@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

ベンゼン

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ベンゼン
benzene
ベンゾールともいう。化学式 C6H6 。融点 5.5℃,沸点 80.1℃,比重 0.88の無色の液体。 1825年 M.ファラデーによって石炭ガス中から発見された。石炭乾留によって得られるタール軽油の成分として製造されていたが,現在では石油から生産されているものが大部分である。見かけ上3個の不飽和結合をもつ六員環式炭化水素であるが,ベンゼン環とも呼ばれるこの六員環は非常に安定で,付加反応や還元反応など二重結合に関する反応が起りにくく,置換反応が起りやすい。このためベンゼン環をもつ化合物は芳香族化合物として脂肪族化合物と区別されている。ベンゼンの安定性は共役二重結合の π 電子の共鳴によるものとして説明され,その炭素原子間の距離は 1.39Å で,単結合の 1.54Å と二重結合の 1.34Å の中間の値をとっている。その構造式は F.A.ケクレによって与えられたI式が便宜的に使われるが,単に II式のように表示したり,III,IV式のように表わしたりする。環に結合した水素原子は省略される場合が多い。ベンゼン環芳香族炭化水素の基本骨格である。ベンゼンは水に不溶,有機溶媒に可溶,多くの有機化合物を溶解するので溶媒として用いられる。また,多くの有機薬品の合成原料であり,染料,医薬品など多くの物質の合成の出発物質となっている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

デジタル大辞泉

ベンゼン(benzene)
最も基本的な芳香族炭化水素。特有の芳香をもつ無色、揮発性の液体。水に溶けにくいが有機溶媒には溶ける。タール分別蒸留などで得られ、有毒。化学薬品の基礎物質となり、燃料などにも用いられる。分子式C6H6で、亀甲(きっこう)形の構造をしている。ベンゾール

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

栄養・生化学辞典

ベンゼン
 C6H6 (mw78.11).

 溶剤化学合成の原料などに利用される.

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典 第2版

ベンゼン【benzene】
化学式C6H6。ドイツ語Benzolにちなんでベンゾールともいう。特色ある臭気をもつ液体で,最も簡単な芳香族炭化水素。融点5.49℃,沸点80.13℃,密度d420=0.87865g/cm3,屈折率nD20=1.5011。引火点-11.10℃,爆発限界は空気中で1.4~8.0%(容量)である。燃えやすく大量のすすを生じて燃える。有毒で,ベンゼンと常時接触するか,高濃度の蒸気を吸入すると中毒を起こす。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

ベンゼン【benzene】
最も基本的な芳香族炭化水素。化学式 C6H6 亀の甲型の平面正六角形構造をもつ。芳香のある無色揮発性の液体で、医薬・染料・香料・爆薬などの合成原料となる。蒸気を吸入すると有害。ベンゾール。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

ベンゼン
べんぜん
benzene英語
Benzolドイツ語
代表的な芳香族炭化水素で、炭素原子6個が正六角形の6員環をなしている典型的な芳香族化合物である。ベンゾールとよばれることもある。さらに、古くはドイツでベンジンBenzinとよばれていたが、この名前は安息香酸benzoic acidを石灰とともに蒸留して得たことに由来し、E・ミッチェルリヒが命名した(1883)。benzeneという綴字(つづりじ)はA・W・ホフマンによるといわれる。[向井利夫・廣田 穰]

性質と構造

特有のにおいをもつ無色透明で可燃性の液体で、煤(すす)の多い黒い煙をあげて燃える。その蒸気は有毒である。水には難溶だが、エタノール(エチルアルコール)やエーテルとは任意の割合で混じり合う。大気中のベンゼンは有害大気汚染物質と定められていて、長期間吸収すると造血器の障害をおこし、貧血などの原因になる。白血病などの癌(がん)性疾患を引き起こすともいわれている。
 1825年にイギリスのM・ファラデーにより、鯨油の赤熱分解で得られたガスを凝縮させた液体中から最初に発見され、発見当時からその構造と化学的特性に関心が集まった。1865年、ドイツのF・A・ケクレが有名な亀甲(きっこう)形の六角環状説(ベンゼン環)を提案したが、最終的には1930年代になって、ようやくX線および電子線回折測定により正確な構造が決められた。それによると、ベンゼン環は1辺が0.1399ナノメートルの正六角形で、6本の炭素‐炭素(C-C)結合はまったく同等であり、6個のπ(パイ)電子が3本の二重結合に2個ずつ局在化しているのではなく、6個の炭素に平等に共有され、非局在化していることが証明された。ベンゼンの構造、性質が解明される過程において芳香族化合物の化学は発展し、この意味でも化学に果たした役割は非常に大きい。[向井利夫・廣田 穰]

製法

石炭タールまたは石油から製造されている。しかし、芳香族炭化水素の石油中に含まれる量は少ないので、石油化学工業ではナフサの接触分解、リホーミングによりベンゼンのみならずトルエン、キシレンを含む炭化水素油をつくり、これから分留してベンゼンを製造する。またアルキルベンゼンのような高級同族体からは、脱アルキル化、水素化分解法によりベンゼンを得ている。[向井利夫・廣田 穰]

