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全体主義【ぜんたいしゅぎ】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

全体主義
ぜんたいしゅぎ
totalitarianism
個人の利益よりも全体の利益が優先し,全体に尽すことによってのみ個人の利益が増進するという前提に基づいた政治体制で,一つのグループが絶対的な政治権力を全体,あるいは人民の名において独占するものをいう。歴史的にはナチス・ドイツ,ファシスト・イタリアなどのファシズム政治体制があげられるが,スターリニズムや毛沢東主義などを含むこともある。一党独裁,政権の不誤謬性,議会民主主義の否定,表現の自由に対する弾圧,恐怖による警察政治,宣伝機関の独占,経済統制軍国主義という共通点がある。 20世紀に出現した現象であり,マスコミュニケーションと兵器の技術進歩によって,初めて可能となった。従来の専制政治と異なるのは,大義が強調され,そのもとに人の生活全般にまで統制が行われる点である。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

ぜんたい‐しゅぎ【全体主義】
個に対して全体を優先させる主義。
個人の権利や利益、社会集団の自律性や自由な活動を認めず、すべてのものを国家の統制下に置こうとする主義。独裁や専制政治などと同義に用いられる。→個人主義自由主義

出典:小学館
監修:松村明
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世界大百科事典 第2版

ぜんたいしゅぎ【全体主義 totalitarianism】
〈個〉に対する〈全体〉(国家,民族階級など)の優位を徹底的に追求しようとする思想・運動・体制をいう。この言葉の起源は,イタリアのファシズムの最高指導者ムッソリーニが,運動の目標として1924年ころから掲げた〈全体主義国家〉の概念に求められる。〈全体主義〉という表現がファシズムに対する弾劾の言葉として初めて登場したのは,1929年11月2日の《タイムズ》(ロンドン)といわれる。この概念はその後,39年8月の独ソ不可侵条約の成立を経て,イタリアのファシズム,ドイツのナチズムとソビエトのスターリン体制の支配の共通の特質を抽出して告発する言葉となり,40年代初頭には,E.レーデラーの《大衆の国家》(1940),ノイマンSigmund Neumann(1904‐62)《恒久の革命》(1942)など全体主義理論の古典的著作が生まれた。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ぜんたいしゅぎ【全体主義】
個人は全体を構成する部分であるとし、個人の一切の活動は、全体の成長・発展のために行われなければならないという思想または体制。国家・民族を優先し、個人の自由・権利は無視される。 → 個人主義
wholism クワインに代表される哲学的立場。各命題の真偽は他の命題とは独立に決定するという立場に対し、すべての命題の真偽は理論全体の中で決定するという立場。ホーリズム。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

全体主義
ぜんたいしゅぎ
totalitarianism
全体があるから個が存在するという論理によって国家利益を優先させる権力思想、国家体制、またそうした体制を実現しようとする運動の総称。歴史的には、とくに1920年代から1940年代中葉にかけて、イタリア、ドイツ、日本などに登場したファシズムの思想をさす。しかし、第二次世界大戦後の「冷戦構造」激化の時代には、米ソが互いの政治体制を非難して(アメリカ側は「スターリン体制」、旧ソ連側は「マッカーシズム」と攻撃)全体主義と呼び合っていた。[田中 浩]

全体主義の特質

全体主義は、イタリア、ドイツ、日本などのような後れて資本主義の成立した国々が、欧米の先進諸国に対抗して強力な権威国家の確立を目ざすために国民を指導した政治原理である。これらの国々は、ほとんど植民地をもたず、また経済的基盤が脆弱(ぜいじゃく)であったから、第一次大戦後から世界大恐慌の時期にかけて未曽有(みぞう)の経済的危機に陥った。そこで、伊・独・日3国においては、ファシズム、ナチズム、天皇制ファシズムなどの政治原理によって、独裁制に基づく政治支配を通じて国民的意志統一を図り、国内経済の発展と海外侵略による資源の獲得を追求する政策をとる必要があった。そのような政策を根拠づけた思想原理が全体主義である。もっとも、この全体主義の内容は、伊・独・日3国の間でもかなりの違いがみられるが、ここでは、いくつかの共通点について述べておく。
 まず第一には、全体主義は国家の経済に対する全面的な統制・監督を是認する思想として特徴づけることができる。この点では、全体主義は一見、非資本主義的で、社会主義的計画経済と類似しているようにみえるが、似て非なるものである。なぜなら、ここでは、私的企業のイニシアティブは原則として維持されるが、階級闘争は断固として否定され、労資協調による国家の監督・指導の下に生産力を高めるという新しい方式が考案されていたからである。全体主義国家とは、「国家が社会(経済)を飲み尽くすという意味で全体的である」というシュミットのことばは、全体主義の性格を正しく指摘したものといえよう。
 全体主義の第二の特徴としては、その偏狭な民族主義的狂信主義があげられる。ムッソリーニが、マルクスの階級理論に対して民族の神話を優位に置き、ローゼンベルクが、国家は民族維持の手段にすぎず、国家は変化するが民族は不変である、と述べているのがその例である。ここから、ナチズム特有の「血の純潔」「血と土」「反ユダヤ主義」などの主張が導き出される。また戦時期日本における「天孫民族」「八紘一宇(はっこういちう)」の思想も民族主義的狂信主義の一種といえよう。
 さらに全体主義の第三の特徴としては、反個人主義、反自由主義、反民主主義、反議会主義、反マルクス主義などがあげられる。全体主義国家において人権や自由が抑圧され、政党、労働組合などのすべての政治・社会集団の活動が否定されたのは、それらが強力な国家統一の目的に反するものとみなされたからである。[田中 浩]

