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乾電池【かんでんち】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

乾電池
かんでんち
dry cell
電池の電解液を糊状にしたり,綿に吸収させて流れないようにし,取扱いや携帯を便利にした一次電池マンガン乾電池が最も広く用いられる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

かん‐でんち【乾電池】
電解液を金属容器に封入し、携帯や取り扱いを便利にした一次電池。代表的なものがマンガン乾電池で、正極に炭素棒を、負極に容器を兼ねた亜鉛板を用い、その間に二酸化マンガン黒鉛などの合剤と、塩化アンモニウム塩化亜鉛を含むのり状の電解液を詰めてある。ほかにアルカリ電池・水銀電池などがある。→湿電池
[補説]円筒形乾電池の名称と寸法
単1形(高さ61.5ミリ、直径34.2ミリ)
単2形(高さ50.0ミリ、直径26.2ミリ)
単3形(高さ50.5ミリ、直径14.5ミリ)
単4形(高さ44.5ミリ、直径10.5ミリ)
単5形(高さ30.2ミリ、直径12.0ミリ)

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

かんでんち【乾電池 dry cell】
漏液しにくいように,コーンスターチや小麦粉などでゲル化した電解液を用いた電池で,取扱いや携帯に便利にした一次電池である。これに対し,水溶液のままの電解液を用いる電池を湿電池という。 乾電池の代表的なものはルクランシェ電池を乾電池化したマンガン乾電池(図)で,陽極合剤は二酸化マンガン,導電性の炭素粉末(アセチレンブラック,黒鉛),塩化アンモニウム粉末の3者を電解液(塩化アンモニウムNH4Clと塩化亜鉛ZnCl2が主成分)で練り固めて成形したもので,その中心に炭素棒が置かれている。

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

乾電池
かんでんち
dry cell
dry battery
dry primary battery

電池の電解液を適当な吸収体に保持させ、取扱いや携帯の便を考えたもの。代表的な一次電池である。

[浅野 満]

開発

1800年、イタリアのボルタによって起電力の発生が認められたボルタ電池が一次電池の端緒となり、1866年、亜鉛・塩化アンモニウム・二酸化マンガン系の湿電池がフランスのルクランシェによって考え出された。1886年にはドイツのガスナーC. Gasnerが電解液を固定化し漏液しないようにくふうすることによってマンガン乾電池の原形ができあがった。

[浅野 満]

分類

1975年(昭和50)日本工業規格(JIS)に「マンガン乾電池」(JIS C 8501)が制定された当初、マンガン乾電池は「乾電池」と表示されていた。しかしその後アルカリマンガン電池の生産と需要が拡大し、電池系を区分する必要が生じたため、1993年(平成5)の「マンガン乾電池」の規格改正では旧来の「乾電池」という表示を改めて「マンガン乾電池」とし、さらに高性能マンガン乾電池「P」(赤ラベル)と超高性能マンガン乾電池「PU」(黒ラベル)に等級区分された。

 一方、1978年に制定された「アルカリ一次電池」(JIS C 8511)の規格が1993年に改正され、「アルカリ一次電池」を「アルカリマンガン電池」「酸化銀電池」「空気亜鉛電池」の3種類に分類、さらに「アルカリマンガン電池」は「アルカリ乾電池」と「アルカリボタン電池」に細分類された。

 1998年改正のJIS「マンガン乾電池」の定義では「二酸化マンガンを正極作用物質、亜鉛を負極作用物質、塩化アンモニウムや塩化亜鉛を主体とする水溶液を電解質とする一次電池」とされている。また「アルカリ一次電池」の定義では「金属酸化物又は酸素を正極作用物質、亜鉛を負極作用物質、アルカリ金属の水酸化物水溶液を電解質とする一次電池」とされ、「アルカリマンガン電池」はこの定義によるものとなる。このように、単に「乾電池」と表示されている一次電池はなく、生産、販売されている二酸化マンガン‐亜鉛系一次電池は「マンガン乾電池」「アルカリ乾電池」「アルカリボタン電池」の3種類である。

 なお、電池に電解液が過剰に使用され流動状態にあるものを湿電池、また電解液にゼラチンやデンプンなどを加えることによってペースト化したものを乾電池とよぶことがある。

[浅野 満]

