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保健所【ほけんじょ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

保健所
ほけんじょ
health center
地域住民の健康の保持増進活動の中心となる公的機関。日本では 1937年に結核予防対策を中心とする保健所法に基づき各地区に設けられ,1938年厚生省設立とともにその所管となった。第2次世界大戦後しばらくは感染症対策を中心とした活動を行なったが,やがて成人病精神衛生公害を対象とする衛生行政中核に変容した。原則として人口 10万人に1ヵ所の割合で設置されている。急速に進展する高齢化社会に対応するために,1994年に保健所法が改定されて 1997年に地域保健法が施行された。地域保健法に定められている保健所のおもな事業内容は,健康相談,結核予防,母子保健歯科衛生栄養改善事業,予防接種,感染症予防,寄生虫予防,環境衛生食品衛生衛生教育,保健師事業,医療社会事業,試験検査,精神衛生などである。また,人口動態統計窓口にもなっている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ほけん‐じょ【保健所】
地域の公衆衛生活動の中心となる公的機関。都道府県政令指定都市および東京都特別区が保健所法に基づいて設置し、医師保健師などを置き、衛生思想の普及向上、栄養の改善、衛生の指導疾病の予防などを行う。昭和12年(1937)創設。

出典:小学館
監修:松村明
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栄養・生化学辞典

保健所
 地域で,疾病の予防,健康増進,環境衛生などを進めるために設立されている施設

出典:朝倉書店
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世界大百科事典 第2版

ほけんじょ【保健所】
疾病の予防,健康増進など地域住民の保健指導を行う公的機関をいう。経営主体や事業内容にはがあるが,先進諸国をはじめ,多くの国々で設けられている。ただし,発展途上国には類似の機関のない国もある。日本では保健指導のほか,人口動態,環境衛生など衛生関係の行政事務・検査も処理している。1937年に制定された〈保健所法〉にもとづき全国39ヵ所に設置されたのに始まり,44年には古くからあった種々の官公立健康相談所が保健所に加えられて全国770ヵ所となった。

出典:株式会社平凡社
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日本大百科全書(ニッポニカ)

保健所
ほけんじょ

疾病の予防、健康増進、環境衛生など、地域公衆衛生活動の中心となる公的機関であり、地域住民の生活と健康に重要な役割をもつ。「地域保健法」(昭和22年法律第101号、成立時の名称は保健所法。1994年改正により現名称となる)第5条では、各都道府県、政令で定める市および東京都特別区がこれを設置するとしている。2007年(平成19)4月現在、全国に518(都道府県立394、政令市立101、東京都特別区立23)の保健所が設置されている。なお、保健所はその性格によって都市型、農山漁村型、中間型、人口希薄地域型、支所型に分類されていたが、現在ではその区別はされておらず、保健所数はむしろ所管区域の拡大などのため減少している。

[春日 齊]

保健所活動と組織

地域保健法第6条では、保健所は次に掲げる事項について指導およびこれに必要な事業を行うこととなっている。

 (1)地域保健に関する思想の普及および向上、(2)人口動態統計その他地域保健にかかわる統計、(3)栄養の改善および食品衛生、(4)住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境の衛生、(5)医事および薬事、(6)保健師、(7)公共医療事業の向上および増進、(8)母性および乳幼児ならびに老人の保健、(9)歯科保健、(10)精神保健、(11)治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期の療養を必要とする者の保健、(12)エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防、(13)衛生上の試験および検査、(14)その他地域住民の健康の保持および増進。このうち、(6)の保健師活動は、保健所の起源をなすものであり、その国の事情に応じてそのあり方は独自の発展を遂げているが、いずれの国にあっても、活動の基本となったものは保健師事業であった。保健所は、地域保健の広域的・専門的・技術的拠点として、情報の収集・整理・活用・調査・研究・企画・調整機能の強化を図っている。

