵蔵
ベネチア国際映画祭
36年にはムッソリーニ賞が設定されるなど、独裁政治家だったムッソリーニのプロバガンダとして映画祭が開催されるようになる。大戦中は規模が縮小し、参加国も激減した。40年から42年までイタリア=ドイツ映画祭として開催。その後戦争のために中止。46年に再開してからは毎年開かれている。
49年から最高賞を金獅子賞とするが、69年にコンペティション部門が廃止。しかし、71年にはジョン・フォード、72年にはチャールズ・チャップリンに、優れた作品を生み出し続けた監督を称える栄誉金獅子賞が贈られ、少しずつイメージ回復を遂げた。80年になりようやくコンペティション部門と金獅子賞が復活。うやむやだった開催数も81年を第38回と定め、体制を整えて威光を取り戻していった。
本賞の種類は、最高賞の金獅子賞、監督に与えられる銀獅子賞、審査員特別賞、ヴォルピ杯(男優賞、女優賞)、新人俳優に贈られるマルチェロ・マストロヤンニ賞、オゼッラ賞(撮影賞、脚本賞)、特別獅子賞、新人監督賞、栄誉金獅子賞、今後の活躍が期待される監督への監督・ばんざい!賞。本賞の他、協賛団体の出す賞もある。
日本映画の主な受賞作としては、第12回(1951年)に黒澤明監督の「羅生門」が日本人監督として初めて金獅子賞を受賞。第19回(1958年)には監督・稲垣浩、主演・三船敏郎の「無法松の一生」がやはり金獅子賞を得た。さらに、第54回(1997年)には北野武監督が「HANA-BI」で金獅子賞を、第62回(2005年)には宮崎駿監督が栄誉金獅子賞を受賞。第65回(2008年)は北野武監督の「アキレスと亀」、宮崎駿監督の「崖(がけ)の上のポニョ」、押井守監督の「スカイ・クロラ」がコンぺティション部門にノミネートされた。いずれも高い評価を得たが、受賞は逃した。
(富岡亜紀子 ライター / 2008年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
デジタル大辞泉
ベネチア‐こくさいえいがさい〔‐コクサイエイグワサイ〕【ベネチア国際映画祭】
[補説]ベネチア国際映画祭で最高賞(金獅子賞)を受賞した日本映画
受賞年 | 受賞作品 | 監督名 |
1951年 | 「羅生門」 | 黒沢明 |
1958年 | 「無法松の一生」 | 稲垣浩 |
1997年 | 「HANA-BI」 | 北野武 |
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界の祭り・イベントガイド
ベネチアこくさいえいがさい【ベネチア国際映画祭】
出典:講談社
(C)Kodansha 2011.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
日本大百科全書(ニッポニカ)
ベネチア国際映画祭
べねちあこくさいえいがさい
Mostra internazionale d’arte cinematografica
イタリアのベネチアのリド島で、毎年8月末から9月初頭に開催される国際映画祭。1932年に隔年開催のベネチア・ビエンナーレの映画部門として始まり、1934年から各年開催へと移行した。しだいにファシスト政権のプロパガンダ的な性格が強まり、第二次世界大戦中の1943年から1945年までは中断を余儀なくされた。また戦後の1969年から1979年までは、フランスの五月革命の余波で、コンクール部門が停止されるなど、しばしば政治によって翻弄(ほんろう)される悲運に見舞われた。国際映画製作者連盟が公認し、コンクール部門を有する映画祭としては、もっとも長い歴史を誇り、後発のカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並んで世界三大映画祭に数えられている。現在はコンクール部門のほかに、世界映画の新しい潮流を紹介する「映画の地平(オリッゾンティ)」や実績のある作家の映画を上映する「コンクール外」などの部門を有する。第1等である金獅子賞の受賞作に与えられる翼を持った獅子のトロフィーは、町の守護聖人である聖マルコを象徴している。
1950年代には、黒澤明(くろさわあきら)の『羅生門(らしょうもん)』(1950)に金獅子賞、溝口健二(みぞぐちけんじ)の『西鶴(さいかく)一代女』(1952)、『雨月物語』(1953)、『山椒大夫(さんしょうだゆう)』(1954)に3年連続して銀獅子賞を与え、日本映画の時代劇が国際的に注目されるきっかけをつくった。現代劇では、稲垣浩(いながきひろし)の『無法松の一生』(1958)と北野武の『HANA-BI』(1997)に金獅子賞を授与しているほか、塚本晋也(つかもとしんや)(1960― )や三池崇史(みいけたかし)(1960― )、園子温(そのしおん)(1961― )など気鋭の監督の作品を積極的に紹介している。
[西村安弘]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「ベネチア国際映画祭」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●ベネチア国際映画祭の関連情報