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三民主義【さんみんしゅぎ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

三民主義
さんみんしゅぎ
San-min zhu-yi; San-min chu-i
中国,孫文によって唱えられた民族的・政治的・社会的平等を求める国民革命理論。国内諸民族の平等と外国の圧迫からの独立を目指す民族主義民主制の実現を目指す民権主義,平均地権,資本節制を目指す民生主義から成り,中国国民党の指導理念となった。光緒 31 (1905) 年,中国革命同盟会綱領として唱道されてのち,次第に複雑かつ豊富になっていくが,1924年孫文の晩年に理論的に完成した。

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デジタル大辞泉

さんみん‐しゅぎ【三民主義】
孫文が唱えた政治理論。国内諸民族の平等と帝国主義の圧迫からの独立(民族主義)、民主制の実現(民権主義)、平均地権・節制資本による国民生活の安定(民生主義)の三原則からなる。1905年、中国革命同盟会の綱領として採択され中国国民党政綱となる。1924年、同党改組以後は新三民主義とよばれた。孫文主義

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世界大百科事典 第2版

さんみんしゅぎ【三民主義 Sān mín zhǔ yì】
中国,孫文が唱えたブルジョア民主主義革命の思想。民族主義・民権主義・民生主義から成るので三民主義と総称される。1895年(光緒21)最初の武装蜂起失敗後,日本・欧米亡命中,特に96‐97年ロンドン滞在中に基本構想が作られ,1905年中国同盟会結成の際,その綱領として〈韃虜(だつりよ)(満州民族の清朝を指す)の駆除中華の回復,民国の建立,地権の平均〉の〈四綱〉が掲げられ,孫文はこれを民族・民権・民生の三大主義と呼んだ。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

三民主義
さんみんしゅぎ

辛亥(しんがい)革命の指導者であり、中国国民党の創立者である孫文(そんぶん/スンウェン)の唱えた政治理論。民族主義、民権主義、民生主義をあわせて三民主義という。アメリカの第16代大統領リンカーンの「人民の人民による人民のための政治」にヒントを得たものだが、内容的には孫文独自のもので、衰亡の危機に瀕(ひん)した中国をいかに救うか、という「救国」の立場に発想の基礎を置いている。孫文の革命活動は、市民社会の建設を前景に置いて清(しん)朝打倒を目ざした辛亥革命の前後の時期と、この革命のあと軍閥混戦の事態が現出するなかで大衆闘争と結合した時期との、二つに分けられるが、三民主義の思想も、それに従って前後二つの時期に分けることができる。

[安藤彦太郎]

前期の三民主義

前期の三民主義は、1890年代に孫文がヨーロッパに亡命していたころ着想したもので、その民族主義は滅満興漢(めつまんこうかん)を内容としていた。これは、国内少数民族たる満洲族の建てた王朝、清(しん)朝打倒を標榜(ひょうぼう)する点で、近代革命を志向するものではあったが、一種の種族主義の性格も有していた。民族主義が植民地民族解放闘争という内容に発展するのは、後期になってからである。民権主義は共和主義とデモクラシーで、主としてアメリカを模範としながらも、立法、司法、行政の三権に加え、考試、監察の五権分立を構想した。民生主義は、孫文が初め理想と考えた欧米社会にも貧困が存在するのを知り、それを未然に防ぐための経済政策で、平均地権をおもな内容とした。平均地権はアメリカの経済学者ヘンリー・ジョージの学説に触発され、社会発展によって生じた地価の値上がり分に課税することで貧富の差を縮小し民生安定を図るという考えである。社会発展の必須(ひっす)条件は交通の発達であるとし、孫文はこの点で鉄道振興策を重視していた。1905年、東京で結成された中国同盟会が、その政綱に駆除韃虜(くじょだつりょ)(満洲族追放)、恢復(かいふく)中華(以上が民族主義)、建立民国(民権主義)、平均地権(民生主義)の「四綱」を掲げたのは、前期のいわゆる旧三民主義の原型とされる。

[安藤彦太郎]