 学校保健行政、労働衛生行政および環境保全行政に密接な関係をもちながら、一般衛生行政において、保健所の占める組織上の地位は次のとおりである。すなわち、都道府県においては、国(厚生労働省)―都道府県(衛生主管部局)―保健所―市町村の体系であるが、政令市および東京都特別区においては、その市長・特別区長に都道府県知事の有する権限を与え、保健所長を通じて前述のような事業を実施させることとし、国(厚生労働省)―政令市および特別区(衛生主管部局)―保健所という体系となっている。したがって、政令市および東京都特別区立の保健所は、都道府県知事の事業に加え、一般市町村長の事業もあわせ行うのが特徴である。たとえば、予防接種法による定期接種は市町村長が実施することとなっているため、都道府県立の保健所においては市町村の指導にとどまり、実施することはないが、政令市および東京都特別区立の保健所では、自ら実施するのが普通である。保健所の組織は、所長(医師に限られる)の下に総務課、衛生課、保健予防課、普及課の4課を置くのが一般的であるが、最近の経済社会の変動に伴い、規模と組織が多様化している。なお、保健所では医師、歯科医師、保健師、助産師、獣医師、栄養士をはじめとする多くの専門技術者によるチーム・ワークを必要とするため、職員の質と量を計画的に確保することが重要である。このため、国立保健医療科学院、国立環境研究所をはじめ、大学、研究所などにおいて養成訓練や研究協力が行われている。また、保健所には、地域の市町村や他の行政機関、医療関係者、学校、企業、一般住民代表などからなる運営協議会が置かれ、地域に、より密接した公衆衛生活動の推進が図られている。

[春日 齊]

保健所の沿革

1862年、イギリスのラスボーンWilliam Rathbone(1819―1902)がリバプール市を18の訪問看護地区に分けて、それぞれ1名の地区保健師を配置して母子保健事業を行い、これを中心として母子保健福祉相談所が設営されたのが保健所の起源とされる。日本では、1935年(昭和10)ロックフェラー財団の援助を得て、東京市京橋区(現東京都中央区)に都市保健館が、37年に埼玉県所沢(ところざわ)町(現所沢市)に農村保健館が設けられたのが始まりとされているが、これらモデル保健所の誕生は公衆衛生発展の歴史的必然性に基づくものといえる。すなわち、明治時代の末には、この時代を通じて焦眉(しょうび)の急であったコレラ、痘瘡(とうそう)(天然痘)をはじめとする検疫伝染病(1998年「感染症予防・医療法」公布に伴い「検疫感染症」と呼称変更)対策の態勢がようやく整えられ、大正時代になると、伝染病もしだいに赤痢、腸チフスなどの常在伝染病や結核、ハンセン病、トラコーマ、寄生虫などの社会的慢性疾患に焦点が移っていった。やがて、昭和に入ると富国強兵の国策上から、国民の体位向上、健康の増進を図るため母子保健と結核対策がとくに大きく取り上げられることとなった。これらの推進のためには、家庭訪問などの地域社会に密着した指導や積極的な健康増進の施策が必要とされ、保健師活動を中核とする結核予防に対する健康相談、妊産婦・乳幼児に対する健康相談などの普及を経て、モデル保健所の発足となった。引き続いて、1937年「保健所法」(旧法)が制定され、翌38年には厚生省が内務省より分かれて新設された。これによって、保健所も各種相談所などを統合して行政機関としての全国的態勢をとるに至ったが、実際の機能は相談所の域を超えず、戦時下の末端衛生行政そのものは、依然として警察によって掌握されていたのが現実であった。

 これが改められたのは、第二次世界大戦の終息によって、新憲法第25条の基本理念(国民の生存権、国民の社会保障的義務)に基づく行政機構の再編成が行われ、1947年(昭和22)に新たな「保健所法(94年の改正により現行の地域保健法となる)」が成立してからである。同法は、保健所を衛生行政の第一線機関として位置づけ、1874年(明治7)以来続いてきた警察の取締り行政を科学的指導行政へと大きく転換させた。そして、人口10万人に1か所を目標とした、保健所網の整備から、より高いレベルの公衆衛生行政が必要となっており、急激な社会経済の変動、疾病構造や人口構造の変化、医療および福祉の近代化に伴って、保健所にも大きな転換期が訪れている。

[春日 齊]

『『保健所五十年史』(1988・日本公衆衛生協会)』『朝倉新太郎・野村拓・儀我壮一郎・西岡幸泰・日野秀逸編『講座 日本の保健・医療3 地域と医療』(1990・労働旬報社)』『北川定謙著『地域保健法による新しい地域保健事業の進め方――保健所と市町村の役割』(1997・日本公衆衛生協会)』『保健衛生施設研究会編『保健衛生施設関係ハンドブック』(2001・中央法規出版)』

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精選版 日本国語大辞典

ほけん‐じょ【保健所】
〘名〙 都道府県、政令指定都市および東京都の特別区が、地域保健法(旧称、保健所法)により、人口一〇万人あたり一か所の割合で設置する衛生行政機関。

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