●亜鉛【あえん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
亜鉛
あえん
zinc
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デジタル大辞泉
あ‐えん【亜鉛】
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栄養・生化学辞典
亜鉛
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毛髪用語集
亜鉛
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食の医学館
あえん【亜鉛】
最近、若い人たちの亜鉛(あえん)不足が指摘されています。ファーストフードにかたよった食事や極端なダイエットを続けると、とくに亜鉛不足をまねきやすいので注意しましょう。
亜鉛はワタリガニやカキなどに多く含まれており、成人1日の推奨量は男性9~10mg、女性7~8mgです。
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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典
あえん【亜鉛】
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世界大百科事典 第2版
あえん【亜鉛 zinc】
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大辞林 第三版
あえん【亜鉛】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
亜鉛
あえん
zinc

歴史
亜鉛と銅の合金である真鍮(しんちゅう)(黄銅)はきわめて古くから知られ、紀元前4000年ごろにも使われていた痕跡(こんせき)がある。亜鉛の含有量の少ない真鍮は黄金色で美しく、しかも機械的性質が優れていて、広く使われており、古代ローマで貨幣に使われていた記録もある。しかし金属亜鉛として取り出されたのは、それよりかなりあとであり、インドないし中国で製錬法が発展したとされており、中国には古い亜鉛の貨幣や装飾品が残されている。17世紀前半にはヨーロッパに伝わり、18世紀にはイギリスで製錬工場が設立され、以後、大規模製造が行われるようになった。中国の古い産業技術書『天工開物(てんこうかいぶつ)』(1637)には「倭鉛」と記されており、日本では宇田川榕菴(うだがわようあん)の『舎密開宗(せいみかいそう)』(1837~1847)には「聖究母(ジンキユム)、亜鉛」と記されている。[中原勝儼]製法
閃亜鉛鉱が主要原料であるが、まず鉄、鉛などの不純物を浮遊選鉱法などにより除き精鉱とする。ついでこれを酸化燃焼して焼鉱(酸化物)とする。焼鉱を処理するのには乾式法と湿式法がある。乾式法では、コークスを混ぜて耐火粘土製のレトルトの中で約1300℃で加熱還元すると生ずる亜鉛を蒸留する。冷却して得られる粗亜鉛は純度約98.5%でスペルターといっている。おもな不純物は、普通、鉄、鉛、カドミウムなどであって、再蒸留すると99.99%程度の純度となる。この方法で得られたものを蒸留亜鉛という。湿式法は硫酸酸性水溶液中で電解精錬する方法である。すなわち、焼鉱を電解廃液の硫酸で処理して亜鉛を抽出し、不純物を沈殿させるなどして除き、陽極に不溶性の鉛板、陰極には亜鉛あるいはアルミニウム板を用いて電解し、陰極板上に析出させる。この方法で得られたものを電解亜鉛という。電解法は高純度製品を得るのに適し、99.99%ないし99.998%の純度の製品が得られる。[中原勝儼]性質
亜鉛は銀白色の青みを帯びた金属で、融解しやすく、また揮発しやすい。結晶構造は六方最密格子。ややもろく加工しにくいが、100~150℃で展性、延性が著しく増大し、薄板、線に加工することが容易になる。200℃以上ではふたたびもろくなり、粉末にすることもできる。電気抵抗率5.916×10-6Ω・cm(20℃)。反磁性。乾燥した空気中では安定であるが、湿った空気中あるいは空気の存在下の水中では、徐々に反応して水酸化物となる。2Zn+2H2O+O2
―→2Zn(OH)2
