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全身性エリテマトーデス【ゼンシンセイエリテマトーデス】

デジタル大辞泉

ぜんしんせい‐エリテマトーデス【全身性エリテマトーデス】
膠原病(こうげんびょう)の一種。関節の痛みや、鼻を中心に両ほおにかけて現れる紅斑が特徴的であるが、全身の臓器に炎症が起こるために症状はさまざま。若い女性に多い。厚生労働省特定疾患に指定。紅斑性狼瘡(ろうそう)。ループスSLE(systemic lupus erythematosus)。

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
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家庭医学館

ぜんしんせいえりてまとーです【全身性エリテマトーデス】
 全身性エリテマトーデスは厚生省(現厚生労働省)の特定疾患(とくていしっかん)(難病(なんびょう))に指定されており、治療費の自己負担の大部分は、公費で支払われます。

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

ぜんしんせいえりてまとーです【全身性エリテマトーデス】

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

ぜんしんせいエリテマトーデス【全身性エリテマトーデス】
膠原病こうげんびようの中の代表的な病気。二〇~四〇歳の女性に好発。発熱に伴って顔や四肢に特徴のある紅斑や、筋肉痛・関節痛・脱毛・レイノー症状などが見られ、心臓や腎臓、神経系などがおかされる。紅斑性狼瘡。 SLE 。

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

全身性エリテマトーデス
ぜんしんせいえりてまとーです
systemic lupus erythematosus
エリテマトーデスは紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)ともよばれ、いろいろな臓器が冒される全身性エリテマトーデス(略称SLE)と、おもに皮膚に病変がみられる円板状エリテマトーデス(DLE)に分けられ、両者間にはさまざまな移行型がある。SLEは特定疾患(難病)に指定されている。
 SLEは女性に多い(男性の約10倍)病気であり、とくに妊娠可能な若い年齢に目だつ。原因は不明であるが、免疫異常によることは確かで、感染症、紫外線(日光)、心身のストレス、妊娠・出産、ある種の薬剤(ヒドララジンなどの降圧剤やプロカインアミドなどの抗不整脈剤など)が誘因となる。患者の家族には、このほかの膠原(こうげん)病や自己免疫疾患にかかっている人があり、体質の遺伝も考えられている。
 症状は多種多様で、初発症状としては関節や筋肉の痛みがもっとも多く、発熱を伴い、顔面の蝶(ちょう)形紅斑などの皮膚症状やタンパク尿などの腎(じん)症状もみられる。このほか、胸膜炎や肺炎などの呼吸器症状、心膜炎や心筋炎などの心症状、てんかん様のけいれん発作や多発神経炎などの神経障害などもみられる。
 診断上もっとも重要なことは抗核抗体の証明である。これは自己免疫疾患にみられる血中自己抗体の一種で、細胞核の成分に対する抗体をいい、蛍光抗体法による検査でほとんど100%陽性を示す。この抗体は強皮症やリウマチ様関節炎などでも陽性を示すので、診断は臨床症状とともに総合的な判断を行う必要がある。
 治療には副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)や免疫抑制剤などが使われる。また、誘因を避けることも必要である。寛解と増悪を繰り返し、慢性に経過するものが多く、以前ほど予後は悪くないが、強い腎障害、神経障害、心筋障害がある場合はとくに注意を要する。[高橋昭三]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

ぜんしんせい‐エリテマトーデス【全身性エリテマトーデス】
〘名〙 (エリテマトーデスはErythematodes) 膠原(こうげん)病の一つ。多臓器を障害する慢性炎症性疾患。病因は不明だが、自己免疫病の一つと考えられている。若い女性に好発し、関節症状、顔面紅斑、発熱、腎症状などの症状が見られる。紅斑性狼瘡(ろうそう)

出典:精選版 日本国語大辞典
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内科学 第10版

全身性エリテマトーデス(膠原病にみられる肺病変)
(5)全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematodes:SLE)
 SLEに伴う肺病変は間質性肺炎,急性ループス肺炎,肺胸膜炎,肺胞出血,肺梗塞,肺高血圧など多岐にわたり,無症候性の異常から致死的合併症までみられる.SLEは性ホルモンが自己免疫を増強させるため女性に好発するが,肺病変の合併は男性に多い.間質性肺炎の合併頻度はほかの膠原病と比較して低く10%程度である.胸膜炎はSLEの呼吸器病変として最も高頻度にみられる肺病変である.呼吸筋の障害,特に横隔膜が挙上して拘束性換気障害をきたすshrinking lungとよばれる病態がある. 肺胞出血はSLEの活動期に多く,抗原であるDNAなど核成分と結合して免疫複合体が形成されることとの関連が推測されている.またSLE患者の30~40%に抗リン脂質抗体症候群が合併する.[千田金吾]

