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住民運動【じゅうみんうんどう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

住民運動
じゅうみんうんどう
地域住民が,その居住地域を基盤にして,環境保全など比較的生活に密着した要求を掲げて行う自主的運動市民運動といわれることもあり,既成政党行政に対して相対的に自立している点に特徴がある。日本では,1960年代後半以降,市民の権利意識が大きく向上し,他方で既成政党地域を組織する能力をもたないという状況のなかで,環境破壊の進行契機に急速に活発化してきた。単なる反対運動から行政への市民参加を求めるものまで種々のレベルの運動があり,またその組織形態も,独自の運動体によるものから既存町内会などによるものまで多様である。しかし,革新自治体の隆盛期の 70年代に活発であったこの運動も,80年代以後はやや衰退傾向がみられる。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

じゅうみん‐うんどう〔ヂユウミン‐〕【住民運動】
地域住民が職業階層をこえて結集し、その地域にかかわる問題解決するために行う運動。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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世界大百科事典 第2版

じゅうみんうんどう【住民運動】
一定の地域住民が,共通の要求達成や問題解決のため,連帯して住民組織を結成し,政府や自治体,企業などに対して働きかけをする運動。高度経済成長期における工業生産力の膨張国土の乱開発は,水,空気,土壌の著しい汚染をもたらし,人間の健康にも深刻な影響を及ぼした。また,一部の薬品や食品添加物による健康障害も顕在化するにいたった。1960年代になって住民はこれらの公害に対して連帯して抗議するようになった。公害発生企業に対する直接抗議行動,開発計画の再検討や差止めを要求する陳情訴訟,加害企業の責任を明らかにして正当な補償を求める交渉裁判などを行った。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

じゅうみんうんどう【住民運動】
同じ地域に住む人々が結集し、その地域で起きた問題の解決のために行う運動。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

住民運動
じゅうみんうんどう
地域生活の場で、階層や職業の差異を越えて、共通の地域生活の困難の解決を目的に結び付いた人々や集団の横の連帯に基づく運動をいう。資本主義の高度な発達下での資本の極端な生産主義は、中央集権的な国家権力を強化し、国民の生活基盤や自然環境を破壊させてきた。わが国では、1960年代中ごろ以降、公害反対運動、生活要求運動が全国的に展開されてきた。これらの運動は、地域生活と不可分な居住地で引き起こされてきたことから、住民運動とよばれている。この運動は、基本的には地域問題、生活問題をめぐる社会的緊張関係から生ずるものであるから、権力との対抗関係をも生み出す。したがって、地域社会の民主化のための住民の諸権利の主張や、地域づくりなどの住民参加を求める運動ともなってきた。[似田貝香門]

沿革

近代日本社会の形成途上において典型的にみられたのは、足尾銅山をめぐる鉱害反対運動である。住民運動がとくに展開されたのは、1955年(昭和30)以降の高度経済成長による資本の強蓄積過程にみられた、全国的地域開発のときである。この時期は、工業開発が優先され、土地、水などの自然資源がこの過程で破壊を受け、水俣(みなまた)病、イタイイタイ病、四日市喘息(ぜんそく)などの公害反対運動や、幹線道路、空港、火力発電所、原子力発電所の建設など公共事業への反対運動が各地で展開された。この時期の住民運動の展開上の特徴は、先にあげた公害反対運動が、すでに公害を被ってしまったあとに救済要求として起こった運動(事後救済型の住民運動)であったのに対し、後者の公共事業反対運動は、このような環境破壊を引き起こさないようにあらかじめ予防する事前予防型の住民運動であった。
 1970年代に入ると、住民生活の基盤の整備の遅れがいっそう顕著となり、消費、住宅、交通、清掃、教育、福祉などの生活諸問題をめぐる生活要求運動が展開された。この展開のなかで、住民の基本的人権の権利要求、政治参加者としての自覚、公共事業に対する住民参加の制度要求など、種々の市民としての権利要求がみられ、同時に、全国に100以上の革新自治体を成立させていった。80年代に入ると、70年代の第一次、第二次オイル・ショックを機に、低経済成長期になり、公害反対運動は少なくなったが、逆に住環境の質向上を求め、都市や自然のアメニティ(住み心地のよい快適さ)を求める運動、障害者の自立化や外国人居住者の生活支援・文化相互理解などのマイノリティの住民運動や市民運動が加わり、他方で運動の成果を維持し、参加等を強調する住民活動・市民活動やNPO(民間非営利組織)やNGO(非政府組織)も増加してきた。また、市民による情報公開請求や住民投票条例制定を求める動きもある。とくに住民投票条例制定要求は1990年代以降活発で、原子力発電所や産業廃棄物問題などでは住民投票が実施されている。[似田貝香門]

特徴

住民運動は、第二次世界大戦後の日本の政治運動や労働運動に対し独自の運動形態を形成し、多くの影響を日本社会にもたらしてきた。この独自性については、運動内容と組織内容から次の点をあげることができる。
(1)既存の社会運動との差異は、生産に対して消費の場からの運動であったことである。生活の場としての消費生活や地域生活から生産メカニズムや政治のあり方を見直してきた。
(2)既存の運動が、理念や既存革新のリーダーシップや組織に依存して展開されてきたのに対し、住民運動は、私的生活を中心とする具体的なテーマの解決を目ざす自前の運動であった。住民運動のきっかけを形成するエネルギーは、私的生活次元における社会生活の見直しから、政治の場を検証していったところにある。公共事業の「公共性」批判の論点が多くの住民運動から提起されたのは、こうした理由からである。
(3)運動の組織化には多様な展開がみられる。既存の集団(町内会、PTA、農協)などを丸抱えにして展開したものや、逆に、既存の集団から自立することによって新たな集団の組織化を試みたものまで多様である。
(4)住民運動の最大の特色は、単なる反対運動にとどまることなく、反対する論理を形成したり、新たな生活の価値を生み出して、参加者の生活革新を行いつつ運動が展開されてきたことにある。このような運動が多数形成されることによって、市民政治の底流が変化していき、市民参加の地域政治が望まれるようになった。[似田貝香門]
『松原治郎・似田貝香門編著『住民運動の論理』(1976・学陽書房) ▽小山弘健著『たたかう住民たち――現代住民運動』(1984・新泉社) ▽木原啓吉著『暮らしの環境を守る――アメニティと住民運動』(1992・朝日新聞社) ▽国立国会図書館編『住民運動と平和運動――新聞ニュースに見る社会史大事典 第12巻』(1995・大空社) ▽新村勝雄著『大地の夜明け――戦後住民運動の記録』(1997・崙書房出版) ▽畠山光弘著『住民運動としての環境監視』(1998・明窓出版) ▽木原啓吉著『ナショナル・トラスト――自然と歴史的環境を守る住民運動』(1998・三省堂) ▽新妻二男・内田司編著『都市・農村関係の地域社会論』(2000・創風社) ▽「'00神戸市長リコール運動の記録」刊行委員会編・刊『空港ストップ!沈黙しなかった神戸市民』(2000) ▽今野裕昭著『インナーシティのコミュニティ形成――神戸市真野住民のまちづくり』(2001・東信堂)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

じゅうみん‐うんどう ヂュウミン‥【住民運動】
〘名〙 ある地域に住んでいる人々が、自分たちの生活にかかわる問題を解決するために、国や地方公共団体、企業などに直接働きかけること。
※現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉IV「新全国総合開発計画が、住民運動、公害裁判等によって再検討を余儀なくされ」

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知恵蔵

住民運動
市民運動」のページをご覧ください

出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」

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