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ボイヤー

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ボイヤー
Boyer, Paul D.
[生]1918.7.31. ユタプロボ
[没]2018.6.2. カリフォルニア,ロサンゼルス
アメリカ合衆国の生化学者。1943年ウィスコンシン大学で博士号を取得。1963~89年カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。1990年同大学名誉教授。早くから,生体内のエネルギー源であるアデノシン三リン酸 ATPの合成酵素の研究を続け,ATPをつくる部分が回転することによって合成を継続するという「回転」を唱える。1993年そのモデルを ATP合成酵素の結合変換機構命名。イギリスの化学者ジョン・ウォーカーが協力し,X線回折により同酵素の三次元構造を明らかにした。1997年ウォーカーおよびデンマークの生物物理学者イエンス・C.スコーとともにノーベル化学賞(→ノーベル賞)を受賞。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)

ボイヤー
ぼいやー
Paul D. Boyer
(1918―2018)

アメリカの生化学者。ユタ州のプロボに生まれる。ブリガム・ヤング大学を卒業後、ウィスコンシン大学に進学し、生化学を専攻する。1943年博士号を取得後、第二次世界大戦中はスタンフォード大学で研究プロジェクトに参加し、血漿(けっしょう)タンパクを研究しタンパク質研究の基礎を身につける。1945年ミネソタ大学助教授に就任直後、アメリカ海軍に入隊し、海軍医学研究所で1年ほど過ごす。終戦を迎えて1946年ミネソタに戻る。1950年代、アデノシン三リン酸(ATP)合成酵素を研究の中心にすえ、そのリン酸化の反応機構解明に取り組む。1963年カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授。1990年同校名誉教授となる。1971年、ATP合成反応においてエネルギーは、アデノシン二リン酸(ADP)と無機リン酸からATP分子を合成する反応そのものではなく、合成されて酵素にしっかりと結合した状態のATPを放出する際に消費されていることを明らかにした。さらにいくつかの実験結果を踏まえて、ATP合成酵素自身の一部が回転することで反応が進行するという機構を理論的に示した。のちに、J・ウォーカーが、X線結晶構造解析によってATP合成酵素の三次元構造を明らかにし、ボイヤーの説を裏付けた。これらの功績により、ウォーカー、イオン輸送酵素を発見したスコウとともに1997年のノーベル化学賞を受賞した。

[馬場錬成 2018年6月19日]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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化学辞典 第2版

ボイヤー
ボイヤー
Boyer, Paul Delos

アメリカの生化学者.ブリガムヤング大学で化学を学び,1943年ウィスコンシン大学マディソン校で生化学の学位を取得.ミネソタ大学助教授などを経て,1963年カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授.同校分子生物学研究所所長(1965~1983年)も務めた.1950年代はじめからATP合成酵素を研究し,酸化的リン酸化の機構を明らかにした.1970年代にF1-ATPアーゼのγサブユニットの回転運動によってATPが合成されるとする交代結合説(Binding Change Mechanism)を提唱.この説はJ.E. Walker(ウォーカー)らの研究によって支持され,両者は1997年ノーベル化学賞を受賞した.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
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