戦後の全体主義

ファシズム国家は、第二次大戦後、地球上からその姿を消した。ファシズムは、その後も全体主義の亡霊として人々の間で語られたが、やがて、米ソの対立激化とともに、全体主義概念やその用語法も変容した。
 一つは、資本主義陣営が社会主義国家の政治体制をさして、個人の人権や自由を認めない全体主義国家とよぶ場合である。この攻撃は、1930年代に始まるスターリンの粛清や第20回ソ連共産党大会(1956)におけるフルシチョフのスターリン的官僚主義批判などによって一時期大いにその効果を発揮したが、その後のソ連におけるスターリン主義清算への努力もあって、現在、ファシズム国家と社会主義国家を全体主義として同一視する極端な傾向は影を潜めた。他方、1950年代に入って、アメリカで思想・信条の自由を抑圧したマッカーシズムによる「赤狩り」をさして、社会主義の側からアメリカを全体主義国家と非難する用法もみられた。
 このようなきわめてイデオロギッシュな全体主義概念は、第二次大戦直後の米ソ、米中の対立激化のなかで生まれたものであるが、1950年代後半以降の緊張緩和と平和共存論の台頭によって、また1989年の「冷戦終結宣言」以後、相互に敵を攻撃する用語法としてはしだいにその有効性を失いつつある。もっとも、今日においても、自由と民主主義を抑圧する権威主義的支配形態としての全体主義をめぐる問題は十分に解決されたものとはいえない。そうした危険性は、議会制民主主義をたてまえとする資本主義国家や全人民国家を標榜(ひょうぼう)する社会主義国家においても潜在的に存在しているし、アジア・アフリカ・中近東・中南米などの政治的安定を欠き、軍事政権や独裁政権が支配している第三世界の国々においては、いまだに切実な現代的問題であるといえよう。[田中 浩]
『ハンナ・アーレント著、大久保和郎・大島通義・大島かおり訳『全体主義の起原』全3冊(1972~1974/新装版・1981・みすず書房) ▽田中浩「全体主義」(『経済学大辞典』所収・1980・東洋経済新報社) ▽田中浩著『カール・シュミット』(1992・未来社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ぜんたい‐しゅぎ【全体主義】
〘名〙 個人は全体(国家、民族、階級など)の構成部分として初めて存在意義があると考え、国家権力が個人の私生活にまで干渉したり統制を加えたりする体制、あるいはそれを是認する思想。ナチズム、ファシズムなどに代表される。
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生東京を去る「先生のやうな全体主義の人が、道徳偏重者に向っては自由な芸術主義を唱へ」

出典:精選版 日本国語大辞典
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旺文社世界史事典 三訂版

全体主義
ぜんたいしゅぎ
totalitarianism
国家または民族を至高のものとし,個人はこれに従属・奉仕すべきものとする思想
「民族の祖国の土」「民族精神」などの超越的観念が「民主主義のもたらした混乱」の唯一救済策として主張され,個人の自由や議会政治を否定し,狂暴な軍事独裁体制となって現れる。

出典:旺文社世界史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
小豆畑和之 石井栄二 今泉博 仮屋園巌 津野田興一 三木健詞
 
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旺文社日本史事典 三訂版

全体主義
ぜんたいしゅぎ
totalitarianism
国家または民族を至高のものとし,個人は全体のために奉仕するべきであるという思想
個人の自由を最高の価値であるとする近代市民社会の原理に対し,資本主義の一般的危機の段階に現れてくるファシズムにおいては,個人の自由を否定し,指導者の独裁政治に奉仕する一政党のみを認めようとする。1920年代から'40年代にかけての,イタリア・ドイツ・日本の国家体制がその典型。第二次世界大戦後は,共産主義体制を批判する概念ともなった。

出典:旺文社日本史事典 三訂版
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