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中庸【ちゅうよう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

中庸
ちゅうよう
mesotēs; mean
倫理学上の主要概念の一つ。ギリシア哲学において対立項の中点に立つ調和的存在を初めて考えたのはピタゴラスとされているが,これを倫理学的領に導入したのはプラトンである。しかしプラトンにおいてはまだ数学的ないし医学的色彩の強いものであった。アリストテレスの概念を過超と不足に対する均整とし,さらに算術的比例中項に代表されるような事柄それ自身における中庸と「われわれ (識者) にとっての」中庸とに区別して後者を倫理的の本質的な属性とした。したがって中庸を本性とし最善とする徳 (たとえば真実) に対しては過超 (たとえば真実に対する虚飾) も不足 (同様に卑下) も悪徳 (カキア) とされる。

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中庸
ちゅうよう
Zhong-yong
中国,儒教の経書「四書」の一つ。もと『礼記 (らいき) 』中の1編で,戦国時代初期 (前5世紀) の子思と伝えられていたが,宋の朱子推尊してから大いに行われるようになった。実際は前3世紀末の無名学者の作と思われる。世界の調和を達成するには常に中正な道があるべきであるとし,人間の諸行為の根本を探究して,それを人間本性の「」の充実であるとし,その修養いた。「誠」の経書であり,儒教の諸文献のうちでは最も思弁的である。

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デジタル大辞泉

ちゅうよう【中庸】[書名]
中国、戦国時代の思想書。1巻。子思と伝えられる。「礼記(らいき)」中の一編であったが、朱熹(しゅき)が「中庸章句」を作ったことから、四書の一として儒教の根本書となった。天人合一真理を説き、中庸の誠の域に達する修養法を述べる。

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ちゅう‐よう【中庸】
[名・形動]
かたよることなく、常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。また、そのさま。「中庸を得た意見」「中庸な(の)精神」
アリストテレスの倫理学で、徳の中心になる概念。過大と過小の両極端を悪徳とし、徳は正しい中間(中庸)を発見してこれを選ぶことにあるとした。

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世界大百科事典 第2版

ちゅうよう【中庸 zhōng yōng】
儒教の徳目。〈中〉は偏らず,過ぎたると及ばざるとのないこと,〈庸〉は平常,つまりあたりまえでコンスタントであること。儒教では忌憚のない直情径行夷狄(いてき)の風としていやしみ,俗をおどろかすような(社会において突出するような)行為をきらって,庸徳庸行を尊ぶ。孔子は〈中庸はそれ至れるかな,民のくすること鮮(すくな)きこと久し〉と嘆いた。それは形而上的な〈〉に基礎づけられた徳であり,その獲得と実践には深い省察が要求される。

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ちゅうよう【中庸 Zhōng yōng】
儒教の経典。朱子学の〈四書〉の一つ。もともと《礼記(らいき)》のうちの一編で全文3500余字。古来,孔子のの子思の作とされる。本来の《中庸》は前半部のみで,後半部は《誠明書》という別の書だという説や,秦代の子思学派の《中庸説》という解説書だとする武内義雄の説,などがある。武内説は伊藤仁斎の説を発展させたものである。朱熹(子)は《中庸》を儒教哲学最高峰とたたえてとくに《礼記》からぬき出して〈四書〉の一つに列し,全体を33章に分かち,自己の哲学によって注釈を書いた(《中庸章句》)。

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大辞林 第三版

ちゅうよう【中庸】
名 ・形動 [文] ナリ 
考え方・行動などが一つの立場に偏らず中正であること。過不足がなく、極端に走らないこと。また、そのさま。古来、洋の東西を問わず、重要な人間の徳目の一とされた。中道。 -を得る -にして過甚ならず/西国立志編 正直

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ちゅうよう【中庸】
中国の哲学書。一巻。孔子の孫の子思の作と伝えられる。元来「礼記」の中の一編であるが、南宋の朱熹しゆきが取り出して四書の一つに加え、「中庸章句」という注釈書を作った。天と人間を結ぶ深奥な原理を説いたものとして、特に宋以後重視された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)

中庸
ちゅうよう
もと『礼記(らいき)』の第31篇(ペん)。儒教の教理を述べた書。孔子の孫、子思(しし)の作ともいうが、後世の付加も多く、全篇の成立は秦(しん)代か漢代ごろとされる。古くから独立した一書としても重んじたが、朱熹(しゅき)(朱子)は、孔子門下に伝授された心法を子思が記録して孟子(もうし)に伝えた書とし、道統の継承の線上に位置づけ、四書の一つとして重んじ、旧来の分段を改めて33章に分け、自らの哲学に基づいて『中庸章句』を書いた。それによれば、中庸とは不偏不倚(ふき)、過不及のない平常の道理で、道理は天に基づいて人間に本性として賦与される。本性に従って存養省察して喜怒哀楽の中和を得れば、天地は順応し万物は生育し、人間と自然の統一調和が保たれる。この根本理念がさらに詳細に説明されるとみるのである。本性や存養のとらえ方には、後世には異論もみられたが、『中庸』が儒教教理の書として重んじられたことに変わりはない。[佐野公治]
『宇野哲人訳注『中庸』(講談社学術文庫)』

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精選版 日本国語大辞典

ちゅう‐よう【中庸】
[1] 〘名〙
① (形動) どちらにも片寄らないで常に変わらないこと。過不足がなく調和がとれていること。また、そのさま。中正。中道。
※日本書紀兼倶抄(1481)「内典も中道実相ぞ。外典にも中庸を本にするぞ」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「人間万事中庸(チウヨウ)の、ほどよくするはかたくもあるかな」 〔礼記‐中庸〕
② (形動) ふつうであること。尋常であること。また、そのさまや人。凡庸。常人。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔荀子‐王制〕
③ アリストテレスの徳論の中心概念。理性によって欲望と行動を統制し、過大と過小との両極端の正しい中間に身をおくこと。たとえば、勇気は、理性によって明らかにされた具体的な事情を考えた上で、卑怯と粗暴との中間であるとすること。
[2] 中国の経書。四書の一つ。一巻。子思撰と伝える。「礼記」から中庸篇を独立させたもの。天人合一の真理、中庸を説く前半とその具体的な運用である誠を説く後半に分けられ、先行の儒学説を総合整理して体系化し形而上学的根拠を明白にしている。後世、朱子の編纂した「中庸章句」が多く世に行なわれた。

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旺文社世界史事典 三訂版

中庸
ちゅうよう
中国古代の儒学の経書
孔子の孫の子思 (しし) の作と伝えられる。『礼記 (らいき) 』の中の1編で,いわゆる中庸の道を説いているが,朱熹 (しゆき) が重視し,『大学』『論語』『孟子』とともに四書の1つとした。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
小豆畑和之 石井栄二 今泉博 仮屋園巌 津野田興一 三木健詞
 
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