反応

芳香族性として知られているπ電子の非局在化によりベンゼン環が安定化していて壊れにくいので、ベンゼン誘導体はベンゼン環が失われる付加反応ではなく、反応の後にもベンゼン環が残る置換反応をおこしやすいという特徴がある。ベンゼンの置換反応としては、次の(1)~(4)などが代表的であり、これらの反応はいずれもベンゼン置換体の重要な合成法である。
(1)硝酸と硫酸混合物によるニトロベンゼンの生成(ニトロ化)
(2)発煙硫酸によるベンゼンスルホン酸の生成(スルホン化)
(3)鉄粉を触媒とする塩素、臭素などのハロゲンとの反応によるクロロベンゼンやブロモベンゼンの生成(ハロゲン化)
(4)塩化アルミニウムを触媒としたアルキル化によるアルキルベンゼンの生成、ならびにアシル化によるアセトフェノンなどの芳香族ケトンの生成(フリーデル‐クラフツ反応)。
 これら(1)~(4)の反応では陽イオン試薬がπ電子(負電荷)をもつベンゼン環に反応しているので、芳香族求電子置換反応と総称されている。
 しかし、次の(5)~(7)の例のように、高温、高圧といった強い反応条件下では、ベンゼン環への付加やベンゼン環が開環する反応もみられる。
(5)白金触媒やニッケル触媒を用いる水素化によるシクロヘキサンの生成
(6)接触気相酸化による無水マレイン酸などの合成
(7)光を照射しながら塩素を反応させてBHC(ベンゼンヘキサクロリドの略、別名1,2,3,4,5,6-ヘキサクロロシクロヘキサン)を得る反応。[向井利夫・廣田 穰]

用途

各種化学製品の中間体製造のための出発原料として重要である。ベンゼンはアルキルベンゼン、フェノール、アニリン、スチレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、無水マレイン酸などの合成原料であり、これらからさらに各種の樹脂、繊維、洗剤、染料、殺虫剤、爆薬、医薬品などが誘導される()。[向井利夫・廣田 穰]
『山岡望著『化学史談5・ベンゼン祭』(1958・内田老鶴圃) ▽吉田善一・大澤映二著『化学モノグラフ22 芳香族性』(1971・化学同人) ▽中西準子・吉門洋・川崎一・東野晴行著『詳細リスク評価書シリーズ18 ベンゼン』(2008・丸善)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

ベンゼン
〘名〙 (benzene) 石炭乾留あるいは石油の改質で得られる無色の液体。化学式は C6H6 芳香族化合物の基本となる化合物。ベンゾール。〔舶来語便覧(1912)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

化学辞典 第2版

ベンゼン
ベンゼン
benzene

benzole.C6H6(78.11).石油改質中に,また石炭を乾留したときのガスおよびタール中に多量に含まれ,工業的にこれらから分離,精製する.すなわち,石油精製工業においては,ナフサを接触改質してベンゼン,トルエン,キシレンなどの芳香族炭化水素に富む改質油にかえ,スルホラン法,その他によって芳香族のみを抽出し,さらに分留してトルエン,キシレン,そのほかの留分と分ける.また,トルエンやキシレンの脱メチル水素化法で製造するときには,Cr2O3,Mn2O3,CoOなどの担持触媒による接触反応で処理し,メチル基をメタンとして除去して製造される.ベンゼンは,芳香族炭化水素の代表的な化合物であり,芳香族特有の香りをもつ,無色,揮発性の液体で,人体には有毒である.融点5.5 ℃,沸点80.1 ℃.0.8737.1.4979.比熱容量1.734 J K-1 mol-1(21.8 ℃).蒸発熱392.6 J g-1(沸点).引火性が強く引火点-11.10 ℃.λmax 198,256 nm(ε 8000,230).エタノール,エーテルなど多くの有機溶媒に可溶,水に難溶.水29.6物質量% で沸点69.25 ℃(101 kPa)の最低共沸混合物をつくる.ベンゼンの構造は正六角形の平面であり,C-C0.1397 nm,C-H0.1084 nm,∠C-C-Cおよび∠H-C-Cはすべて120°である.ベンゼンは化学的に安定な化合物であるが,強力な試薬によって置換反応および付加反応を受ける.とくにニトロ化,ハロゲン化,スルホン化,あるいはフリーデル-クラフツ反応のような親電子置換反応は,ベンゼンの代表的な反応であり,これによってきわめて多種類の置換ベンゼン誘導体が合成され,これらは芳香族系合成化学,ならびにその工業の中間物として重要なものが多い.付加反応においては,塩素をラジカル的に付加させるとヘキサクロロシクロヘキサン(BHC)となり,水素を付加させるとシクロヘキサンが得られる.また,ニトロベンゼン,クロロベンゼンを経て多数のベンゼン誘導体に導き,染料,医薬,農薬などの中間物として用いられる.LD50 3800 mg/kg(ラット,経口).[CAS 71-43-2]

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

Copyright © MORIKITA PUBLISHING Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ベンゼン」の用語解説はコトバンクが提供しています。

ベンゼンの関連情報

関連キーワード

ビス-アレーン錯体ジベンゼンクロムクロム化合物置換イオン反応実験式化学式

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation