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不正咬合【ふせいこうごう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

不正咬合
ふせいこうごう
malocclusion
歯,歯列顔面などに,なんらかの原因で形や位置,機能の異常があるために,正常な咬合を行えない状態をいう。種々のものがあるが,個々のの位置異常によるもの,歯列弓の形の異常によるもの,上下の歯列弓の相互関係によるものなどに大別できる。原因としては,遺伝発育障害外傷,悪習慣,栄養障害,各種局所疾患などがあげられる。反対咬合も不正咬合の一つで,正常とは逆に,上顎の歯が下顎の歯の内側で噛み合う状態をいう。下顎が上顎よりも過成長の場合 (下顎前突症) などがこれに属する。不正咬合の状態,程度によって歯科矯正的に治療するが,手術を必要とする場合もある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ふせい‐こうごう〔‐カウガフ〕【不正×咬合】
歯のかみ合わせが正常でない状態。矯正治療を行う。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

ふせいこうごう【不正咬合 Malocclusion】
◎なぜ不正咬合は治療が必要か
[どんな病気か]
◎原因は大きく分けて3つ
[原因]
その他の不正咬合

[どんな病気か]
 不正咬合とは、正しいかみ合わせができないことをいいます。ただし、かみ合わせが正しいかどうかの判定は非常にむずかしく、専門家でないとわかりません。なぜなら、その人の発育程度やバランスをみて、その人に合った個性的な咬合であるのか、かめるという機能を重視する咬合なのか、その患者さんの年齢に合った咬合なのか、それとも、いわゆる平均的な咬合なのかをみきわめる必要があるからです。咬合がいかに平均的であっても、その人の成長のバランスから考えて、おかしい場合もあるわけですから、矯正(きょうせい)専門医によるみきわめが必要になるのです。
 不正咬合の一般的な治療は、歯列矯正(しれつきょうせい)(「子どもの歯列矯正とは」)です。