また通常の空気中では二酸化炭素が存在するため、表面のみが酸化されて塩基性炭酸亜鉛の灰白色の密な薄い膜をつくり、これが内部を保護する。純度が高いほど空気中では酸化されにくい。空気中で強熱すると緑色を帯びた白色光を放ち、燃焼して酸化物となる。赤熱状態では水蒸気や二酸化炭素からも酸素を奪って水素、一酸化炭素とする。アンモニアでは窒化物となる。粉末の亜鉛は硫黄(いおう)と高温で直接反応して硫化物になり、また乾燥したフッ素、臭素などのハロゲンとは水分が存在するときは反応してハロゲン化物となるが、水素、窒素、炭素とは高温でも反応しない。ハロゲン化水素酸、希硫酸など酸化力の弱い酸には、水素を発生して溶けて亜鉛の塩の水溶液となる。酸化力の強い硝酸や濃硫酸ではよく溶けるが、濃度によって酸化窒素、窒素、アンモニアなどを発生する。たとえば希硝酸では、
4Zn+10HNO3―→
4Zn(NO3)2+NH4NO3+3H2O
のようになる。
濃アルカリ水溶液とは熱すると水素を発生して亜鉛酸塩を生ずる。
Zn+2KOH+2H2O―→
K2[Zn(OH)4]+H2
またアンモニア水、シアン化カリウム水溶液などにも水溶性錯塩をつくって溶ける。
ほとんどの亜鉛化合物の酸化数は+

用途
薄い鉄板上に亜鉛の薄層を被覆したトタンは、鉄よりもイオン化傾向の高い亜鉛で鉄を覆うことによって鉄の腐食を防ぐようにしたものであり、屋根板や各種容器などに広く用いられている。真鍮は銅との合金で、色調が美しく、鋳造、加工が容易で、展性、延性などの機械的性質に優れているので、線、板、管、その他として機械、日用品、工芸品などに用いられている。また少量のアルミニウム、銅などとの合金である亜鉛ダイカスト合金(たとえば、Al3.5~4.5%、Cu0.75~1.25%、Mg0.02~0.08%、残りがZn)は、自動車部品、計器などの部品として用いられ、そのほか洋銀(洋白)などの合金として用いられる。亜鉛末は金、銀の湿式製錬法の青化法での沈殿剤である。希酸と反応させると水素が発生する。この発生期の水素は還元剤として用いられ、アルキル化合物は有機合成用の試薬として重要である。[中原勝儼]人体と亜鉛
亜鉛は人体に約2グラム含まれ、食事から摂取する必要のある微量無機質の一つである。200種以上の酵素の構成成分で、酵素作用に大きく関係している。亜鉛が不足すると、成長障害、肝胆道疾患、免疫機能低下、味覚障害、皮膚炎などが生じる。亜鉛は糠(ぬか)や胚芽(はいが)、豆類、種実などに多く含まれるが、外部化(外食、市販総菜、加工食品などの利用増加)などの食生活の変化により不足ぎみである。食事からとるべき量については、「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)により、目安量や推奨量、および過剰摂取による健康障害のリスクを下げるための上限量が設定されている。[山口米子]『落合栄一郎著『生命と金属』(1991・共立出版) ▽鈴木継美・和田攻編『ミネラル・微量元素の栄養学』(1994・第一出版) ▽『消化器の臨床――亜鉛の臨床Vol.2-No.1』(1999・ヴァンメディカル) ▽前野昌弘著『演習形式で学ぶ やさしい無機化学』(1999・裳華房) ▽内田希・小松高行・幸塚広光・斎藤秀俊・伊熊泰郎・紅野安彦著『無機化学』(2000・朝倉書店) ▽糸川嘉則編『ミネラルの事典』(2003・朝倉書店) ▽日本化学会編『実験化学講座18/有機化合物の合成』第5版(2004・丸善) ▽菱田明・佐々木敏監修『日本人の食事摂取基準2015年版――厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書』(2014・第一出版)』
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精選版 日本国語大辞典
あ‐えん【亜鉛】
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化学辞典 第2版
亜鉛
アエン
zinc
Zn.原子番号30の元素.周期表12族典型元素.原子量65.409(4).質量数64(48.63%),66(27.90%),67(4.10%),68(18.75%),70(0.62%)の安定同位体と,54~83の間に25種の放射性同位体が知られている.黄銅,青銅は古代アッシリア,ペルシアの時代から知られていたが,単体は,1749年ドイツのA. Marggrafがカラミンとして知られていたりょう亜鉛鉱からはじめて単離した.英語元素名の原型zincumという言葉は,16世紀の錬金術師Paracelsusによって,亜鉛鉱石を炉で溶かしたときの堆積の形から,とがった先端を意味する古代高地ドイツ語のzinkからとされる.宇田川榕菴は天保8年(1837年)に出版した「舎密開宗」で,zincumを音訳して聖究母(シンキュム)とし亜鉛の元素名としている.亜鉛は,正徳3年(1713年)の「和漢三才図絵」にはじめて中国渡来の鉛に似た金属の名称として現れる.真ちゅう(黄銅)は,天平年間に法隆寺の香炉の材料として,中国名「鍮石」が記録されている.
