●ペントース
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ペントース
pentose
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デジタル大辞泉
ペントース(pentose)
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栄養・生化学辞典
ペントース
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世界大百科事典 第2版
ぺんとーす【ペントース】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
ペントース
ぺんとーす
pentose
炭素数5の単糖の総称。五炭糖ともいう。アルドペントースとケトペントースに大別される。
[徳久幸子]
アルドペントースとケトペントース
糖類とはヒドロキシ基(-OH)を2個以上と、アルデヒド基(-CHO)あるいはケトン基(-CO-)のいずれかをもつ化合物である(アルデヒド基とケトン基をまとめてカルボニル基とよぶ)。アルデヒド基をもつ糖をアルドース、ケトン基をもつ糖をケトースと総称する。炭素数5でアルデヒド基をもつ糖をアルドペントース、ケトン基をもつ糖をケトペントースと総称する。
[徳久幸子]
アルドペントースの種類
糖質の性質は(したがって名称も)ヒドロキシ基の相対的な向きによって決まる。アルドペントースには不斉炭素(炭素の4本の結合手のすべてに異なる原子団あるいは原子がついている炭素。不整炭素ともいう)が三つある。すなわち、アルデヒド基の炭素を1番、隣を2番、…と番号をつけると、2、3、4番の炭素が不斉炭素である。不斉炭素が3個あるので、8個の異性体が存在する(
では4個のみ示す)。たとえば、3、4番の炭素についたヒドロキシ基が同じ向きで、2番のヒドロキシ基が反対向きであるのがアラビノースである。[徳久幸子]
糖のD型とL型
このような構造の化合物は、3、4番ともに右向きのものと、左向きのものの2種類がある。糖質はカルボニル基を上方に書いたとき、下から2番目の炭素のヒドロキシ基が右方についたものをD型、左方についたものをL型(
)と区別する。一般に天然に存する糖の多くはD型である。天然にみいだされるアルドペントースはD-、L-アラビノース、D-キシロース、D-リボース、L-リキソースである。[徳久幸子]
ケトペントースの種類
ケトペントースには不斉炭素が2個あるので、4個の異性体が存在する(
ではD型のみ2個示す)。天然にみいだされるケトペントースは、D-リブロース、D-、L-キシルロースである。[徳久幸子]
アルドペントースの環状構造
アルドペントースのアルデヒド基と5番目の炭素についたヒドロキシ基が分子内反応をすると6員環(炭素五つと酸素一つ(ヒドロキシ基由来)からなる)を形成する。この環状構造の糖を一般にピランという化合物にちなんでピラノースと総称する(環状構造になる前の構造を鎖状構造という)。6員環構造のキシロースをキシロピラノースのようによぶ。環状構造では1番目の炭素が不斉炭素となるため2種類の異性体ができる。これらをα(アルファ)型、β(ベータ)型と区別する。
では1番目の炭素についたヒドロキシ基(アノマー性ヒドロキシ基という。この酸素はアルデヒド基由来)が下方のものがα型、上方のものがβ型である。α型とβ型を互いにアノマー(異性体の一種)であるという。また、アルデヒド基と4番目の炭素についたヒドロキシ基が分子内反応をすると5員環(炭素四つと酸素一つからなる)を形成する。この環状構造の糖を一般にフランという化合物にちなんでフラノースと総称する。5員環構造のキシロースをキシロフラノースのようによぶ。
遊離の状態のキシロースは水溶液中でα-ピラノース型、β-ピラノース型、α-フラノース型、β-フラノース型、鎖状型が平衡状態にあり、それぞれの存在割合はpH(ペーハー/ピーエイチ)(水素イオン濃度)や温度により異なる(
)。[徳久幸子]
ケトペントースの環状構造
ケトペントースのケトン基と5番目の炭素についたヒドロキシ基が分子内反応をすると5員環(炭素四つと酸素一つからなる)を形成する。D-キシルロースの例を
に示す。[徳久幸子]
ペントースの化学的性質
ペントース液に塩化第二鉄の濃塩酸液とオルシノールのエタノール溶液を加え、加熱すると緑色を生じる(ビアルのオルシン反応)。この反応はRNA(リボ核酸)の定量に用いられる。ペントースは天然では遊離状態では少ないが、配糖体、ヌクレオシド、オリゴ糖(少糖)、多糖の形で存在する。ペントースのリン酸エステルはペントースリン酸回路の中間代謝物として重要である。
[徳久幸子]
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精選版 日本国語大辞典
ペントース
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化学辞典 第2版
ペントース
ペントース
pentose
五炭糖ともいう.炭素数が5個の単糖類の総称.アルドペントースとケトペントースとに大別される.前者には8種類の異性体があり,D-およびL-系列のリボース,アラビノース,キシロース,リキソースがある.後者には同様にリブロースとキシルロースがある.単糖類のうち,ヘキソースについで広く生物界に分布するが,ほとんどが多糖類や配糖体の成分として存在している.天然には,D-およびL-アラビノース,D-キシロース,D-リボース,L-リキソース,D-およびL-キシルロース(D-およびL-threo-ペンツロース),D-リブロース(D-erythro-ペンツロース)などがある.それらのリン酸エステルは,光合成,解糖,ペントースリン酸サイクルなどの生体内反応に中間体として現れる.テトロースからの組み上げ,ヘキソースからの組み下げ,ほかのペントースの異性化などによっても合成される.単糖類としての代表的な諸性質をすべて示すほか,強酸と加熱すると収率よくフルフラールとなる.この反応はペントースの検出および定量に利用される.
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