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ポリオウイルス

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ポリオウイルス
polio virus
ピコルナウイルス群に属する小さい RNAウイルスで,小児麻痺病原体。広く分布しているが,免疫が成立するので発病者は少い。感染者の咽頭腸管のほかにウイルス保有者の大便からも排泄され,おもに水を介して経口的に伝播する。ウイルスは神経細胞に達して増殖し,主として脊髄前角灰白質の運動神経細胞を侵す。しかし,95%が不顕性感染で,足や手の弛緩性麻痺にいたるものは1~2%といわれている。重症の場合には呼吸麻痺を起す。セービンワクチンソークワクチンが予防に用いられる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ポリオウイルス(poliovirus)
急性灰白髄炎の原因となるウイルスピコルナウイルス科のエンテロウイルスに属す。主に水を媒介経口感染する。予防にウイルスを不活化させたIPVというワクチンが用いられる。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

ポリオウイルス
 灰白髄炎ウイルスともいう.ピコルナウイルス科のエンテロウイルスに属するウイルスで,ポリオの原因となる.経口感染して脊髄前角を侵すと特有の片側の麻痺を起こす.経口ワクチンで感染発病を予防する.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ぽりおういるす【ポリオウイルス】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ポリオウイルス【poliovirus】
エンテロウイルス属のウイルス。急性灰白髄炎かいはくずいえんを引き起こす。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

精選版 日本国語大辞典

ポリオ‐ウイルス
〘名〙 (Poliovirus) 急性灰白髄炎の病原体。RNAウイルスのピコウイルス属に属する。直径二八ナノメートル。I・II・III型があり、I型が大流行をひき起こす。〔生物と無生物の間(1956)〕

