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乳癌【にゅうがん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

乳癌
にゅうがん
breast cancer
乳房(→乳腺)の。おもに,管あるいは腺葉を形成する上皮細胞から発生する。マンモグラフィーなどによる検診で疑いを指摘される場合があるほか,自身で乳房しこりに気づいて診断にいたる場合などがある。進行すると,しこりの真上の皮膚が収縮したり,色が変化したりする。乳頭から出血することがあり(→出血乳房),リンパ節(→腋窩)も触知されるようになる。身体各部に血行転移する。しこりが見つかる前に,離れた臓器に転移して見つかることもある。診断は専門の乳腺外科などが担当し,マンモグラフィーの追加撮影,超音波検査のほか,必要に応じて針生検(→生検)などを行なう。核磁気共鳴 NMR(→磁気共鳴画像 MRI),コンピュータ断層撮影 CT検査が行なわれることもある。治療は,切除手術(一部または全部。→乳房切断術)や放射線治療,薬物療法(ホルモン療法,化学療法,分子標的治療など)がある。それぞれ単独で行なう場合と,複数を組み合わせる場合がある。癌の性質や病期などを考慮して治療法を決める。女性の癌としては最も多く,年齢とともに罹患率は高くなる。発生には女性ホルモンエストロゲンが関係しているとされ,初経年齢,妊娠や出産経験の有無,初産の年齢などが影響する。早期に発見し適切な治療を受ければ生存率は上がる。欧米では近年,死亡率は低下傾向にあるが,日本は検診の受診率が低く,死亡率は増加傾向にある。男性にもごくまれに発生する(→男子乳癌)。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

にゅう‐がん【乳×癌】
乳腺にできる癌。40歳以上の女性に多く、初め乳房にしこりができるが、痛みはない。早期発見による切除のほか、放射線制癌剤による治療がある。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

にゅうがん【乳癌 breast cancer】
乳腺から発生する,いわゆる乳房の癌(ちなみに癌のことを英語でcancer,ドイツ語でKrebsといい,いずれも動物のカニを意味する語句を用いるのは,癌に冒された乳房の外観が,カニがへばりついているように見えることに由来するという)。乳癌はヒトだけでなく,哺乳類にみられる。ヒトの乳癌は白人に多く,黄色人,黒人には少ない。ちなみに,1981年に癌で死亡した女性のうち,乳癌の占める位置はアメリカでは1位であったが,日本では胃癌,肺癌,子宮癌,肝癌に次いで5位であった。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

にゅうがん【乳癌】
乳腺に発生する癌。乳房内に痛みのないしこりができ、変形やくぼみなど外見上の変化を起こす。皮膚と癒着し、進むと潰瘍かいようを形成。腋の下、鎖骨の上などのリンパ節への転移が、割合早い時期からみられ、離れた場所にも達する。

