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リレーショナル・アート【りれーしょなるあーと】

日本大百科全書(ニッポニカ)

リレーショナル・アート
りれーしょなるあーと
relational art
関係性の芸術。芸術表現を、固定した作品の制作から、出来事や共同作業や出会いを通じてかわされる人間同士のつながりや移動や流通の体験、そこから生まれる新しいコミュニティや仲間意識へと転換させた芸術。しばしば人間の日常の営みを題材、素材として、そこに習慣とは異なる意識や活動を生じさせることで、世界や身体に対する新しいものの見方を引きだすことを目的とする。
 リレーショナル・アートの基本概念は、フランスの批評家ニコラ・ブリオーNicholas Bourriaud(1962― )が、彼の組織した展覧会や、美術雑誌やインターネット・マガジンに寄せた評論(『関係性の美学』Esthtique Relationnelle(1997)にまとめられる)を通して構築され、1990年代後半のヨーロッパにおける新しい美術を牽引した。
 ブリオーが組織した96年のボルドー現代美術館のグループ展「トラフィック」では、マウリツィオ・カタランMaurizio Cattelan(1960― )、ピエール・ユイグPierre Huyghe(1962― )、ドミニック・ゴンザレス・フォレステールDominique Gonzalez-Forester(1965― )、カーステン・ヘラーCarsten Hller(1961― )、リクリット・ティラバーニャ、リアム・ギリックLiam Gillick(1964― )、フィリップ・パレノPhilippe Parreno(1964― )、バネッサ・ビークロフトVanessa Beecroft(1969― )、ダグラス・ゴードンらの作品を通してリレーショナル・アートの概念は具体化された。
 スイス出身の美術評論家、キュレーター、ハンス・ウルリヒ・オブリストHans-Ulrich Obrist(1968― )と中国出身のキュレーター、ホウ・ハンルーHou Hanru(1963― )の企画による展覧会「移動する都市群」(1997~99、ゼツェッション・ウィーン、ニューヨークのP. S. 1コンテンポラリー・アート・センター、ロンドンのヘイワード・ギャラリーなどを巡回)を通じてリレーショナル・アートの活動は国際的に広がり、さらにアジアへと波及した。また、2000年にパリの中心地にオープンしたパレ・ド・トーキョー現代美術センターのディレクターにブリオーが就任したこともあり、現代美術の重要なカテゴリーとして定着した。
 リレーショナル・アートの浸透には、グローバル化時代の空間と人間関係のありようが反映されている。同時にその基本概念は新しいものではなく、1960年代のフルクサスによる観客参加を促すゲームを通じて芸術と日常の境をゆるがす活動、ミニマリズム彫刻が示唆する観客との関係性の概念を強く踏襲している。
 さらに80年代終わりから90年代初めにかけて、「パブリック・アート」の概念を、大型彫刻の設置から人々の関係性や日常行動の再考へと変化させたフェリックス・ゴンザレス・トレスの活動にも触発されている。[松井みどり]
『Nicholas Bouriaud Esthtique Relationnelle (1997, Les Presses du Rel, Paris) ▽Nicholas Bourriaud, Bennett Simpson Public Relations (in Art Forum, April 2001, Art Forum, New York)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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