●三番叟【さんばそう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
三番叟
さんばそう
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朝日新聞掲載「キーワード」
三番叟
(2016-12-22 朝日新聞 夕刊 文化芸能)
出典:朝日新聞掲載「キーワード」
デジタル大辞泉
さんば‐そう【三▽番×叟】
2 歌舞伎・人形浄瑠璃に1が移入されたもの。開幕前に祝儀として舞われたほか、一幕物の歌舞伎舞踊としても発達。
3 地方に1または2が伝播(でんぱ)し、各地の民俗芸能に取り入れられたもの。多くは最初に演じられる。
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監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版
さんばそう【三番叟】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
三番叟
さんばそう
狂言の曲名。大蔵流では『三番三』と書く。能楽では『翁(おきな)』の対(つい)のように考えられ、三番叟を狂言方が勤めるが、『三番叟』を含めて『翁』ともいう。狂言では能の『翁』と同じように祝言曲として取り扱われている。起源は大治(だいじ)元年(1126)の『法華(ほっけ)五部九巻書』に出ていて古く、そのなかで、父尉(ちちのじょう)、翁、三番と記されており、三番というのが三番叟のことである。そこでは三番を弥勒(みろく)にあて仏教的解釈がなされている。三番という名称は父尉、翁に続いて3番目に演ずるという意味のようである。世阿弥(ぜあみ)の『風姿花伝(ふうしかでん)』には三番を世継(よつぎ)の翁と記してあり、後世の書物には、三番叟を住吉(すみよし)大明神にあてたりもしている。翁を天下太平、長寿をもたらす神と考え、三番叟を五穀豊穣(ほうじょう)の神とする解釈もある。また、翁の「もどき」という考え方もある。今日の狂言の『三番叟』は能の『翁』に続いて行う。千歳(せんざい)と翁の舞が終わり翁が退場すると、三番叟が素面で「揉(もみ)の段」を舞い、次に「鈴の段」を舞う。「揉の段」は最初に達拝(たっぱい)風の型をし、続いて露払い風の軽快な舞を舞う。「鈴の段」は黒尉面をつけて鈴を振りながら舞う呪術(じゅじゅつ)的な舞である。「鈴の段」の型は種下ろし、種播(ま)きを表現したものだという解釈もある。三番叟の舞は古い猿楽(さるがく)芸を伝えているともいい、呪師に発するともいう。「揉の段」は千歳舞に、「鈴の段」は翁舞にあたるというが、そうであれば三番叟は翁をまねたことになり、猿楽の本芸である物まね性を根本にもっていることになる。愛知県北設楽(きたしたら)郡東栄(とうえい)町、豊根(とよね)村、設楽町で行われている花祭に出てくる翁は三番叟で、ワキと滑稽(こっけい)な問答をするが、これは古い三番叟の一つの姿を残したものであろう。
翁面が笑いをたたえ、品格のある福相を示す面であるのに対し、三番叟は翁と同じ面相だが、鼻下、顎(あご)に植毛髭(ひげ)をつけ、顔は黒色で品がない。古い三番叟の面は変化が多く、両方の目の造形が違っていたり、鼻が曲がっていたりして滑稽にできている。三番叟芸の古様を示すものであろう。
[後藤 淑]
三番叟物
歌舞伎(かぶき)舞踊、邦楽の一系統。能の『翁(おきな)』を、狂言方の勤める洒脱(しゃだつ)な三番叟中心に歌舞伎化したもので、一般に「~三番(叟)(さんば)」の通称でよばれる。寛永(かんえい)年間(1624~44)初世中村勘三郎が踊った『乱曲三番叟』が最初といわれ、これを後世に改作した『舌出し三番』(清元(きよもと)・長唄(ながうた))をはじめ、長唄の『操(あやつり)三番』『晒(さらし)三番』『廓(くるわ)三番』『雛鶴(ひなづる)三番』、常磐津(ときわず)の『子宝(こだから)三番』、清元の『朝比奈(あさひな)三番』『四季三葉草(しきさんばそう)』、義太夫(ぎだゆう)の『二人(ににん)三番』などが有名で、一中節(いっちゅうぶし)や河東節(かとうぶし)にも曲がある。別に江戸歌舞伎では顔見世興行や正月に、太夫(たゆう)元が翁、若太夫が千歳(せんざい)、座頭(ざがしら)役者が三番叟に扮(ふん)して芝居繁盛を祈る「翁渡し」の行事があり、これを簡略にしたものに下級俳優が開演前に演じる「番立(ばんだち)」があった。この儀式的な性格を伝える長唄の『寿式(ことぶきしき)三番叟』(俗に『式(しき)三番』)が現在でも劇場の開場式などで演じられる。
[松井俊諭]
『能勢朝次著『能楽源流考』(初版・1938/再版・1979・岩波書店)』▽『本田安次著『翁そのほか』(1958・明善堂)』
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典
三番叟
さんばそう
- 初演
- 享保4.11(江戸城二の丸)
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三番叟
(別題)
さんばそう
- 元の外題
- 三番三
- 初演
- 寛文9.12(江戸・松平大和守邸)
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