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リウマチ性疾患の概念・疾患群

内科学 第10版

リウマチ性疾患の概念・疾患群(リウマチ性疾患総論)
(1)リウマチ性疾患の概念
 リウマチ性疾患(rheumatic diseases)は,関節,筋肉,骨,靱帯などの運動器における痛みを伴う疾患の総称である.「リウマチrheumatism」という言葉は,ギリシャ語の「流れ」を意味し,痛みの原因となる物質が脳から出て体内を流れて関節などに貯留するという古代ギリシャ医学の考えに由来している.
 後述の膠原病全般に共通する症状の1つとして全身の関節痛や関節炎が高頻度にみられることから,膠原病の多くはリウマチ性疾患に分類される.また,逆にリウマチ性疾患の中には膠原病の概念に当てはまる病気が多い.
(2)リウマチ性疾患に分類される疾患群
 きわめて多数の疾患がリウマチ性疾患に分類される.アメリカリウマチ学会の命名分類分科会による分類によれば,100種類以上がリウマチ性疾患に分類されている(表10-1-2)(Decker,1983). リウマチ症状を呈する新しい疾患の発見や,その病態の解明により,リウマチ性疾患の名称と分類は今後もさらに追加や修正が行われる可能性がある.
(3)膠原病の概念
 膠原病(collagen disease)は,病理学者Paul Klemperer(1887-1964)が1942年に提唱した疾患概念であり,多臓器を同時に障害する非感染性・非腫瘍性の全身性炎症性疾患の総称である.
 Klempererはそれまで支配的であった臓器病理学的立場(あらゆる疾患は個々の臓器の病理学的変化に由来するとの考え)からは説明できない,全身の結合組織にフィブリノイド変性が共通してみられる多臓器障害性疾患を,膠原線維の変性を原因とする疾患群と考え,「膠原病collagen disease」と命名した(Klempererら,1942).その後,LE細胞現象が発見され(1948年Hargraves),その原因となるLE因子が抗核抗体であることが明らかにされて(1950年代Holman,Friou),膠原病は自己免疫疾患であると考えられるようになった.Klempererの考えはさまざまな批判にさらされながらも,新しい知識や修正が加わりつつ,その基本概念は現在に至るまで踏襲されている.結合組織病(connective tissue disease)は膠原病の同義語であり,現在の欧米ではむしろこちらの語が用いられることが多い.これらの疾患はすべて関節,筋,靱帯など運動器の疼痛を伴う症状を呈しうることからリウマチ性疾患に分類され,特に全身性リウマチ性疾患(systemic rheumatic disease)ともよばれる.
 Klempererが膠原病に含めた疾患は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),強皮症(sclerodermaまたはsystemic sclerosis:SSc),多発性筋炎・皮膚筋炎(polymyositis:PM/dermatomyositis:DM),結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PN),関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA),リウマチ熱(rheumatic fever:RF)の6疾患であり,これらは古典的膠原病とよばれる(Klemperer,1950).さらにその後,Sjögren症候群,混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD),多発性血管炎性肉芽腫症(Wegener肉芽腫症),高安動脈炎,側頭動脈炎,好酸球性筋膜炎,成人Still病,強直性脊椎炎,Behçet病,再発性多発軟骨炎,サルコイドーシスなどの疾患も膠原病の特徴に当てはまることから,膠原病類縁疾患あるいは関連疾患として分類されている(表10-1-3).
(4)リウマチ性疾患の特徴
 すでに述べたとおりリウマチ性疾患には多種多様な疾患が含まれ,それぞれの疾患の病像・病態も多彩であるが,特に全身性リウマチ性疾患(膠原病)には共通する臨床的・病理学的・病態学的特徴が認められ(表10-1-4),共通の病態基盤として免疫応答の異常が存在する.リウマチ性疾患のうち,その原因が明らかな感染性疾患や外傷性疾患を除くすべての疾患の原因(病因)はいまだに不明だが,遺伝的要因と環境要因の両方が発症に関係すると考えられる.一定の遺伝的素因(特定のHLAや種々の非HLA疾患関連遺伝子)をもつ患者に,誘因として何らかの環境因子(感染,薬物,紫外線,ホルモン環境,喫煙など)が加わって免疫応答が起きると,通常ならば収束に向かうべき免疫反応が標的を自己に変えて永続化するようになると考えられている.このような免疫異常は自己抗原に対する免疫トレランスが破綻するためであり,アポトーシスの異常,T細胞,B細胞,抗原呈示細胞,サイトカイン,細胞接着分子などのさまざまなレベルでの異常が見いだされている. 多くのリウマチ性疾患・膠原病患者の血液中には,自己の細胞や組織成分と反応するさまざまな自己抗体が見いだされ,それぞれ特定の疾患や臨床病態と密接に関連する.自己抗体の産生は膠原病の発症機序とも深く関与していると考えられ,少なくとも一部の自己抗体はリウマチ性疾患・膠原病の病態形成にも重要な役割を果たしている.[三森経世]
■文献
Decker JL: American Rheumatism Association nomenclature and classification of arthritis and rheumatism (1983). Arthritis Rheum, 26: 1029-1032, 1983.
Klemperer P, Pollack AD, et al: Diffuse collagen disease. Acute disseminated lupus erythematosus and diffuse scleroderma. JAMA, 119: 331-332, 1942.
Klemperer P: The concept of collagen diseases. Am J Pathol, 26: 505-519, 1950.

出典:内科学 第10版
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それぞれの用語は原書刊行時(2013年)の時点での最新のものです.常に最新の内容であることを保証するものではありません。また,権利関係の都合で一部表示できない図や画像があります。

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