[原因]
 不正咬合の原因には、遺伝やくせによるもの、歯自体に問題があるもの、上下のあごの関係が悪いものなどがあります。
●遺伝やくせによるもの
 遺伝的な原因としては、あごや顔面の大きさ、歯の大きさ、形および数などが関係し、また、異常な飲み込み方や、舌(した)を出したり指をしゃぶるなどのくせ、鼻の病気でいつも口で息をすることが原因になることもあります。
●歯自体の問題
 歯の生え方の早さと遅さ 出生時にすでに萌出(ほうしゅつ)している(生えている)乳歯(にゅうし)は出産歯(しゅっさんし)と呼ばれ、生後30日以内に生えてくる場合は新生歯(しんせいし)と呼ばれます。これらの歯は通常1~2本であることが多く、一般的には下顎の乳中切歯部(にゅうちゅうせっしぶ)にみられます。逆に平均的な萌出時期よりも遅れて生える場合には、その原因を探ることはむずかしく、専門医への相談が必要です。
 後天的には、永久歯(えいきゅうし)が生えてくる前に乳歯が抜けてしまったり(乳歯早期喪失(にゅうしそうきそうしつ))、性的早熟で永久歯が早く萌出したり、永久歯が生える時期になっても乳歯が抜け落ちないで永久歯の生えるじゃまをしたり(晩期残存(ばんきざんぞん))、永久歯が外傷、むし歯(う蝕(しょく))、歯周病(ししゅうびょう)など、さまざまな理由で抜けてしまうなどによって、歯の生える位置に異常がおこります。この場合は、後から生えてくる歯をコントロールしたり、晩期残存歯を早く抜いて、永久歯を正しい位置に誘導する必要があります。
 歯の形の悪さ 歯の形も歯並びに少なからず影響を与えます。つまり、萌出可能な余地に対して、歯の幅が大きすぎると、歯の生える余地が不足して、異常な位置に歯が生えてしまいます。歯が大きすぎる場合は巨大歯(きょだいし)と呼ばれ、全部の歯がみな大きい場合は遺伝性の巨人症などにみられますが、一見して歯の大きさは正常なのに、あごが小さくて相対的に大きくみえる場合もあります。また1本だけ大きいようなものはきわめてまれですが、下顎智歯(かがくちし)(親しらず)にみられることがあります。
 逆に、ふつうの歯より小さい場合(矮小歯(わいしょうし))は、上顎の側切歯(そくせっし)や親しらずに多くみられます。歯の頭(歯冠(しかん))が2つあるのに根が1本しかない双生歯(そうせいし)、2つの歯がおたがいにくっついている融合歯(ゆうごうし)、また根だけがくっついている癒着歯(ゆちゃくし)などがあります。
 歯の生えるときの異常 歯の生える場所や方向が正常でないことも不正咬合の大きな原因の1つといえるでしょう。また、異常な生え方をする状態も問題です。
 たとえば、正常な歯並びから、舌や頬(ほお)のほうにずれている転位歯、歯の軸に対してねじれて生えている捻転歯(ねんてんし)、歯の軸が傾いている傾斜歯(けいしゃし)、本来生える場所でないところに生えている移転歯(いてんし)などがあります。これらが多かれ少なかれ関与して、叢生(そうせい)と呼ばれる乱杭歯(らんぐいば)の状態が発生します。これらの異常は、乳歯列期(にゅうしれつき)、混合歯列期(こんごうしれつき)、永久歯列期(えいきゅうしれつき)のすべての時期でおこりえます。
 歯の数の不足または過剰 歯の数が足りなくても、多すぎても、やはり不正咬合の原因になります。生まれつき歯の芽がない完全無歯症(かんぜんむししょう)は遺伝的なものが多いのですが、1本とか数本が部分的にないことは比較的よくみられます。もっとも多いのは、第3大臼歯(だいさんだいきゅうし)と呼ばれる親しらず(智歯(ちし))ですが、上下顎第2小臼歯や上顎の側切歯がないこともあります。乳歯での欠損は比較的まれですが、上顎の乳側切歯(にゅうそくせっし)がない場合があります。
 反対に、歯の数が余分にみられる場合は、上顎の両側中切歯間にもっともよくみられます。この場合、歯の形は円錐形(えんすいけい)で、根も短いのが特徴です。つぎに多いのは、上顎智歯の奥の第4大臼歯(臼後歯(きゅうごし))です。また乳歯では少ないのですが、上顎の乳側切歯にみられることがあると報告されています。
●上下のあごの関係が悪い場合
上顎前突(じょうがくぜんとつ)(出(で)っ歯(ぱ))
 上顎の前歯が下顎の前歯よりも著しく前方に出ている咬合状態をいいます。上顎が大きく前に出ている、下顎が小さくてひっこんでいる、あごに異常はなく歯だけが前に突き出ているなどの場合があります。これは、遺伝でおこるほか、上顎と下顎の成長の不調和、指しゃぶり、蓄膿症(ちくのうしょう)による口呼吸(鼻で息がしにくいため口で息をする)などが原因でおこります。
●治療
 上顎と下顎の位置関係や、あごと歯の大きさのバランスをみながら検討します。たとえば、あごより歯が大きすぎる場合、あるいは下顎が小さすぎる場合には、上顎の第1小臼歯を抜歯(ばっし)して、前に出た歯を全体的にその位置まで下げる方法があります。
 たとえば、上顎前突で抜歯を必要とした治療例では、上下の歯(通常は小臼歯)を1本ずつ抜き、上の前歯を後ろへ、下の歯を前に動かして全体の咬合をよくします。
 また、乳臼歯が早く抜けてしまったために、永久歯の大臼歯が他の歯を前に向かって押し、その結果として上顎前突になっているような場合には、大臼歯を後ろに押し戻してスペースをつくる方法もとられます。その際、第1大臼歯を後ろへ移動させるとともに、帽子のようなものにワイヤーをつけて、口の外を固定源にして上顎の成長を抑える装置(顎外固定装置(がくがいこていそうち))をつけることもあります。この口の外に固定源を求める方法は、患者さんにとってうっとうしいことが多いため、最近では、インプラント(コラム「インプラントの話」)を上顎の骨の中に埋め込み、それを固定源にして矯正する方法もあります。
 そのほか、口腔内(こうくうない)にアクチベータという装置を装着し、上顎の歯を後ろに押し込みながら下顎の骨を前に出す方法もあります。詳しいことは専門医に相談してください。
■下顎前突(かがくぜんとつ)(反対咬合(はんたいこうごう)・受(う)け口(くち))
 下顎の前歯が上顎の前歯より前方に出ている咬合状態です。下顎骨が発育しすぎる場合と、上顎の発育が足りない場合など、顎骨性(がくこつせい)のものがもっとも多い原因ですが、あごの骨には異常がなく、下の歯が大きい場合も下顎前突の原因になります。
●治療
 下顎前突の治療を始めるのは通常、乳歯が生えそろってから、かみ合わせの状態をみて決めます。下顎の前歯だけが前方に出て、歯だけが反対咬合になっているような状態ならいつでも矯正を始められます。しかし長い間放置しておくと、上の歯が下の歯を押して反対咬合をひどくしてしまい、骨も成長を続けてしまうため、あごの骨の治療をしなければならないこともあり、注意が必要です。
 たとえば、下顎前突で抜歯を必要とした治療例では、上下の歯(通常は小臼歯)を1本ずつ抜き、下の前歯を後ろへ、上の奥歯を前に動かして全体の咬合をよくします。
 前歯だけでなく、犬歯(けんし)までが反対のかみ合わせの場合には、下顎が大きすぎたり、上顎が小さすぎたりする骨の異常によりますので、骨の成長を早くコントロールする必要があります。成人になってしまうと、大きくなった骨を切ったり、小さすぎる骨を広げたりする外科的矯正が必要になります。