出典:三省堂
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内科学 第10版

乳癌(乳腺疾患)
定義・概念
 乳腺は汗腺組織の1つであり,新生児に乳汁を通じて栄養や免疫力を与えることを目的とする機能臓器である.この乳腺組織に発生した悪性腫瘍を乳がん(breast cancer)という.“乳がん”は肉腫などを含むすべての乳腺悪性腫瘍を示す.“乳癌”は狭義には上皮性悪性腫瘍(癌腫,carcinoma)のみを指す.
分類
 乳腺に発生する腫瘍は上皮性腫瘍,非上皮性腫瘍,それらの混合腫瘍に分類される(表12-19-1).乳癌は上皮性悪性腫瘍であり,非浸潤癌と浸潤癌に大別される.非浸潤癌は非浸潤性乳管癌と非浸潤性小葉癌に分けられる.浸潤癌は通常型の浸潤性乳管癌と特殊型に分類される.通常型浸潤性乳管癌は浸潤癌の約90%を占め,わが国では浸潤様式,分化度によってさらに乳頭腺管癌,充実腺管癌,硬癌に細分類される.約5%が小葉癌である.乳房Paget病(Paget’s disease)は乳頭・乳輪部の表皮内進展を特徴とする乳癌の一亜型である.
原因・病因
 乳癌の罹患リスクには,早い初潮,遅い閉経,少ない出産・授乳経験,閉経後の肥満,閉経後のホルモン補充療法など,女性ホルモンの増加や暴露期間延長に関連するものと,乳癌の家族歴・既往歴,BRCA1/2遺伝子の異常など遺伝性関連のものがある.また,放射線被曝,増殖性乳腺疾患の既往,生下時体重が重い,アルコール,喫煙歴などいくつかの因子があげられる.
疫学
 欧米では罹患率,死亡率ともに減少傾向であるが,わが国では罹患率において30年間で5倍に増加し,死亡率も増加傾向である.女性の癌において,罹患率1位,死亡率5位である(2009年).他臓器癌と比較し,若年で発症することが特徴で,罹患の好発年齢は40歳代後半,死亡年齢は60歳代前半が最も多い.男性にも乳癌は発生し,罹患の男女比率はおおよそ1:100といわれている.
臨床症状
 乳房のしこりを主訴に受診することが最も多く,そのほかに乳房の痛み,乳頭からの異常分泌やびらんなどの症状が受診の契機となる.乳房の痛みと乳癌の存在は必ずしも関連しない.進行した乳癌では,腫瘤上の皮膚の陥没,浮腫,発赤,潰瘍形成などがみられることがある.腋窩のリンパ節腫脹のみや,乳房に腫瘤は触知しないが画像検査でのみ病変が指摘できる場合もある.
診断
 視触診,マンモグラフィ検査(図12-19-1),乳房超音波検査(図12-19-2A),乳房MRI検査などで乳房内病変の存在診断を行う.確定診断には病理学的検査が必要であり,穿刺吸引細胞診,分泌物細胞診,針生検,吸引式乳房組織生検などを実施する.マンモグラフィのみで同定できる微細石灰化病変の場合も,マンモグラフィガイド下で生検を実施することで確定診断が可能である.遠隔転移検索として,CT検査や骨シンチグラフィ検査,FDG-PET検査などが実施される.乳癌で増加する血液中腫瘍マーカーには,CEA,CA15-3などがある.遠隔転移を伴うような進行癌以外で診断時に増加することはまれである.
 分子生物学的な診断として,乳癌組織のエストロゲン受容体(ER),プロゲステロン受容体(progesterone receptor:PgR)の発現の有無により,ホルモン受容体陽性・陰性乳癌に分類する.また,ヒト上皮増殖因子受容体2型(human epidermal growth factor receptor type2:HER2)の有無によりHER2陽性・陰性乳癌に分類する.
鑑別診断
 表12-19-1にある乳腺の腫瘍性病変が鑑別診断となる.乳管内乳頭腫,線維腺腫,正常乳管の局所的な増殖性変化である乳腺症などが鑑別診断の対象となる.このほか,腫瘤の増大傾向の強い病変として葉状腫瘍(良性・悪性),肉腫(悪性)も念頭におく.
治療・予防
 手術療法,放射線療法,薬物療法などを組み合わせて治療を行う.手術療法は乳房と腋窩の手術からなり,原発巣の大きさや広がりから乳房部分切除術,もしくは乳房切除術を行う.腋窩に対しては,リンパ節への転移状況からセンチネルリンパ節生検,腋窩郭清術などを実施する.乳房部分切除術では残存乳房に対し,高度リンパ節転移例では胸壁,領域リンパ節に対する放射線治療を行う.
 全身薬物療法としては,化学療法(アントラサイクリン,タキサン系製剤など),ホルモン療法,分子標的療法が行われる.ホルモン受容体陽性乳癌にはタモキシフェンやアロマターゼ阻害薬などのホルモン療法の効果が期待できる.これらのホルモン療法薬は治療効果のみではなく,新規の乳癌発生を予防する効果ももつ.HER2陽性乳癌にはトラスツズマブ,ラパチニブなどの抗HER2療法薬が分子標的療法として選択される. 遠隔転移巣(骨,軟部組織,肺,肝,脳など)に対しては薬物療法が中心だが,病状により放射線治療も行う.
予後
 全国がん(成人病)センター協議会加盟施設における1997~2000年診断例の5年相対生存率は,Ⅰ期 98.2%,Ⅱ期 91.5%,Ⅲ期 67.8%,Ⅳ期 31.5%で全体では87.3%であった.[佐治重衡・戸井雅和]
■文献
京都大学大学院医学研究科外科学講座編:外科研修マニュアル,第2版,pp327-347,南江堂,東京,2009.
日本乳癌学会編:乳腺腫瘍学,pp11-68,金原出版,東京,2012.
日本乳癌学会編:乳癌取り扱い規約 臨床・病理 第17版,pp22-34,金原出版,東京,2012.

出典:内科学 第10版
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