@niftyトップ

辞書、事典、用語解説などを検索できる無料サービスです。

ヤマノイモ

栄養・生化学辞典

ヤマノイモ
 [Dioscorea japonica],[D. batatas].ヤマイモともいうユリ目ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年生つる草.ジネンジョ(Japanese yam)もこの一種.地下にできるイモを収穫して食用にする.

出典:朝倉書店
Copyright (C) 2009 Asakura Publishing Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

食の医学館

ヤマノイモ

《栄養と働き》


 大別してジネンジョ、ダイジョ、ヤマノイモの3種があります。いずれも蔓性(つるせい)の多年草です。
 ジネンジョは日本原産で、根と茎の中間的な性質をもち、形も細長く、非常に粘りがあり、山野に自生しています。
 ダイジョは東南アジア原産で、熱帯や亜熱帯地域に自生する種類です。わが国では沖縄、南九州などで多く栽培されています。
 ヤマノイモは中国原産で、ナガイモ群、イチョウイモ群、ヤマトイモ群の3つの品種があります。市場に出回っているのはおもにこの3品種です。
 なかでもナガイモがもっとも栽培量が多く、馴染み深いヤマノイモといえます。イチョウイモは、扁平(へんぺい)な形をしていて皮が淡褐色です。関東地方ではこれをヤマトイモと呼ぶことがあります。ヤマトイモは別名をツクネイモといい、おもに近畿・中国地方で栽培されています。水分が少なくて強い粘質をもっているのが特徴です。
〈血糖値を下げ、糖尿病予防にも効果あり〉
○栄養成分としての働き
 栄養成分的には、それぞれに若干のちがいがありますが、総じていえるのは、でんぷん分解酵素のアミラーゼと酸化還元酵素カタラーゼが豊富ということです。これにより新陳代謝(しんちんたいしゃ)を活発にし、疲れた胃を助けて疲労回復、滋養強壮(じようきょうそう)に効果的です。
 ヤマノイモの特性でもあるヌルヌルしたヌメリには、さまざまな成分が含まれています。これらの成分には、粘膜(ねんまく)を潤し、保護する働きがあるので、消化酵素とともに滋養強壮に有効です。
 そのほか、コリンという成分が新陳代謝をよくし、サポニンという成分がコレステロールを取り除く働きをして、血液中の脂質が酸化するのを防ぎます。
 こうした作用によって水分の代謝を活発にし、腎臓(じんぞう)の機能を高めます。さらに、高血圧を予防するのにも効果的です。
 食物繊維も多いので便秘(べんぴ)解消にも役立ちます。
 薬効成分は山野に自生しているジネンジョがもっとも多く、味もいいといわれています。

《調理のポイント》


 ヤマノイモは、イモ類のなかでも唯一、生食できるイモなので、栄養成分の損失を心配せずに食べることができます。
 すりおろしてとろろにして食べるのが一般的ですが、千切りにして酢のものやサラダに入れたりしてもいいでしょう。
 アクがあるので、調理するときは、皮を厚くむき、酢水につけてから用います。加熱をすると消化酵素の働きが落ちるので、とろろ汁をつくるときは、だし汁の温度を40~50度に冷ましてから入れましょう。
○注意すべきこと
 アレルギー体質の人は避けたほうがよいとされているので、多食を避けましょう。

出典:小学館
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。食品は薬品ではありません。病気にかかったら、かならず医師の診察を受けてください。

世界大百科事典 第2版

ヤマノイモ【yam】
ヤマノイモ科ヤマノイモ属植物の食用とされる地下部の通称,または日本に自生する1種の標準和名。単にヤマイモ,または英名にイモをつけてヤムイモともいわれる。 ヤマノイモ属Dioscorea植物は全世界の熱帯を中心に数百種が知られ,養分を貯蔵する地下茎や担根体あるいは葉腋(ようえき)に,むかごをつける。このため世界各地で数十種が食用として利用され,数種が重要な食用作物に育成されている。野生種の大部分の地下貯蔵器官は,多量のアルカロイド(ディオスコリンdioscorine),サポニン(ディオスキンdioscin)やタンニンを含有していたり,木質化してかたい。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

