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ユピテル

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ユピテル
Jupiter
ギリシア神話のゼウスと同一視された古代ローマの最高神。語源的にもこの両神の名は,インドのディアウスなどとも一致し,インド=ヨーロッパ語族に共通する天空神の名を継承したものである。ゼウス同様,雷を武器にし,高天から無量の魔術を行使しつつ世界を支配し,秩序と正義を維持する主権神で,マルスおよびクイリヌスとともに,フラメンと呼ばれる特別の神官を有し,元来はこの3神が,ローマ神界において三大主神格の地位を占めていたと思われる。3人の大フラメンたちのなかでも,ユピテルの祭司だったフラメン・ディアリスは当然最も地位が高く,祭司団のなかで,王の地位を継承したレックスに次ぐ位にあるとされ,日常生活でも妻のフラミニカとともに,さまざまなタブーに服さなければならなかった。エトルリア人の王たちにより,カピトリヌスの丘上に「至善至大なユピテル」 (ユピテル・オプティムス・マクシムス) の神殿が建設されてからは,ユノおよびミネルワと合祀されたカピトリヌスのユピテルが,ローマの最高神とみなされ,帝政期にはその崇拝が帝国の版図に入れられた各属州,植民・自治都市に移植された。

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世界大百科事典 第2版

ユピテル【Jupiter】
古代ローマ人の最高神。英語読みではジュピター。ギリシア神話ゼウスと同一視された。その名はDieu pater(〈父なるディエウス〉の意)がつづまったもので,本来は,ゼウスと同じく,インド・ヨーロッパ語系諸族の天空神であるが,そこから進んでさまざまの気象現象をつかさどる神,さらには人間世界の動向をも定める神となり,ついには国家としてのローマの命運を支配する最高神として崇拝を集めるに至った。 気象の神としては,ルケティウスLucetius(〈光をもたらす者〉),プルウィアリスPluvialis(〈雨を降らせる者〉),トナンスTonans(〈雷をとどろかす者〉),フルグラトルFulgrator(〈稲妻を放つ者〉)などの名があり,光明神としての彼は,毎月のほぼ中日にあたるイドゥスIdusの日に,カピトリヌス丘の〈砦Arx〉と呼ばれる高みで,彼の神官フラメン・ディアリスflamen Dialisにより白い羊を犠牲に供された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

ユピテル
ゆぴてる
Jup(p)iter

ローマ神話の主神。サトゥルヌスの子で、妻はユノ。英語読みはジュピターで、ギリシア神話のゼウスにあたる。その神話はほとんどギリシアからの借用であるが、ユピテルはゼウスと同一視される以前から、すでにローマの神々の中心に位置していた。ユピテルという名の源義は「天なる父よ」という意味で、彼はゼウス同様、元来はインド・ヨーロッパ語族にその名の起源をもつ天空神である。したがって雨、嵐(あらし)、雷鳴、稲妻などのさまざまな天候現象をつかさどる神となり、さらに農業、ことにブドウの栽培とも結び付く。ブドウの収穫祭ウィナリアはその祝祭である。またゼウスと同じく、彼はその聖木を樫(かし)、聖鳥を鷲(わし)としている。

 彼はその権能に応じて種々の呼称でよばれるが、国家的信仰の対象としては、戦勝をつかさどるユピテル・フェレトリウスが最古のものである。その神殿はカピトリウムの丘にあり、古くローマ建国の祖とされるロムルスが、ここにアクロン王から奪った最上の戦利品を奉納したという。また、戦闘における敗走を食い止め、戦陣を支える神としてユピテル・スタトル、また自由をつかさどる神としてユピテル・リベルとよばれ、それぞれの神殿をもっていた。彼はこのほかに倫理道徳をつかさどり、正義を嘉(よみ)し、また条約・誓言の神として偽誓(ぎせい)を罰する権能ももっていた。

 歴史時代のローマでは、ユピテル・オプティムス・マキシムス(至善至高の神ユピテル)の名で、国家的主神として崇拝された。これは文字どおりの最高神で、その神殿はカピトリウムの丘にあり、彼はそこにユノとミネルバを両わきに従えた形で祀(まつ)られていた。この神殿は国家の政治的行事の中心として、執政官が就任したときや、将軍が凱旋(がいせん)したときにはその報告のためかならず参詣(さんけい)がなされた。

 またこの神は、アルバノ山で毎年催されたラテン同盟の集まりで、ユピテル・ラティアリスとよばれてその祭神となった。

[丹下和彦]

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精選版 日本国語大辞典

ユピテル
(Jupiter) ギリシア神話の神ゼウスのローマ神話での名。ジュピター。
※輿地誌略(1826)二「酉必的児(ユヒテル)之を誘て、此洲に来る」

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デジタル大辞泉

ユピテル(Jupiter)
ローマ神話の最高神。ジュピター。→ゼウス

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