●位相空間【いそうくうかん】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
位相空間
いそうくうかん
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デジタル大辞泉
いそう‐くうかん〔ヰサウ‐〕【位相空間】
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世界大百科事典 第2版
いそうくうかん【位相空間 topological space】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
位相空間
いそうくうかん
topological space
集合のなかに連続性を議論するもとになる位相という構造が導入されたものを位相空間という。この集合を一つ固定し、そのなかでいろいろな議論を展開していくため、この集合を空間、その各要素を点とよぶ。位相的な概念としては、開集合、閉集合、集積点、近傍(きんぼう)、収束などがあり、空間に位相を導入する方法も、これら諸概念に応じていろいろある。次に開集合による導入の仕方を示す。
空間Sに、次の性質をもつSの部分集合の集まりが付与されているとき、Sに
を開集合族とする位相が与えられたという。
(1)は全空間Sおよび空集合∅を含む。
(2)に属する二つの集合の共通部分はまた
に属する。
(3)に属する集合(どれだけたくさんあってもよい)の和集合は、また
に属する。
に属する集合を開集合という。Sの相異なる2点p、qに対して、pを含む開集合Uとqを含む開集合Vを適当にとれば、両者が交わりをもたないようにできる(U∩V=∅)とき、Sをハウスドルフ空間といい、この性質をもつ空間を議論することが多い。
位相空間Sの部分集合Mは次の性質をもつとき、コンパクトであるという。「開集合の集まりでその全体の和集合がMを含んでしまうようなものを考えるとき、いつでも、そのうちの適当な有限個をとればすでにその和集合がMを含んでいる」。コンパクト性は位相空間の性質を論ずる際にもっともよく用いられる重要な概念である。また、二つの位相空間S、Tの間の写像f:S→Tが連続であるのは、Tの開集合のfによる原像がつねにSの開集合となる、という性質をもつときである。
位相空間の例をあげよう。数直線では、集合Oが開集合であることを次のように定義する。すなわち、Oに属するどの点pに対しても、Oに含まれpを含む区間がとれるときである。このようにして定めた開集合の全体をとすれば、数直線は位相空間となる。これが位相空間の原型である。次に、空間Sの2点p、qに対して定義された関数d(p,q)が、
の性質を有するとき、これをS上で定義された距離関数といい、距離関数の付与された空間を距離空間という。たとえば、座標平面では、
のようにとれば距離関数が得られ、距離空間となる。したがって距離空間とは、数空間の考察を一般化したものといえる。距離空間では、点pに対し、
V={q:d(p,q)<ε}
の形の集合をpのε(イプシロン)近傍という。そして、集合Oが開集合であることを、数直線の場合と同様に、Oのどの点pに対してもOに含まれるようなpのあるε近傍があること、と定義すれば、Sは位相空間(ハウスドルフ空間)となる。
位相的な概念が初めて一般的な形で登場したのはカントルによる(1872)。彼は数直線において、集積点や導集合の考えを導入し議論した。一般の空間に位相を導入する議論に初めて成功したのはハウスドルフである(1915)。ついでクラトフスキー(1922)、ベーユやカルタンやバーコフ(1937)らによって位相の導入のいろいろな仕方が与えられた。
[竹之内脩]
『竹之内脩著『集合・位相』(1970・筑摩書房)』
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精選版 日本国語大辞典
いそう‐くうかん ヰサウ‥【位相空間】
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