ヤマノイモ
やまのいも / 山芋
[学]Dioscorea japonica Thunb.
ヤマノイモ科(APG分類:ヤマノイモ科)の多年生つる草。茎は細長く、数メートルに伸びて分枝し、他物に絡みつく。葉は対生。茎葉の形状は畑に栽培されるナガイモと酷似するが、葉身と葉柄の接点にナガイモは赤斑(せきはん)があるが、ヤマノイモには赤斑はないので区別することができる。雌雄異株。7~8月、葉腋(ようえき)から花序を出す。雄花穂は2、3本ずつ直立して長さ約5センチメートル、白い小花を多数開く。雌花穂は長さ約10センチメートルで垂れ下がる。果実は直径1センチメートルほどの3枚の翼をもった(さくか)で、3室があり、各室に2個の種子がある。晩秋に果壁が裂けると円形の薄い羽をもった扁平(へんぺい)な種子が飛散する。また夏秋には茎の上方の葉腋に、径約1センチメートルの球・長球形のむかごがつき、地面に落ちて、繁殖子となる。地下部には、いも、すなわち担根体ができる。いもは長さ1メートル余にもなり、地際(じぎわ)は細く、深い所ほど太くよじれており、ナガイモより細い。いもの肉質は白く粘りが強い。このいもの頂部から春に萌芽(ほうが)し、いもは夏までに消失して秋までに新しいいもができる。
 古くは、いもといえば本種のことであったが、農業開始のころから日本に入って栽培化されたいもを里芋と称したのに対し、本種はヤマノイモ(山の芋)、または単にヤマイモ(山芋)とよばれるようになった。また、自然に生えるいもの意味でジネンジョ(自然薯)ともよばれる。秋冬の山菜として好まれている。[星川清親]

利用

いもは粘りが強いのですりおろし、調味してとろろ汁にする。そのほか煮物、いも粥(がゆ)などにする。成分は水分約70%、タンパク質2.8%、脂質0.7%、炭水化物は26%、灰分1%。カリウムは100グラム中540ミリグラムで、ジャガイモ、サツマイモよりやや多い。ビタミンはB1、B2、ナイアシン、Cなどを含む。独特の粘りがある。栄養的に優れ、古来、精のつく食物とされている。またジアスターゼを含むのも特徴で、消化の悪い麦飯にとろろ汁をかけて食べる風習は、消化促進の効果をもつわけである。
 栽培も盛んで、土に埋めたパイプの中でいもを成長させて収穫しやすいようにする農法もある。
 漢方ではいもを山薬(さんやく)とよび、滋養強壮の効果のほか、すりおろして腫(は)れ物、やけど、しもやけ、歯痛などに外用される。[星川清親]

文化

現在のヤマノイモは栽培種のナガイモDioscorea batatas Decne.も含めて俗称されることが多いが、ナガイモは中国原産で、江戸時代から記録され、それ以前の山芋は自生のヤマノイモ、別名自然薯(じねんじょ)である。『新撰字鏡(しんせんじきょう)』(901ころ)は中国名の薯蕷(しょよ)に山伊毛(やまいも)をあて、『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』(931~938ころ)は「薯蕷一名山芋、夜萬都以毛(やまついも)、俗にいう山乃以毛」とした。有史前から食用にされたと思われるが、考古学的な証拠はまだみつかっていない。文献上は『出雲国風土記(いずものくにふどき)』(733)に大原郡の山野の草木の一つとして取り上げられているのが、もっとも古い。『延喜式(えんぎしき)』(927)では、草餅(くさもち)や生薬(しょうやく)として名がある。粥(かゆ)にも入れられ、江戸時代にサツマイモが導入される以前の芋粥は本種が使われた。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)は、『今昔物語』(12世紀)のヤマノイモの粥をもとに『芋粥』を書いた。[湯浅浩史]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ヤマノイモ」の用語解説はコトバンクが提供しています。

ヤマノイモの関連情報

関連キーワード

ジネンジョ山乃以毛山芋山薯自然生薯蕷夜万乃伊毛オウレン(黄連)シタビラメナガイモ

他サービスで検索

(C)The Asahi Shimbun Company /VOYAGE MARKETING, Inc. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.

アット・ニフティトップページへ アット・ニフティ会員に登録

ウェブサイトの利用について | 個人情報保護ポリシー
©NIFTY Corporation