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人格障害【ジンカクショウガイ】

デジタル大辞泉

じんかく‐しょうがい〔‐シヤウガイ〕【人格障害】

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

家庭医学館

じんかくしょうがい【人格障害 Personality Disorder】
[どんな病気か]
 人間は、健康な人でも性格上の特徴や偏(かたよ)りをもっており、それが個性をつくっていますが、その偏りが大きすぎると、不適応をきたすことがあります。
 性格の分類にはさまざまなものがあります。一般によく知られている血液型や星座などによる分類は、科学的にはあまり意味がありません。しかし、性格を総合的に判断するのは、科学的にもたいへんむずかしいものです。過去には、やせ型は分裂気質(ぶんれつきしつ)、肥満型は循環気質(じゅんかんきしつ)、筋肉質の闘士型はてんかん気質というように、体型と気質を結びつける考え方もありました。
 最近は、対人関係や社会適応に重点をおいて判断し、不適応をきたしやすい場合を人格障害(パーソナリティー障害)と呼んでいます。「人格」障害といっても、欠陥人間や犯罪者という意味ではありません。精神症状ではなく、対人関係などのあり方で定義されるので、「人格」障害と呼ぶのです。人格障害は長く続くものです。思春期以降明らかになり、成人期を通じて、本人にとって、職業的にも、社会的にも、日常生活面でも大きな困難をもたらします。種類によっては、本人より周囲の人たちが困難を感じることもあります。
 種類としては、妄想性人格障害(もうそうせいじんかくしょうがい)、統合失調質人格障害、統合失調型人格障害、演技性人格障害(えんぎせいじんかくしょうがい)、反社会性人格障害(はんしゃかいせいじんかくしょうがい)、自己愛性人格障害(じこあいせいじんかくしょうがい)、境界性人格障害(きょうかいせいじんかくしょうがい)、強迫性人格障害(きょうはくせいじんかくしょうがい)、依存性人格障害(いぞんせいじんかくしょうがい)、回避性人格障害(かいひせいじんかくしょうがい)などが知られています。その人の属している社会の価値観によって、ある種の人格障害を受け入れにくかったり、寛容であったりする特徴があることもあります。
[治療]
 人格障害そのものの治療を希望して精神科を受診するケースは多くありません。人格障害の人は、生活上の変化やストレスに弱いことが多いので、うつや摂食障害(せっしょくしょうがい)などの精神症状を現わし、そこで初めて精神科を受診することが多いものです。
 性格や人格を変えるというのはたいへん困難なことで、少しずつ適応できるよう援助するだけでも長い時間がかかります。ただし、人格障害の人にみられる不安、衝動性などには薬物療法が有効な場合もあります。少しずつセルフコントロールができていくように気長に治療を続け、社会生活も広げていく必要があります。
●家族の対応
 人格障害の患者さんは、治療についても、非現実的な過大な期待をもったり、少しでも期待が裏切られると治療を放棄したり、病院を転々としたりしがちです。継続的に治療を続けることが望ましいのですが、それが困難な場合は、少なくともなにか精神的変調や小さな危機があったときは早めに精神科を受診してください。こういう場合に大きな危機にならないよう、援助を受けることについては主治医とも家族とも、あらかじめ意見を一致させておくのが望ましいのです。

出典:小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

大辞林 第三版

じんかくしょうがい【人格障害】
人格の偏りや異常によって自分自身や周囲に困難を生じるような障害。統合失調症や脳疾患などによる人格の変化は含めない。パーソナリティー障害。

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

EBM 正しい治療がわかる本

人格障害
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 人格障害とは、幼児期や青年期からずっと続いている性格の著しい偏り(ひずみ)を意味し、その性格のために社会生活に支障をきたし、本人が悩んだり、社会的な問題を引きおこしたりする場合に医療の対象となります。人格障害という言葉が日本で使われるようになったのは、1980年代に入ってからで、それまでは人格異常または異常性格などと呼ばれていました。世界保健機関(WHO)の診断基準によると、人格障害とは、「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害に由来(ゆらい)しないもの」となります。
 うつ病統合失調症は精神の疾病=病気というとらえ方がされますが、人格障害は人格の歪みであって病気とはとらえられない傾向があります。
 そこでうつ病の患者さんが、同時に回避性人格障害や強迫性人格障害であると判断される場合もあります。
 なお診断にあたって、脳の損傷や病気、精神病による人格変化によるものではないという前提があります。
 人格障害はその性格の特徴からさまざまに分類されますが、アメリカの精神医学会では、大きく分けて3分類、詳しくは10種類に分類しています。

A群(奇妙なタイプ)
① 妄想性(もうそうせい)人格障害=他人の言動やものごとを悪意に解釈し疑り深い。
②統合失調(とうごうしっちょう)質人格障害=自閉的で感情を他人に見せない。
③統合失調型人格障害=他人の言動を一方的に自分と結びつけたり、風変わりな行動をしたりする。

B群(感情的なタイプ)
④反社会性人格障害=社会のルールに無頓着(むとんちゃく)で、暴力的な犯罪をおこしたりするが、罪悪感がない。
⑤境界性(きょうかいせい)人格障害=衝動的で感情の起伏が激しく、対人関係が不安定。
⑥演技性(えんぎせい)人格障害=注目を浴びるためにオーバーな言動をし、思い通りにいかないと感情を爆発させる。
⑦自己愛性(じこあいせい)人格障害=自分を特別視し、傲慢(ごうまん)で尊大な態度をとる。

