●中華思想【ちゅうかしそう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
中華思想
ちゅうかしそう
Zhong-hua si-xiang
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デジタル大辞泉
ちゅうか‐しそう〔チユウクワシサウ〕【中華思想】
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世界大百科事典 第2版
ちゅうかしそう【中華思想 Zhōng huá sī xiǎng】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
中華思想
ちゅうかしそう
一般的に、自己の文化が最高で天下の中心に位置するとみて、それと異なる周辺の文化を蔑視(べっし)する考え方をいう。こういう思想がとくに根強く存在したのは、東アジアでは中国であり、「中華」の周辺に「夷狄(いてき)」を配するところから「華夷思想」とよぶこともある。この思想は、もともと儒教の王道政治理論の一部として形成された。儒教は天子(王者)がその徳によって民をあまねく教化することを理想とするから、王者の住む中華の土地はむろんのこと、辺境や塞外(さいがい)も「王化」が及ぶはずの地域であり、たとえ現在は夷狄であっても、将来いつの日にか中華の文化に同化する可能性があることになる。
こういう王者の徳を基準にした文化的な同化思想が中国で形成されたのは、戦国時代(前5~前3世紀)から秦(しん)・漢時代にかけてのことであった。それ以前の春秋時代(前8~前5世紀)ごろまでは、戎(じゅう)、狄、蛮(ばん)、夷の異種族は中華の諸侯から政治的に排除されるだけであった。ところが「戦国の七雄」とよばれるような、比較的広い領域を支配する国家が出現するようになると、それまで戎、狄、蛮、夷として排除されていた異種族もその郡県制領域支配のなかに取り込まれ、「王者」の徳が及べば中華に上昇する可能性があるとみなされるようになった。中華思想が、異なった種族の文化の存在を認めるのは、彼らの文化の独自の価値を認めるからではなくて、あくまで中華文化に同化する可能性をもつ限りにおいてである。したがって外国からくる使節も、中華を慕って「朝貢」したという形をとることによって、わずかに受け入れられた。
中華思想は、自己を天下で唯一の最高の中心と考えるから、隣接する対等の国の存在を認めない。ここまでが中国だと自らを限定する国境や領土の観念をもつことは、「王化」の拡大する可能性を否定することになるからである。しかし、そうした国境や領土に関する観念のあいまいさが、近代以降になり、列強による中国領土・利権の分割を容易にさせたことは否定できない。
[小倉芳彦]
『小倉芳彦著『中国古代政治思想研究』(1970・青木書店)』
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精選版 日本国語大辞典
ちゅうか‐しそう チュウクヮシサウ【中華思想】
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旺文社世界史事典 三訂版
中華思想
ちゅうかしそう
漢民族が黄河中流に文明をおこして以来,つねに周辺諸民族に対して文化的先進民族として優越した地位を保持していたので,みずからを中華と美称し,周辺の異民族を夷狄 (いてき) ・東夷 (とうい) ・南蛮 (なんばん) ・西戎 (せいじゆう) ・北狄 (ほくてき) と呼んで卑しんだ。異民族はすべて中国の天子の徳に感化されて臣下となるべきものと考え,他の諸国に対等の交際も許さず(朝貢 (ちようこう) 貿易),国境の存在すら認めなかった。しかし,この思想は,清末期に西洋諸国が進出してきたことにより,打ち破られた。
出典:旺文社世界史事典 三訂版
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