●伝奇【でんき】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
伝奇
でんき
Chuan-qi
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デジタル大辞泉
でん‐き【伝奇】
2 中国で、唐代に起こった、人生の諸相を描いた文語体の短編小説。「枕中記」「鶯鶯伝」など。また、それによった明・清代の戯曲南戯(なんぎ)の称。
出典:小学館
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世界大百科事典 第2版
でんき【伝奇 chuán qí】
[唐末の小説集]
裴鉶(はいけい)の著《伝奇》。もと3巻であったが散逸し,《太平広記》に24編の物語が収録されている。おもな作品は〈崔煒(さいい)〉〈崑崙奴(こんろんど)〉〈聶隠娘(じよういんじよう)〉〈孫恪(そんかく)〉などで,怪奇浪漫的傾向が強く,後世の戯曲小説の好材料となっている。
[伝奇小説の略称]
唐代小説の中でも恋愛豪俠を題材とするやや長編の作品をいう。
出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)
伝奇
でんき
文芸用語としての伝奇は、中国唐代の小説の呼称として用いられたのがその初めである。
唐代の小説も、その前半期のものには、志怪(しかい)とよばれる六朝(りくちょう)小説の筋書きに多少手を加えたようなものが多かったが、安禄山(あんろくざん)の乱を経て中唐の時期に至ると、急速に成長して、六朝志怪と異なる唐独自の小説のタイプを形成した。
伝奇ということばは、普通、唐代小説の総称として用いられるが、その中心は、中唐期の士人の創作である。その作法も初めのうちこそ六朝志怪の筋や枠組みを借りながら、独自の創意工夫によってモチーフを表出してゆくものが多かったが、しだいに六朝志怪の怪異の世界を離れ、現実的な人間の社会に根ざした小説が著されるようになってくる。陳玄祐(ちんげんゆう)の『離魂記(りこんき)』、沈既済(しんきせい)の『枕中記(ちんちゅうき)』『任氏伝(じんしでん)』、白行簡(はくこうかん)の『李娃伝(りあでん)』、陳鴻(ちんこう)の『長恨歌伝(ちょうごんかでん)』、元稹(げんしん)の『鶯鶯伝(おうおうでん)』などはその代表作である。伝奇は宋(そう)代以降にも引き継がれたが、唐の文人的に洗練された作風は廃れて、市民階層の勃興(ぼっこう)とともにしだいに盛んになってきた通俗小説や演劇など、白話体(話しことばのスタイル)で著される文芸作品が、志怪や伝奇のような文言(文語体)小説にとってかわって、文芸の中心と目されるようになる。そうした中国文学界内部の力関係の変化と相まって、通俗小説や戯曲のなかには、唐代伝奇に素材を得てそれを当世風に焼き直す作品が多くみられるようにもなってくる。そのような風潮のなかにあって、伝奇という呼称の使用範囲にも変化が現れ、中国南方におこり明(みん)代に盛んになる戯文(げぶん)とよばれる戯曲の別称ともなった。それに対して、唐代伝奇のような小説を伝奇小説とよんで区別することもある。小説の呼称としての伝奇は、非現実的な幻想的あるいは空想的内容をもつ点は西欧のロマンに似て、それよりも短編である。
日本で伝奇の世界を描いた小説は、近世の読本(よみほん)である。曲亭馬琴(きょくていばきん)の『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』や『南総里見八犬伝』が代表作である。
[高橋 稔]
『前野直彬訳『中国古典文学全集6 六朝・唐・宋小説集』(1959・平凡社)』▽『前野直彬編・訳『六朝・唐・宋小説選』(1968・平凡社)』▽『前野直彬編・訳『唐代伝奇集1・2』(平凡社・東洋文庫)』
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精選版 日本国語大辞典
でん‐き【伝奇】
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