C群(不安を持ち内向的なタイプ)
⑧回避性人格障害=仕事や対人関係で傷つくことを極端に恐れ、ひきこもる。
⑨依存性(いぞんせい)人格障害=なにごとも自分で決定できず、すべて他人に従う。
⑩強迫性人格障害=極端な完璧主義で融通(ゆうずう)がきかず、他人と良好な関係が保てない。

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 人格は遺伝的な気質と、生まれてからの環境に影響を受ける性格の両方を含んだ言葉です。なぜ人格障害になるのかは、わかっていません。

●病気の特徴
 人口の約15%がなんらかの人格障害をもっているとする報告もありますが、必ずしも全員に治療が必要というわけではありません。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]心理療法を行う
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 通常、心理療法は人格障害に対してはじめに行われる治療です。具体的には、グループ療法、精神分析療法、認知行動療法などがあげられます。これらの心理療法の効果は信頼性の高い臨床研究によって確認されています。精神科医による専門的な治療を必要とします。(1)~(3)

[治療とケア]抗うつ薬による治療を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 通常、人格障害に対する薬物療法は推奨されません。しかし、うつ病や薬物依存等の症状を合併している場合は、抗うつ薬を使用してイライラ感などを抑えます。しかし効果は限定的です。(4)~(6)

[治療とケア]鎮静薬による治療を行う
[評価]☆☆
[評価のポイント] 人格障害によるイライラ感等を抑えるために、鎮静薬を使用することがあります。(7)~(10)


よく使われている薬をEBMでチェック

抗うつ薬
[薬名]パキシル(パロキセチン塩酸塩水和物)(4)~(6)
[評価]☆☆
[薬名]デプロメール/ルボックス(フルボキサミンマレイン酸塩)(4)~(6)
[評価]☆☆
[薬名]トレドミン(ミルナシプラン塩酸塩)(4)~(6)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 人格障害のみに対して使用することはなく、うつ病を合併している際に使用します。おもにイライラ感や気分の落ち込みなどを防ぎます。

鎮静薬
[薬名]リーマス(炭酸リチウム)(7)~(10)
[評価]☆☆
[薬名]テグレトール(カルバマゼピン)(7)~(10)
[評価]☆☆
[薬名]デパケン(バルプロ酸ナトリウム)(7)~(10)
[評価]☆☆
[評価のポイント] おもに人格障害に対する、気分の高揚やイライラ感を抑えるために使用されます。

総合的に見て現在もっとも確かな治療法
増えてきている人格障害
 反社会的行動をおこした人が人格障害者あるいは精神疾患を有していたなどとの報道が最近頻繁(ひんぱん)になされ、この病気に対する社会的な関心は高まっています。
 病院の外来でも、以前に比べて、人格障害者と判断せざるを得ない患者さんの数は増えているように思われます。

本人に治療の意思さえあれば、症状は改善する
 人格障害と診断され、治療を受けようという気持ちになりさえすれば、グループ療法、認知行動療法、精神分析療法などの精神療法と、SSRIなどの薬の服用がまず勧められます。
 このような組み合わせで、かなりの治療効果が期待できますが、衝動的な行動や攻撃的な行動がおさまらないときには、抗精神病薬が用いられます。
 残念ながら治療の意思がない場合も多く、未治療のケースがたくさんあることも事実です。

確立が急がれる総合的な対策
 多くの場合、薬物療法により問題行動を一時的に抑制することは可能です。しかし、根本的な治療となると非常に困難な現状です。患者さんの人権を尊重しなくてはならないという命題と、反社会的な行動をどれくらい確実に抑えることのできる治療方法があるのか、あるいは長期にわたって治療を継続させることができるか、また、それを確実に管理することができるかなどの困難さも含めて、多くの問題は解決されていません。

(1)Leichsenring F, Leibing E. The effectiveness of psychodynamic therapy and cognitive behavior therapy in the treatment of personality disorders: a meta-analysis. Am J Psychiatry 2003; 160:1223.
(2)Leichsenring F, Rabung S. Effectiveness of long-term psychodynamic psychotherapy: a meta-analysis. JAMA 2008; 300:1551.
(3)Matusiewicz AK, Hopwood CJ, Banducci AN, Lejuez CW. The effectiveness of cognitive behavioral therapy for personality disorders. PsychiatrClin North Am 2010; 33:657.
(4)Markovitz PJ, Calabrese JR, Schulz SC, Meltzer HY. Fluoxetine in the treatment of borderline and schizotypal personality disorders. Am J Psychiatry 1991; 148:1064.
(5)Salzman C, Wolfson AN, Schatzberg A, et al. Effect of fluoxetine on anger in symptomatic volunteers with borderline personality disorder. J ClinPsychopharmacol 1995; 15:23.
(6)Rinne T, van den Brink W, Wouters L, van Dyck R. SSRI treatment of borderline personality disorder: a randomized, placebo-controlled clinical trial for female patients with borderline personality disorder. Am J Psychiatry 2002; 159:2048.
(7)Nickel MK, Nickel C, Kaplan P, et al. Treatment of aggression with topiramate in male borderline patients: a double-blind, placebo-controlled study. Biol Psychiatry 2005; 57:495.
(8)Tritt K, Nickel C, Lahmann C, et al. Lamotrigine treatment of aggression in female borderline-patients: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. J Psychopharmacol 2005; 19:287.
(9)Hollander E, Swann AC, Coccaro EF, et al. Impact of trait impulsivity and state aggression on divalproex versus placebo response in borderline personality disorder. Am J Psychiatry 2005; 162:621.
(10)Frankenburg FR, Zanarini MC. Divalproex sodium treatment of women with borderline personality disorder and bipolar II disorder: a double-blind placebo-controlled pilot study. J Clin Psychiatry 2002; 63:442.

出典:法研「EBM 正しい治療がわかる本」
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