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一人前【いちにんまえ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

一人前
いちにんまえ
労働にも神事にも,村人の一人として奉仕,参加できる資格をいう。日本の各地の慣習によると,若者組に加入後,50~60歳までが一人前として認められる期間で,ある一定の力仕事を消化できることが条件とされた。一人前の労働の標準量は,各地方とも大差ないが,田起しは1日に3~4俵取り,田植えは1日に4~5俵取り,草取りは1日に1反,稲刈りは1日に3~4俵取り,臼つきは5俵などが要求された。一人前に達すると初めて婚姻の機会が与えられるとともに,たばこ入れを持ったり,農服を着ることが許され,外見的にもそれ以前とは区別された。同様の概念は世界各地にみられる。 (→イニシエーション )  

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

いちにん‐まえ〔‐まへ〕【一人前】
一人に割り当てる量。ひとりぶん。ひとりまえ。「一人前の料理」
成人であること。また、成人の資格・能力があること。ひとりまえ。「一人前のことを言う」「一人前に扱う」
技芸・学問などが一応の水準に達していること。「一人前の医者」

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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ひとり‐まえ〔‐まへ〕【一人前】
いちにんまえ」に同じ。

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世界大百科事典 第2版

いちにんまえ【一人前】
成人した者とか,なんらかの技能が一定の水準に達した者に対する評価の言葉。地方によってはヒトリマエともいう。現代社会では職業の多様化と教育の長期化により,一人前という呼称やその実質性は薄れつつあるが,往時の村落社会では通過儀礼とも関連し,重要な意義をもっていた。一人前として当該社会から評価されることは,主に労働と婚姻の両面における有資格者として公認されることを意味したからである。つまり一人前と認められれば,共同労働や雇用労働にさいし,収穫物や賃金を人並みに配分されたが,いわゆる半人前では,それらは5分ないし7~8分という差別待遇であった。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

ひとりまえ【一人前】

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大辞林 第三版

いちにんまえ【一人前】
ひとり分の分量。ひとり分。 寿司-
成人と同じ資格・能力があること。若いうちから-に働く
所属する社会で、正規の構成員であると認められること。
技芸などがその道の人間として通用するほどになっていること。 -のコックになる には-なことを言うのように、形容動詞としての用法もある

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

ひとりまえ【一人前】

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日本大百科全書(ニッポニカ)

一人前
いちにんまえ
1人の男や女が成人後に備えているはずとされる心身、技能、力量などの総称。各種の職場をはじめスポーツや芸能方面でも漠然と人並みの能力というほどの意味で用いられることもあるが、村落社会では古来共同労働を組むうえで一定以上の労働力が要請され、1人前の標準作業量をはっきりと設ける場合が多かった。その標準量を一人役(いちにんやく)、一手役(いってやく)、ワッパカ仕事などとよび、農作業をはじめ各種作業についていちいち男女別に1日どれだけと決めた所も珍しくない。たとえば、男は田打ちならば1反(10アール)、物を背負う力では四斗俵1俵(約60キログラム)、女は男の半人前から7、8分で、田植ならば7畝(せ)(7アール)、機(はた)織りでは1反(鯨尺で約8.5メートル)といったぐあいであった。農家の奉公人や職人の徒弟などにはその作業量がとくに厳しく求められた。
 また一人前を年齢で定める場合があり、男は数え年15歳、女は13歳とする例が多かった。これは、若者組、娘組の年齢集団に加入し、あわせて元服(げんぷく)祝、鉄漿(かね)付け祝など成年式をあげるころでもあった。一人前になれば、村落社会の一員として祭礼や村寄合、村仕事に正式に参加することが許され、また結婚の資格が与えられた。[竹田 旦]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

いちにん‐まえ ‥まへ【一人前】
〘名〙
① ひとりに振り当てられた分量。ひとりぶん。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)江戸「先あたまに一人前より、金壱歩宛出し」
② 成人であること。また、成人としての資格や能力があること。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)大意「御一人前(イチニンマヘ)の分別あるは湯屋の張札の如く」
③ 技能などが人並みの域に達すること。また、その世界で通用するほどになっていること。
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉四「次第に五円貸す十円貸すと云ふやうになって〈略〉とうとう一人前の高利貸になった」
④ 江戸時代、東北諸藩での村落構成単位。一般にいう一軒前に同じ。
※公儀御触御国制禁‐正徳元年(1711)「百姓壱人前之持高、五貫文より上之持添仕間敷由」

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ひとり‐まえ ‥まへ【一人前】
〘名〙
① ひとりに与えるべき分量。ひとりが受け持つべき分量。いちにんまえ。
※浄瑠璃・傾城酒呑童子(1718)二「お雑餠(ざうに)は大方ひとり前、三升宛に搗いたれば」
② 人並みであること。成人としての資格や能力があること。いちにんまえ。
※俳諧・七番日記‐文化一〇年(1813)六月「一人前田も青ませて夕木魚」

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