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乱流【らんりゅう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

乱流
らんりゅう
turbulent flow
流体の速度圧力などが不規則に変動する流れをいう。また,このような不規則な変動を乱れという。これに対して,乱れを含まない流れを層流という。流れのレイノルズ数が低い場合には,粘性衰作用が大きいため,流れは安定で,層流状態に保たれるが,レイノルズ数がある臨界値以上に大きくなると,流れは不安定になり,乱流状態に移行しやすくなる。層流から乱流への遷移過程では,撹乱の線形成長に続いて非線形成長が起り,完全な乱流へと推移することが知られている。乱流の特徴はさまざまなスケール運動と,それに伴う強い攪拌効果および小さなスケールの渦の粘性によるエネルギー散逸にある。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

らん‐りゅう〔‐リウ〕【乱流】
流体の各部分が不規則に混合しながら流れる流れ。大気や河川の流れが障害物に当たって生じる流れの多くはこれである。→層流

出典:小学館
監修:松村明
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編集協力:田中牧郎、曽根脩
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栄養・生化学辞典

乱流
 層流に対する語.不規則に変動する流れ.

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

らんりゅう【乱流 turbulent flow】
川の浅瀬におかれた小石背後には,を含んだ美しい流れ模様がしばしば観察される。泡の挙動により,小石のまわりの流れは時々刻々不規則に変動する非常に複雑なものであることがわかる。このように規則性の乏しい流れを一般に乱流と呼ぶ。乱流に対比して,いわゆる流線形物体のまわりに実現される規則性の強い流れを層流laminar flowという。しかし,このような流れの分類は必ずしも確固たるものではなく,自然現象や各種の工学的機器内外で見られる流れにおいては,その不規則性の程度に大きな差異がある。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

乱流
らんりゅう
turbulent flow

川の流れを見ると、岩や橋脚などの障害物の上流側では流れは滑らかであるのに、下流側では大小さまざまの渦巻が現れ、流れはきわめて不規則、複雑である。また、水道の栓をすこしひねると、水は透明な細い棒になって落下するが、栓をいっぱいにあけて大量に流すと、水の棒は白く泡立つようになる。このように不規則で乱雑な流れを乱流、これに対して滑らかな流線をもつ流れを層流という。

[今井 功]

レイノルズの実験

流れの状態に層流と乱流の違いがあることに注目して初めて実験的な研究を行ったのはイギリスのO・レイノルズで、1883年のことであった。彼は、円管を通る水の流れが、流速の小さいときは層流、流速が大きくなると乱流になることをみいだした。実験結果は定量的に次のように表される。管の直径をd、流体の密度をρ、粘性率をμ、平均流速(流量÷断面積)をūとするときR=ρūd/μは無次元の数でレイノルズ数とよばれる。このRがある値Rcより小さいときは層流、大きいときは乱流となるのである。Rcを臨界レイノルズ数という。この場合Rcは約2000である。管を通る流れとは限らず、物体表面を覆う境界層についても、その厚さδ、境界層のすぐ外側の流速uを基準にしてレイノルズ数Rδ=ρuδ/μをつくると、これに対しても臨界レイノルズ数が存在し、それ以下では境界層の流れは層流、以上では乱流になる。

[今井 功]

乱流の渦

乱流は時間的にも空間的にも不規則に変動する流れで、大小さまざまな渦から構成されていると考えられる。この渦の乱雑な運動は気体分子の熱運動になぞらえられる。たとえば、流れの中の流速や温度の分布が一様でない場合には、一般に流体の粘性や熱伝導性によって不均一はならされて一様分布に近づく。気体では、粘性や熱伝導性は気体分子の熱運動によって、運動量や運動エネルギーが運搬されることに起因するのであるが、これに対して乱流では、これを構成する渦によって、分子運動よりもはるかに大規模に均一化作用が行われる。これは見かけ上、粘性や熱伝導性が大きくなることを意味する。水や空気中の汚染物質の拡散についても同様である。このため、乱流粘性(渦(うず)粘性)、乱流拡散係数(渦拡散係数)などの用語も使われる。

 いまx軸方向に速度uの流れがあるとする。平均的には流速が一定でUであるとしても、細かくみればu=U+u′であって、u′(x,t)は、場所xと時間tの関数として複雑に変化する。このu′によって乱れあるいは乱流が表される。u′の振幅の大きい場合、乱れは強く、u′の空間的・時間的変化の周期の小さい場合、乱れの寸法は小さい。すなわち乱流を特徴づける量として強さと寸法がある。乱流を構成する大小さまざまな渦の運動エネルギーの平均値が強さを表し、渦の大きさの平均値が寸法を表すのである。一般に、レイノルズ数の大きい流れはすべて乱流状態にあるということができる。

[今井 功]

