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五重塔(幸田露伴の小説)【ごじゅうのとう】

日本大百科全書(ニッポニカ)

五重塔(幸田露伴の小説)
ごじゅうのとう

幸田露伴(こうだろはん)の短編小説。1891年(明治24)11月~92年3月新聞『国会』に連載。92年10月刊『尾花集』に収む。抜群の腕前をもちながら、鈍重な性格ゆえに「のっそり」とあだ名される大工十兵衛(じゅうべえ)は、谷中(やなか)感応寺(かんのうじ)の五重塔建立の計画を知って末代にわが名をとどめる好機と奮い立ち、先輩の川越源太から仕事を奪い取る。源太の侠気(きょうき)に満ちた協力の申し出も拒み、さまざまな妨害をはねのけて、あくまでも独力で塔を建てた。落成式の前日、暴風雨に襲われるが、塔は微動だにしなかった。芸道に精進する男の意地と執念という露伴独自の主題を、西鶴(さいかく)に学んだ雄渾(ゆうこん)な文体で描いた傑作で、とくに結末のすさまじい嵐(あらし)の描写は圧巻である。

[三好行雄]

『『五重塔』(岩波文庫)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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