後期の三民主義

ところが辛亥革命のあと、革命の成果は北洋軍閥袁世凱(えんせいがい)に奪われたが、孫文は、清朝の崩壊により民族主義が、また共和制の実現により民権主義が実現され、残るは民生主義のみと考えて、袁のもとで全国鉄路督弁の地位についた。しかし、まもなくその夢想は破れ、反袁の第二、第三革命も成功せず、孫文は日本に亡命したりして、軍閥の分立抗争の状況のもとで暗中模索を続けた。そこに1919年、五・四運動が勃発(ぼっぱつ)、帝国主義反対と封建軍閥反対とを結合させた新しい大衆運動の季節を迎えた。孫文はその転換を前にして思想を変化、発展させてゆき、自ら率いる中国国民党を改組し、共産党と提携することを決意するに至った。

 1924年1月、広州で国共合作による国民党第一次全国代表大会が開かれ、そこで連ソ・容共・工農扶助の三大政策を打ち出すとともに、三民主義の連続講演を行い、後期の三民主義の新しい立場を明らかにした。この講演筆記が「三民主義」という名を冠したものとしては唯一の著作である。

 ここで孫文は、民族主義とは被抑圧民族の立場から反帝闘争を通じて中国民族の自由と独立を図るものであるとし、民権主義については、従来の市民的民主主義に加えて、直接民権の構想を主張した。また、民生主義の平均地権には、耕者有其田(たがやすものそのたあり)(耕作農民に土地を)という主張を取り入れて、封建的地主制廃絶の内容をもたせ、また、平均地権と並んで節制資本、すなわち巨大な私的資本の国家管理という考えを主張した。こうして革命的内容をもつに至った三民主義は、のちに毛沢東(もうたくとう/マオツォートン)らの新民主主義革命の具体的な実現目標とされ、統一戦線結成の理論的基礎ともなった。

 この三民主義は、民主化、近代化を主張する被抑圧民族の側からの発言として貴重な内容をもっていると同時に、さまざまに解釈できる豊富な可能性を秘めており、その講演内容はまさに古典というべき著作である。

[安藤彦太郎]

『安藤彦太郎訳『三民主義』(岩波文庫)』

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精選版 日本国語大辞典

さんみん‐しゅぎ【三民主義】
〘名〙 孫文によって提唱された政治理念。中国同盟会の綱領(一九〇五)にとりいれられ、やがて中国国民党の指導理論となった。国内の諸民族の平等と、外国の圧迫、不平等条約に対抗し、半植民地状態からの独立を説く民族主義、政治権力の根本は人民にあるとして主権在民を説く民権主義、経済的不平等の是正を目的として社会主義を説く民生主義の三原則からなる。毛沢東の「新民主主義論」にも新三民主義としてうけつがれ、民族統一戦線結成の理論的基礎ともなった。孫文主義。

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旺文社世界史事典 三訂版

三民主義
さんみんしゅぎ
孫文が提唱した中国革命の指導理論。民族主義・民権主義・民生主義の3つからなるので,こう呼ばれる
その構想の基本は彼の滞日・滞欧中に練られ,1905年中国同盟会の綱領に採択された。民族主義は満州族の清朝を打倒して漢民族の国家をつくり(駆除韃虜 (くじよたつりよ) ・恢復 (かいふく) 中華),民権主義は君主政を廃止して共和政をうちたて(創設民国),民生主義は地価の騰貴分を政府に納めさせて(平均地権)民生の安定をはかることであった。1911年の辛亥革命で清朝は打倒され,中華民国が成立して形式的には共和政になったが,袁世凱 (えんせいがい) 以後,封建軍閥が政権を握ると,孫文は広東を中心に革命運動を続け,19年中国国民党を再組織して同志を結集した。同時に三民主義も,辛亥革命後の情勢の変化の中で大きくその内容を変えるに至った。すなわち,1924年の国共合作に際して,中国国民党が第1回全国代表大会を開いたとき,孫文は三民主義を新しく発展させ(新三民主義),民族主義は対外的には帝国主義からの中国民族の解放を,対内的には国内諸民族の平等を意味するに至り,民権主義では民衆が選挙・罷免・創制(立法)・複決(法律の改廃)の四権をもつとし,五権憲法(司法・立法・行政・考試・監察)の下における民権の拡大を主張した。また民生主義では,「平均地権」の中に農民に耕す土地を与えることを含め,「節制資本」によって独占的資本の横暴を抑え,民族資本を育成しようとした。しかし孫文の死後,三民主義の解釈をめぐって国民党内で左右の対立が生じた。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
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