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価格統制【かかくとうせい】

日本大百科全書(ニッポニカ)

価格統制
かかくとうせい
商品価格、サービス料金、賃金、利子率などの決定を市場の自由な決定に任せずに、政府当局などが政策的に指定あるいは規制すること。それは価格水準に一定の枠をはめるだけで、その水準における需給量には直接干渉しないという点で、数量そのものに干渉する数量統制(割当制、配給制など)とは異なる。
 自由経済において価格統制が行われるのは、第一に、戦時やインフレ時などのように価格を市場決定に任せておくと投機や売り惜しみなどで円滑な経済活動が阻害されるおそれのある場合である。わが国では第二次世界大戦中に広範な物資について公定価格制が採用された。また戦後にも1973年(昭和48)のオイル・ショックによる物価急騰の対策として、翌74年に、13品目についての価格凍結(値上げの事前了承制)や、石油製品などについて小売価格の上限を決めた標準価格制などが実施されたが、これらも価格統制の一種である。またコスト・インフレ(生産性上昇率を上回る賃上げによっておこるインフレ)を抑える目的で、政府当局などが賃上げ率を公示・勧告・規制する所得政策も、先進諸国においてしきりに試みられたが、これも賃金統制に準ずる意味で価格統制といえよう。
 こうした価格統制は、政府当局に対する国民の信頼感がなくては成功しない。それがないときには、強力な罰則などを設けない限り、闇(やみ)価格、闇取引、闇賃金を横行させ、二重価格制(公定価格と闇価格の併存状態)をもたらして経済秩序を混乱させる。したがって統制を長期に行うためには、価格調整補給金(補助金)、価格支持制度(当局自体が当該商品の売買に参加して価格を安定させる制度)や数量統制そのものに移行せざるをえない。
 価格統制の第二は、経済構造を政策的に規制または変更しようとするときに用いられる政策的規制である。たとえばニューディール時のアメリカで石油化学工業振興のために石油ガスの価格を低水準に据え置いたが、これがひいてはアメリカの工業全体の発展に大きく寄与した。またわが国は第二次大戦後、低金利政策を一貫して採用し、そのため貸出金利と預金金利の上限を公定した。この低利の資金によって、戦争で荒廃した企業の復興およびその後の設備投資が推進され、今日の経済発展の基礎が築かれたのである。いずれも政策的規制が成功した好例といえよう。
 第三は、独占的ないし公益性の強い事業を制御する目的で行うものである。わが国の運輸料金の認可制、米価の公定制などの公共料金がその例にあげられる。しかしこれらは、運輸会社の経営の政治待ち、食管会計赤字の累積と農業合理化の停滞などをもたらした。[一杉哲也]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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