●メラネシア人【メラネシアじん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
メラネシア人
メラネシアじん
Melanesian
メラネシアの住民。皮膚の色が黒い者が多いため,ギリシア語で黒を意味するメラスからメラネシアの名称が生じ,黒人種とみなされていたこともある。しかし実際は皮膚の色は黒色から薄褐色まで,髪の毛もちぢれ毛から直髪まで,多くの相違があり,大きな顎と臼歯をもつ点が共通している。言語はソロモン諸島,ニューブリテン島,ニューギニア島の内陸地方ではパプア諸語,沿岸地方とその他の地方ではメラネシア語派に属する諸言語が用いられている。移動焼畑耕作によりタロイモ,ヤムイモ,サツマイモ,パンの木,ココやし,バナナなどを栽培し,豚,犬,鶏を飼育し,狩猟,漁労を行う。社会組織は母系,父系ともに存在し,トロブリアンド諸島やフィジー諸島を除いては一般に小集落が独立して存在し,大規模な政治組織はない。宗教は経済,社会,政治,医療,娯楽と密接に関連し,集会場が宗教儀礼用に使われていることが多い。明確な聖職者層が存在しないため,創世神話などはあまり発達していないが,精霊の存在や呪術が広く信じられており,秘密結社や仮面をつけて精霊に仮装して行われる無言劇などが盛んである。
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世界大百科事典 第2版
メラネシアじん【メラネシア人 Melanesian】
西南太平洋のメラネシアに住む人々をパプア人も含めてさす広義の用法と,パプア人を除く狭義の用法があるが,ここでは狭義のメラネシア人について記述する。人種的にはオーストラロイド(黒人種)と混血したモンゴロイド系の人々である。混血により生まれたとされているメラネシア人は約5000年前にソロモン諸島,ニューヘブリデス諸島,フィジー諸島,ニューカレドニア島など,メラネシア水域の島々に広がり始めた。メラネシアでは島々への移住後の歴史が長いため,島嶼間または種族間相互の関係を求めるのは容易ではない。
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