マンガン乾電池

ガスナーによってマンガン乾電池の原形ができあがり、その後の多くの技術開発により一般的となった構造は、コップ状の亜鉛缶を負極活物質と集電用に使用し、一方、特性の優れた電解二酸化マンガンにアセチレンブラックを導電剤として加え、さらに電解液と混合して練った合剤を正極活物質として用い、これをセパレーターを介して亜鉛缶に詰めてその中心部に挿入した炭素棒によって正極の集電をするようになっている。

 亜鉛は、水素過電圧を大きくしてその耐食性を向上させるために、以前は水銀を添加しアマルガム化されていたが、インジウムやビスマスなどを用いて合金化するなど無水銀化の研究が進み、日本では1991年以降マンガン乾電池には水銀は使用されておらず、「水銀0使用」と表示されるようになった。

 電解液には5~20%の塩化亜鉛ZnCl2を含む飽和塩化アンモニウムNH4Cl水溶液、または約25%のZnCl2と2.5%のNH4Clを含む水溶液の2種類が使用されており、それぞれ塩化アンモニウム形電池(またはルクランシェ形電池)および塩化亜鉛形電池といわれている。両者では次のように電池反応が異なる。正極反応は
  MnO2+H++e-―→MnOOH
であり、また負極反応は
  Zn―→Zn2++2e-
で示されるが、塩化アンモニウム形電池では
  Zn2++2NH4Cl
   ―→Zn(NH3)2Cl2+2H+
の反応によりZn2+イオンを電解液から沈殿として取り除くことによって電池電圧の低下が抑制されている。また塩化亜鉛形電池では
  4Zn2++ZnCl2+8H2O
   ―→ZnCl2・4Zn(OH)2+8H+
によって除かれる。したがって全電池反応は塩化アンモニウム形電池では
  2MnO2+Zn+2NH4Cl
   ―→2MnOOH+Zn(NH3)2Cl2
で与えられ、また塩化亜鉛形電池では
  8MnO2+4Zn+ZnCl2+8H2O
   ―→8MnOOH+ZnCl2・4Zn(OH)2
で示すことができる。いずれも電池電圧は約1.5ボルトである。しかし塩化アンモニウム形電池では正極合剤表面が放電反応生成物のZn(NH3)2Cl2膜で覆われるため、放電が進むと電池電圧が低下する。これに対し、塩化亜鉛形電池では放電により電解液中のZnCl2が消費されるが、反応生成物のZnCl2・4Zn(OH)2が正極合剤中に均一に分布するためZn2+イオンの移動が妨げられないので、電池電圧の低下がおこりにくい。塩化亜鉛形電池の放電容量は塩化アンモニウム形電池の約2倍であり、重負荷放電特性の進歩や耐漏液性能の向上もあって、この方式のマンガン乾電池が主流になっている。

 電池の形には円筒形(丸形)、角形(平形)、積層乾電池などがあるが、大部分は円筒形で、単1~単5形がある。おもな用途はポータブルラジオ、時計、電卓、シェーバー、懐中電灯などである。しかし、1990年代に入るとマンガン乾電池より高性能でサイズに互換性があるアルカリ乾電池の需要が増大したため、マンガン乾電池の国内生産量は減少の傾向にある。

[浅野 満]

アルカリマンガン電池

円筒形と角形のアルカリ乾電池および扁平形のアルカリボタン電池がある。1949年にアメリカのレイオバック社が扁平形を発売したのが最初とされており、その後マロリー社などによりマンガン乾電池と同一寸法の円筒形が販売されるようになった。日本では1964年に日立マクセルがアルカリ乾電池の生産を始め、2001年現在7社で生産されている。

 アルカリ乾電池は、電解液として酸化亜鉛を2~5%添加した35~45%の水酸化カリウム水溶液が使用され、正極活物質と負極活物質はマンガン乾電池と同じであり、電池電圧も約1.5ボルトで同じである。

 アルカリ乾電池がマンガン乾電池と大きく異なるところは、負極活物質として亜鉛粉末とアルカリ電解液、増粘剤からなるゲル状のものを電池の中央部に配置し、その外側にセパレーターを介して正極活物質の電解二酸化マンガンと黒鉛との合剤があること、そして中心部に挿入した黄銅棒により負極の集電を行い、正極の集電はニッケルメッキした鋼缶によって行うという構造になっていることである。ただしマンガン乾電池とは寸法に互換性がある。

