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伊賀流【いがりゅう】

世界大百科事典 第2版

いがりゅう【伊賀流】

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

伊賀流
いがりゅう

甲賀流と並ぶ忍術の主流派。伊賀(三重県北西部)の地侍や郷士の間に伝えられた物見(ものみ)、夜討(ようち)、剛盗(ごうとう)など、いわゆる細作(さいさく)(忍び)の術であり、この地方に古来の山伏兵法をもととして、火術の妙を加え、種々の忍具を創案して編み出された武術をいう。その秘密性からか伝書もきわめて少なく、一般の武術流派のような流祖や伝系が明確ではないが、戦国時代を通じてほぼ完成の域に達したもので、俗に伊賀四十九流といわれ、伊賀流はその総称である。

 伊賀の国は四周を山嶮(さんけん)に囲まれ、伊賀盆地を除く山間部は複雑な地形をなし、耕地も乏しく地味も豊かではないが、歴史的に大和(やまと)、山城(やましろ)、近江(おうみ)などの政治権力の中心と伊勢(いせ)を結ぶ交通の要地にあたり、早くから東大寺、興福寺、伊勢神宮など寺社の荘園(しょうえん)が分置され、鎌倉中期から南北朝にかけては東大寺の支配に対抗する黒田の悪党をはじめ、各地に地侍が群立した。室町時代に入っても、これを統一する権力が育たず、いきおい小党分立して、互いにしのぎを削って抗争し、つねに隣接の動向を探索する必要があり、「小勢を以(もっ)て多勢に勝ち、柔弱を以て剛強に勝つ事、忍(しのび)を入るゝにしくはなしとて、何(いづ)れの士も平生忍の手段を工夫し、隠忍をば下人どもに習はせり」(『萬川集海(まんせんしゅうかい)』忍術問答)という風習が生じた。隣接する甲賀地方(滋賀県南部)も同様な歴史的、地理的環境から忍びの術に長じたが、伊賀、甲賀の忍者集団がその存在を明らかにしたのは、1487年(長享1)将軍足利義尚(あしかがよしひさ)が近江の六角高頼(ろっかくたかより)を攻めた際、いわゆる鈎(まがり)(近江国粟田(あわた)郡)の陣において奇功をたてたのが最初といわれる。室町末期から戦国期に活躍した伊賀忍者の頭領(上忍という)には、北伊賀の藤林長門守(ながとのかみ)と南伊賀の百地丹波(ももちたんば)、および三河の松平氏、後の徳川氏に仕えた服部半三保長(はっとりはんぞうやすなが)・半蔵正成(まさなり)父子などが有名であった。また隠忍の名人として、阿山(あやま)郡楯岡(たておか)の伊賀崎道順(どうじゅん)をはじめ、野村の大炊(おおい)孫太夫、新堂の小太郎、下柘植(しもつげ)の木猿・小猿、上野の左、山田の八右衛門、神戸(かんべ)の小南(こなん)、音戸(おんど)の城戸(きど)、高山(こうやま)の太郎四郎・太郎左衛門などが輩出した。

 やがて1579年(天正7)北畠(きたばたけ)信雄、1581年織田信長の伊賀攻めには、伊賀の地侍は連合してこれに対抗し、信雄の軍は撃退したが信長の圧倒的な軍勢についに敗れ、地侍の多くは追及を逃れて大和、山城、丹波(たんば)、河内(かわち)に流散、また徳川家康や前田利家(としいえ)、福島正則(まさのり)らの大名を頼った。翌1582年本能寺の変後、泉州堺(さかい)にあった家康の三河への帰還に協力した功により、伊賀郷士200人が同心に採用され、隠密頭(おんみつがしら)服部半蔵正成のもとで、長久手、関ヶ原、大坂の陣などで活躍し、伊賀流の名を高めた。なお、伊賀流の伝書としては、服部半蔵からの伝承を1653年(承応2)服部美濃(みの)守保清がまとめた『忍秘伝(にんぴでん)』4冊と、1676年(延宝4)伊賀湯舟の藤林保武(やすたけ)が忍術の集大成を図った『萬川集海』22巻が有名。

[渡邉一郎]

『足立巻一著『忍術』(1957・平凡社)』『奥瀬平七郎著『忍術秘伝』(1959・平凡社)』『奥瀬平七郎著『忍術――その歴史と忍者』(1963・人物往来社)』『山口正之著『忍者の生活』(1963・雄山閣)』『『日本武道全集 第4巻』(1966・人物往来社)』『『日本武道大系 第5巻』(1982・同朋舎出版)』

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精選版 日本国語大辞典

いが‐りゅう ‥リウ【伊賀流】
〘名〙 忍術の流儀の一つ。「伊賀流忍術秘書」では、恵美押勝(藤原仲麻呂)から分かれた伊賀の覚法をその祖としており、伊賀流服部覚の「忍法秘巻」には服部半蔵の祖の伊賀平田左衛門家良を流祖としている。

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