●ホモ・ハビリス
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
ホモ・ハビリス
Homo habilis
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知恵蔵
ホモ・ハビリス
(馬場悠男 国立科学博物館人類研究部長 / 2007年)
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
日本大百科全書(ニッポニカ)
ホモ・ハビリス
ほもはびりす
Homo habilis
化石人類の一種。ケニア生まれのイギリスの人類学者L・リーキーと妻の先史学者M・リーキーはタンザニアのオルドワイ渓谷で、1959年ジンジャントロプス・ボイセイを発見したが、ボイセイを、伴出した原始的な礫(れき)石器の製作者と考えた。年代も180万年前と推定されたため、このニュースは世界の注目の的となった。ところがリーキーは、1964年に従来の説を訂正し、新たな発見を公表した。ボイセイ発見の翌年、発見地のそばのやや古い層から、脳頭蓋(とうがい)がそれより丸みを帯びて膨らみ、もっときゃしゃな顎骨(がくこつ)が発見されたというのであり、彼はこれにホモ・ハビリスと命名するとともに、前述の礫石器の製作者兼使用者はハビリスであり、ボイセイはハビリスによって滅ぼされたのであると解釈を変えた。ホモ・ハビリスとは「能力あるヒト」という意である。当初は資料が少ないため、多くの論争をよんだが、その後、同類の人骨がオルドワイ渓谷、ケニアのトゥルカナ湖東岸など東アフリカの大地溝帯各地から多数発見されており、南アフリカのスタークフォンテイン遺跡などから出土した化石のなかにも同類化石があると指摘されている。なお、ケニアの東トゥルカナからは脳頭蓋が大きく、顎面や歯も頑丈な標本が出たため、ハビリスには大小2種類があるとされ、大型のものはホモ・ルドルフェンシスとよばれる。脳容量は600ないし700ミリリットルであり、猿人と原人の間をつなぐ。頭骨は薄く、進歩的である。下肢骨は直立二足歩行に適し、手の骨から力強い把握能力が示唆される。このような点からリーキーは、ハビリスを石器製作者と考えたのであり、ハビリスを現生人類の祖先とみなし、ホモ属に入れ、その歴史の古さを強調した。
[香原志勢]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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