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

ポリオウイルス(コクサッキーウイルス,エコーウイルス,エンテロウイルス)
(2)ポリオウイルス(poliovirus)
概念
 ポリオウイルスはピコルナウイルス科エンテロウイルス属に属するウイルスで,1型,2型,3型の3種類の血清型がある.いずれも運動ニューロン障害による急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis:AFP)を発症させる.
疫学
 糞口または気道感染で感染する.麻痺を発症させる危険性は,年齢が高くなるほど高くなる.2012年時点で野生株が残存しているのは,パキスタン,アフガニスタン,ナイジェリアの3カ国である.ときに,これらの国由来の野生株によるAFPが他国から報告されている.2型野生株は消失している.ポリオワクチンの接種率が低い国では,ワクチン株由来のポリオウイルスが地域を循環するなかで強毒化し,ワクチン関連麻痺性ポリオ(vaccine associated paralytic poliomyelitis:VAPP)が発症している.3種類の血清型すべてでVAPPが発症する.その地域の接種率が50%程度のときは約1年後にVAPP症例が認められている.わが国最後の野生株由来ポリオ症例は1980年である.
病態生理
 潜伏期間は3~6日,AFPが発症するまでの期間は感染後7~21日間である.ポリオウイルスは,ポリオウイルス受容体(poliovirus receptor:PVR,CD155)を介して咽頭粘膜上皮細胞や腸管粘膜上皮細胞に感染し,その後扁桃,腸管のM細胞,Peyer板などのリンパ組織で増殖する.リンパ組織で増殖したウイルスはリンパ流から血中に入る(ウイルス血症).また,神経軸索に沿って逆行性に中枢神経系に感染するルートも提唱されている.脊髄前核細胞が障害されるとAFPを発症する.ポリオウイルス潜伏期間に大きな手術を受けるとAFPを発症するリスクが増加する.
 扁桃や腸管粘膜でのウイルス増殖には中和活性をもった分泌型IgA抗体と血中から滲み出るIgG抗体が,ウイルス血症による広がりや軸索の逆行性搬送に対しては血中IgG抗体が感染防御に働いている.ポリオウイルスは咽頭では発症後1週間程度,腸管では数週間程度増殖する.ポリオウイルスの感染力は臨床症状が出現する前後が最も強いが,便中にウイルスが排泄されている期間は感染源となる.
臨床症状
(図4-4-8) ポリオウイルス感染者の90~95%は不顕性感染である.
1)不全型:
感染者の4~8%に咽頭痛や軽度の発熱などの非特異的症状(小症状)が出現する.
2)非麻痺型:
小症状が改善した2~3日後に無菌性髄膜炎を発症する型で,異常感覚,頭痛,発熱,嘔吐などの症状が出現する.発症頻度は感染者の1~5%である.
3)麻痺型:
小症状改善後2~3日して,突然の高熱,強い筋肉痛,項部硬直,背部硬直などの症状(大症状)が出現する.高熱は3日間ほど持続し,解熱する直前に腱反射消失を伴う非対称性弛緩性麻痺が出現し,数時間で麻痺が進行する(脊髄型).急性運動神経症状を呈した症例の2/3にAFPが残存する.腰髄が障害される頻度が高いため,下肢の麻痺が多く認められる.知覚障害は伴わない.延髄が障害されると,顔面麻痺,呼吸筋麻痺など,障害された脳神経核に一致した症状が出現する(延髄型).発症頻度は感染者の0.1~2%である.
検査成績・診断
 ポリオウイルスは,咽頭,糞便,尿,血液,ときに髄液から分離される.経口生ポリオワクチン(oral poliovirus vaccine:OPV)後のVAPPを含め,ポリオ麻痺が疑われる場合は,症状出現後14日以内に糞便と糞便以外の部位からのウイルス分離を24時間以上の間隔をあけて2回以上行う.また,血清中和抗体価の有意上昇を確認する.神経症状を合併した症例の髄液所見はウイルス性髄膜炎の所見に合致する.
合併症
 小児期にAFPに罹患すると,30~40年後に筋肉痛や筋力低下が出現し,歩行が困難になる(ポストポリオ症候群,postpoliomyelitis syndrome).
治療
 ポリオウイルスに対する特異的な治療方法はなく,対症的に治療する.野生株によるポリオは二類感染症である.
予防
 ポリオワクチンにはOPVと不活化ポリオワクチン(inactivated poliovirus vaccine:IPV)とがある(表4-4-3).いずれも3種類のポリオウイルスを含んでいる.OPVでは分泌型IgA抗体と血中中和抗体を誘導できるが,IPVでは血中中和抗体しか誘導できない.IPV投与例では腸管でポリオウイルスは増殖するが,血中抗体の効果でAFPを発症する危険性はない.集団免疫効果はOPVの方がすぐれている.
 ポリオウイルスを含むエンテロウイルスは,1種類のウイルスが増殖すると他のエンテロウイルスの増殖を抑制する作用がある(競合).このため,世界保健機関(WHO)はOPVを3回以上接種することを勧めている.しかし,わが国ではOPV2回接種により野生株が消失したため2回接種を行っている.ワクチン株の増殖力の強さは,2型,1型,3型の順である.
 OPV投与後咽頭では1~2週間,糞便中には4~6週間ウイルスが排泄される.OPVではワクチン接種者100万人に1.4人の割合で VAPPが発症する.初回接種の方が,2回目接種よりも発症頻度が高い.ワクチンを服用した人の糞便中に排泄されたウイルスが周囲の人に感染し,きわめてまれにAFPを発症することがある(接触例).WHOはVAPPを予防するために,移行抗体残存時期に初回接種を勧めている.ポリオウイルス野生株が消失した経済力がある国は,OPVからIPVに切り替えている.わが国では2012年9月にIPVへの切り替えが行われた.ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合(DPT)ワクチンと混合したDPT-IPVで接種する.わが国のIPVはOPVに用いているSabin株由来であるが,ヨーロッパのIPVは野生株由来である.[庵原俊昭]

出典:内科学 第10版
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