その他の不正咬合(ふせいこうごう)
■叢生(そうせい)(乱杭歯(らんぐいば)、八重歯(やえば))
 歯が不規則なジグザグ状に配列している状態をいいます。前述した歯の大きさの異常などでおこる歯と顎骨の大きさの不調和や、臼歯の内側への転位などが原因となります。
 また、辺縁性歯周炎(へんえんせいししゅうえん)(歯槽膿漏(しそうのうろう))が原因になる場合もあります。
■正中離開(せいちゅうりかい)
 上顎の両側中切歯の歯間にすき間ができるものです。過剰歯(かじょうし)や埋伏歯(まいふくし)、上唇正中小帯(じょうしんせいちゅうしょうたい)(上くちびると上顎の歯肉をつなぐ粘膜のひだ)の異常などが原因となります。
■開咬(かいこう)
 通常、臼歯部は正常に咬合するが、小臼歯から前歯にかけて咬合しないものをいいます。
■切端咬合(せったんこうごう)
 前歯は、一般的に上顎の切歯が下顎の切歯切端をおおって(被蓋(ひがい))いますが、上顎の前歯と下顎の前歯がたがいに切縁で接触している状態をいいます。
■過蓋咬合(かがいこうごう)
 上顎の前歯と下顎のかみ合わせが深い場合をいい、下顎の前歯が上顎の内側の歯肉を傷つけることもあります。
■交差(こうさ)(交叉)咬合(こうごう)
 下顎の歯列が上顎の歯列に対して、側方にずれて転位している状態をいいます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ふせいこうごう【不正咬合 malocclusion】
なんらかの原因によって歯の正常なかみ合せができなくなった状態をいう。不正咬合は,乱ぐい歯などのような歯の位置異常,すき歯のような歯列の異常,反歯,受け口などのような上下歯列弓の前後関係の異常などによって発生する。原因は必ずしも明らかではないが,先天異常,内分泌障害,外傷,抜歯などが原因となりうる。治療は上下顎骨の状態,歯並びの状態によって異なり,器械的矯正法や外科的に顎骨形成術を行う。歯列矯正【黒田 敬之】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

不正咬合
ふせいこうごう

顔面、あご、歯などに形態や機能の異常があり、正常な咬合(かみ合せ)を営みえない状態をいう。不正咬合には上顎(じょうがく)前突、下顎前突のほかに、臼歯(きゅうし)部でかみ合わせると前歯が閉まらなくなる開咬、上の歯が下の歯にかぶさっている過蓋(かがい)咬合、上下の歯が左右にずれている交叉(こうさ)咬合(いわゆる乱ぐい歯)などがある。不正咬合の原因として遺伝因子もあげられるが、後天的には、乳歯期におけるう蝕(しょく)(むし歯)、歯周疾患、口腔(こうくう)悪習慣(指しゃぶりなど)、頬(ほお)づえなどが原因となる。不正咬合があると、そしゃく能力が低下して、う蝕や歯周疾患にかかりやすくなるほか、正しい発音が困難となったり、顎骨やその周囲組織の正常な発育が妨げられたりする。さらには、こうした生理的障害だけでなく、審美観に基づく劣等感から心理的障害が生じることもある。不正咬合は、歯列矯正治療によって改善することができる。

[市丸展子]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ふせい‐こうごう ‥カウガフ【不正咬合】
〘名〙 歯並びが悪く、上下の歯のかみ合わせが正常でないもの。

出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科

不正咬合
ふせいこうごう
Malocclusion
(歯と歯肉の病気)

 不正咬合とは、上下の歯が適切に噛み合っていない状態をいいます。不正咬合には、上あごと下あごの位置がずれている骨格性のもの、歯とあごの大きさのバランスが悪いことによって一つひとつの歯にでこぼこやすきまが生じる歯性のものなど、さまざまな種類があります。

 不正咬合の程度や種類を診断したり、治療方針を決定するためには、さまざまな検査が必要になります。一般には、歯型(口腔模型)や口のなかの写真(口腔内写真)は個々の歯の位置や噛み合わせ、歯ぐきの状態などを知るために撮影し、顔の写真(顔面写真)は顔全体の形を知るために撮影します。また、歯の数や根の状態、頭や顔全体の形を把握するためにX線写真を撮影します。さらに、あごの関節に症状がある場合には、関節のX線写真や、あごの運動、MRIなどの検査が必要になることもあります。

 検査の結果をもとに治療方針を決定し、歯科矯正治療を開始します。治療開始時期や治療方法は、不正咬合の種類や年齢によってさまざまです。以下、それぞれの不正咬合の種類について解説します。

森山 啓司

出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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