 アルカリボタン電池は上面から順にニッケル‐ステンレス鋼‐銅の3層クラッド(張り合わせ)負極缶、負極活物質、セパレーター、正極合剤、そして底面と側面にニッケルメッキ鋼製正極缶があるという構造になっている。

 アルカリマンガン電池の正極反応は
  MnO2+H2O+e-―→MnOOH+OH-
であり、また負極反応は
  Zn+2OH-―→Zn(OH)2+2e-
で、全電池反応は
  2MnO2+Zn+2H2O―→2MnOOH+Zn(OH)2
で示される。放電により生成するZn(OH)2は亜鉛酸イオンZn(OH)42-として溶解するので電気抵抗の増加は少ない。しかし負極活物質の亜鉛粉末は表面積が大きく自己放電による劣化があるので、インジウムなどと合金化して水素過電圧を大きくし、自己放電の抑制が図られている。従来この目的に用いられた水銀は日本では1992年以降アルカリマンガン電池には使用されていない。

 アルカリマンガン電池の放電容量は塩化亜鉛形マンガン乾電池と比較して約2倍であり、高率放電特性や低温放電特性にも優れているため、高出力、大電流放電が必要な分野での需要が急拡大している。おもな用途はデジタルカメラ、ポータブルMD・CDプレーヤー、ヘッドホンステレオ、ポータブル液晶TV、情報機器端末などである。

[浅野 満]

『池田宏之助著『電池の進化とエレクトロニクス――薄く・小さく・高性能』(1992・工業調査会)』『西村昭義著『現代生活の必須アイテムを正しく活用するための電池の本』改訂版(1996・CQ出版)』『小久見善八編著『電気化学』(2000・オーム社)』『電気化学会編『電気化学便覧』(2000・丸善)』『電池便覧編集委員会編『電池便覧』(2001・丸善)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

かん‐でんち【乾電池】
〘名〙 一次電池の一つ。電解液がこぼれないように綿などに吸収させ、あるいは糊状に練って固定させ、取扱いや携帯に便利なようにしたもの。二酸化マンガン乾電池、空気乾電池、積層乾電池など。〔新しき用語の泉(1921)〕

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化学辞典 第2版

乾電池
カンデンチ
dry cell

電解液を紙,綿などに含浸させたり,またはデンプンなどでゲル状にして液体が流れ出さない構造にした電池(一般に一次電池)のこと.1888年にアメリカのC.Gassnerが,ルクランシェ電池(Zn|NH4Cl|MnO2,C)の電解液をセッコウで固め,亜鉛負極を円筒状の缶として液の流失しない構造としたものがとくに有名であった.現在の円筒形マンガン乾電池(ルクランシェ乾電池)は,中央に正極としての多孔質炭素棒があり,その周囲に二酸化マンガンと電気伝導性の炭素粉末および塩化アンモニウム粉末を電解液(NH4Cl + ZnCl2)で練り固めて成形した合剤,また合剤と負極亜鉛との間に電解液をコーンスターチと小麦粉でゲル化したペーストを置いた構造となっている.積層乾電池は,マンガン乾電池を小型偏平にして多数積み重ねたもので,亜鉛版に炭素を吹き付けたものを一つの素電池の負極および隣りの電池の正極とし,亜鉛板上に電解液を含浸した紙,セパレータ,合剤をのせ,隣りの電極の正極部(炭素部)を重ねて構成する.アルカリマンガン乾電池(Zn|KOH|MnO2,C)や水銀乾電池(Zn|KOH,ZnO|HgO,Fe)の場合は,電解液は耐アルカリ性の繊維質に吸収させ流動しないようにしている.

出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
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東京大学名誉教授理博 小林 啓二(編集)
東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
東京大学名誉教授理博 西川 勝(編集)
東京大学名誉教授理博 野村 祐次郎(編集)
東京工業大学名誉教授理博 橋本 弘信(編集)
東京工業大学教授理博 広瀬 茂久(編集)
東京工業大学名誉教授工博 丸山 俊夫(編集)
東京工業大学名誉教授工博 八嶋 建明(編集)
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