大気中の乱流

地表面付近の風は、風速や風向が絶えず不規則に変化している。これを「風の息」という。風の息は、風が乱流であるために生じる。地表面には樹木や建造物などがあり、それに風が当たると、大小さまざまな渦が発生して風が乱流になる。また、地表面が滑らかであっても、地表面の摩擦によって風が弱くなり、強い風と弱い風が混じり合って渦が発生し、風が乱流になる。煙突の煙が上下に蛇行しながらたなびくのは、煙が風の中にある渦に巻き込まれるために生じる現象である。地表面から高度約1キロメートルまでの大気層は、とくに乱れの程度が大きく、自動車の排気ガスや工場から排出された煙を速やかに拡散させる作用がある。

 飛行機に乗って、高度5キロメートルから10キロメートルの上空を飛行していると、ときどきがたがたと揺れることがある。これは、上空の大気が乱流になっていることを示している。上空の乱流は、ジェット気流の近くや、下方に山があるときに生じることが多い。積乱雲の内部は激しい乱流である。晴天時に生じる上空の乱流を晴天乱気流といい、CAT(clear air turbulenceの略)ともいう。

 新聞の天気図を見ると、高気圧(時計回りの渦巻)や低気圧(反時計回りの渦巻)が描かれていて、形を変えながら西から東に移動している。このような地球規模の大気の流れも乱流と考えられている。変化の仕方が不規則なので、遠い将来まで天気の変化を予測することができない。天気予報のために毎日気象観測を行うのは、そのためである。

[木村龍治]

海洋の乱流

海水温は深くなるほど低くなるが、海面から10メートル程度は、深さによって水温は変化しない。そこを表層混合層という。水面に吹く風の作用で表層の海水がかき混ぜられるために生じる現象で、その内部は乱流である。場合によっては、水面に渦が無数に見えることがある。冬季に海面が冷たい空気に接触して冷やされる場合にも混合層が発達する。四国と淡路島の間の鳴門(なると)海峡のように潮流の強い海域では、地形の作用で渦が発生し、激しい乱流が生じる。100メートル以深の海底付近の流れは穏やかであるが、まれに、海底斜面に沿って土砂崩れのような現象が生じ、その際に、泥と海水が混ざり合った雪崩(なだれ)のような激しい乱流が生じる。これを混濁流(乱泥流)という。

 日本の黒潮や北アメリカのガルフストリーム(湾流)のように、強い海流が沖に向かう海域では、海流の蛇行によって渦が発生し、天気図に示される大気中の乱流のような大規模な乱流が生じている。

[木村龍治]

『A・H・シャピロ著、今井功訳『流れの科学』(1977・河出書房新社)』『木村龍治著『改訂版 流れの科学』(1985・東海大学出版会)』『流れの可視化学会編『流れのファンタジー――写真がとらえた流体の世界』(1986・講談社)』『H・テネクス、J・L・ラムリー著、藤原仁志・荒川忠一訳『乱流入門』(1998・東海大学出版会)』『木田重雄・柳瀬真一郎著『乱流力学』(1999・朝倉書店)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

らん‐りゅう ‥リウ【乱流】
〘名〙
① 激しく乱れて流れること。また、その流れ。
※地方官会議日誌‐九・明治八年(1875)七月二日「洲及島嶼位置の便宜に従ひ、之を一方の岸に結んで、乱流を防ぐ事」
② 各部分が不規則に混合しながら流れること。また、その流れ。
※雪の下の蟹(1969)〈古井由吉〉「白い靄の柱がひとすじすうっと立って〈略〉蚕糸の乱流のような先端を高空の澄んだ青の中へ徐々に融かしている」

出典:精選版 日本国語大辞典
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化学辞典 第2版

乱流
ランリュウ
turbulent flow

流体が平均流速で流れているとき,レイノルズ数がある一定値(臨界レイノルズ数)以下であれば,流体中のある点での流れの方向,速度の大きさは一定に保たれ,乱れのまったくない層状の流れ(層流)となる.なんらかの原因で流体中に乱れが発生しても,この乱れは層流の場合,流体の粘性のために減衰して消滅する.流体の流れが速くなり,レイノルズ数が臨界レイノルズ数以上になると,流体中に生じた乱れはもはや減衰せず,逆に慣性力が粘性力を上まわるために増幅され,この乱れによりある点での流れの方向,速度の大きさは絶えず不規則に変化する(乱流).この乱れによる混合のために,管内を流れる流体の速度分布は層流の場合よりもはるかに一様に近づく.乱流では壁近くの速度勾配が増すので摩擦抵抗が大きくなる.したがって,圧力損失も大きく,平均速度の約2乗に,また流体密度に比例するようになり,流体の粘度の影響は減少し,管壁の粗滑の影響が現れてくる.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
東京大学名誉教授理博 大内 昭(編集)
東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
東京工業大学名誉教授理博 海津 洋行(編集)
東京工業大学元教授学術博 梶 雅範(編集)
東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
東京工業大学名誉教授理博 脇原 將孝(編集)

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