地殻中の存在度80 ppm.遊離金属としては天然には産出しない.おもな鉱石はせん亜鉛鉱ZnS,りょう亜鉛鉱ZnCO3がある.亜鉛鉱石の埋蔵量は,オーストラリア,中国,アメリカ,カザフスタンの4国で全世界の確認埋蔵量の約60% を占める.日本では花岡鉱山(秋田県),神岡鉱山(岐阜県),豊羽鉱山(北海道)などから供給されていたが,採算性鉱量の枯渇により,1980年代から次々閉山され,100% 海外依存となった.地金および精鉱として輸入されるが,鉱石の主要輸入先は,オーストラリア,ペルー,アメリカで70% を占める(2003,2004年).
亜鉛の製錬には乾式法(蒸留亜鉛)と湿式法(電気亜鉛)とがある.乾式製錬法では,硫化鉱をばい焼して酸化亜鉛とし,炭素によって還元して金属とする.密閉レトルト中で1100~1300 ℃ に加熱して,蒸留される亜鉛を凝縮する古典的な製法にかわり,イギリスで開発された.溶鉱炉を用いて亜鉛-鉛混合鉱をコークスと反応させ,発生した亜鉛蒸気を溶融鉛で急冷して液体とし,比重の差により分離し,亜鉛,鉛を同時回収する溶鉱炉法が,高い生産能力や,亜鉛鉱中に含まれる貴金属の回収が容易などの利点から主力となった.湿式法では,酸化亜鉛を希硫酸で浸出し,得られた硫酸亜鉛の希硫酸溶液を電気分解して金属を得る.現在,電解法による電気亜鉛が主である.
やや青味を帯びた銀白色の六方最密格子.密度7.133 g cm-3.融点419.58 ℃,沸点907 ℃.定圧モル熱容量25.48 J K-1 mol-1(25 ℃).線膨張率//C軸0.530×10-4 K-1.⊥C軸0.150×10-4 K-1(20~250 ℃).熱伝導率121 W m-1 K-1(27 ℃).融解熱6.57 kJ mol-1(420 ℃).蒸発熱114.8 kJ mol-1(907 ℃).電気抵抗率5.916×10-6 Ω cm(20 ℃).第一イオン化エネルギー906.2 kJ mol-1(9.39 eV)通常の酸化数2.標準電極電位(Zn2+/Zn)-0.763 V.硬さ2.5.比較的反応しやすい金属.空気中で薄い炭酸水酸化物塩皮膜を表面に生じ,内部までは侵されない.空気中で燃焼すると青緑色の炎をあげて燃え,酸化物を生じる.赤熱状態では水を分解して水素を発生する.乾いたハロゲンとは反応しないが,水分があれば容易に侵される.水素,窒素,炭素とは高温でも直接反応しない.粉末の状態で硫黄と反応し,硫化亜鉛を生じる.希酸に易溶で,酸化力のない酸の場合は水素を発生するが,硝酸の場合には,酸の濃度により酸化二窒素,窒素,ヒドロキシルアミンやアンモニアを生じる.濃アルカリ水溶液と加熱すると水素を発生し,亜鉛酸塩となる.
おもな用途は,国内では自動車用と建材用の亜鉛めっき鋼板向けで50% を超す.ついで,電子機器の板材その他に用いられる真ちゅう,青銅など銅合金用が約25%,自動車部品,模型などに使われるダイカスト用が10%,酸化亜鉛を主とする化学薬品9%,乾電池ほか電池向け1% など.
生体必須元素の一つであるが,大量に摂取すると呼吸器や消化器に障害を起こす.水道水質基準1 mg L-1 以下,水質汚濁法排水基準2 mg L-1 以下.[CAS 7440-66-6]
出典:森北出版「化学辞典(第2版)」
東京工業大学名誉教授理博 吉村 壽次(編集代表)
信州大学元教授理博 梅本 喜三郎(編集)
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東京大学名誉教授工博 奥居 徳昌(編集)
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東京工業大学名誉教授 工博佐藤 伸(編集)
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