出典:内科学 第10版
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全身性エリテマトーデス(膠原病および類縁疾患)
(2)全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)
 全身性エリテマトーデス(SLE)の消化管病変はどの部位にも発症することがあり,約半数のSLE患者に消化器症状が出現するといわれる.よく認められる症状としては腹痛,悪心・嘔吐,食欲低下,下痢などである.おもに,ループス腸炎と蛋白漏出性腸炎に大別される.
a. ループス腸炎
i)虚血性腸炎型
 急性発症で腹痛,下痢などの症状を伴いしばしば腹膜刺激症状や腹水を認める.病変は広範な小腸に認められることが多い.粘膜下層から漿膜側の血管炎によるもので,粘膜面の変化には乏しいが,粘膜下層の浮腫による著明な腸管壁肥厚が認められる.ステロイドが有効であるが再発を繰り返すことが多い.
ii)多発潰瘍型
 大腸に打ち抜き様の多発潰瘍を形成する.おもに直腸とS状結腸および下行結腸の左側結腸に発症し,男性に多く,SLE治療開始後の寛解期に発症することが多い.ステロイド抵抗性であり,約半数で穿孔に至り外科的治療が必要となる.
b. 蛋白漏出性腸炎
 下痢を伴って緩徐に発症することが多く,小腸からの蛋白漏出に伴う低蛋白血症と浮腫や腹水などの随伴症状を認める.SLEの病勢に相関することが多くステロイドが奏効するとされる.[安藤貴文・後藤秀実]

出典:内科学 第10版
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全身性エリテマトーデス(リウマチ性疾患)
定義・概念
 臓器非特異的自己免疫疾患の代表格で,さまざまな自己抗体とそれらによる多彩な臓器傷害を特徴とする慢性炎症性疾患である.女性は男性の10倍ほど発症が多く,女性では若年から中年に好発する.傷害臓器は全身にわたるがすべての患者で一様ではなく,臨床症状も多彩である.症状は,発熱,日光過敏,皮疹,多発関節炎,糸球体腎炎,中枢神経障害,血球減少,漿膜炎などである.原因は不明であるが,遺伝的要因,環境要因,感染症,性ホルモンなどが影響する.免疫抑制療法を中心とした治療法も病態に応じて選択する.
分類
 全身性エリテマトーデス(SLE)はさらに細かく分類するようなことはなく,その必要はないが,特殊な症状の出現を称して,ループス腎炎(糸球体腎炎),精神神経ループス(おもに中枢神経系の症状発現)とよぶことはある.これらは,予後不良な臓器傷害である場合が多く,治療法の選択,機能障害,生命予後などの観点から分けて考える必要があるため,このようなよび方をされている.しかし,重複する場合もあり,SLEを分類するためのものではない.また,SLEの亜型として,特徴的な円板状皮疹を呈する円板状ループスエリテマトーデス(discoid lupus erythematosus:DLE),亜急性皮膚ループスエリテマトーデス(subacute cutaneous lupus erythematosus:SCLE),さらに特殊型として深在性ループスエリテマトーデス(lupus erythematosus profundus),SLEの母親から生まれた新生児にみられる新生児ループス(neonatal lupus(syndrome)),そして薬剤によって誘導される薬剤性ループスエリテマトーデス(drug-induced lupus)(後述)などがある.
原因・病因
 原因は不明である.遺伝的な要因があることは明らかで,一卵性双生児における罹患一致率は報告によって差はあるがおよそ30%程度で,二卵性双生児においてはその一致率はおよそ一卵性双生児の1/10程度とされていることからも明らかである.SLEに関連するとの報告がある遺伝子は,近年の網羅的全遺伝子解析により年々その数が増加している(表10-4-1).しかし,一卵性双生児の検討からも明らかなように遺伝的要素以外にも大きな要因となるものがある.遺伝的要素以外には,環境要因(薬剤,食品など),感染症(おもにウイルス),性ホルモン(9:1で女性に多く,若年女性に好発,去勢雌マウスにおいてはSLE様症状の発症が少ない)などが報告されている.近年,エピジェネティックな変化(DNAメチル化,ヒストン修飾,microRNA)がSLE発症や病態に関与するとの報告も増えている.また,自己抗体の発現パターンも一卵性双生児においては酷似していると報告されており,自己抗体の産生機序,さらには病態にも遺伝的要素が関与する可能性が高い.自己抗体は,SLE発症数年前には一部のものはすでに存在し,その自己抗体としては,抗核抗体,抗Ro抗体(抗SS-A抗体),抗La抗体(抗SS-B抗体)が早期から70%程度の頻度で発現し,一方,抗Sm抗体や抗RNP抗体など疾患特異性の高い抗体は発症直前に出現頻度が増加する.自己抗体が認識する抗原に関しても知見が増えている.アポトーシス細胞は,早期に細胞内構成成分をブレブ(小胞)内に包み込み細胞表面に表出する.そのブレブ表面上には,ヌクレオソーム,Ro,La,リン脂質などが露出する.これらは自己の免疫系に暴露する可能性が高い.本来は,これら死細胞から出てくる破片は生体内網内系において即座に消失するが,何らかの機序(たとえば先天的補体欠損症,マクロファージ機能低下など)によりこの取り込みが悪いか,(強烈な日焼けやウイルス感染症など)短期間に大量に死細胞の破片が体内に出現して処理能力をこえるような場合には,細胞内抗原が長く免疫系に暴露される可能性があり,自己抗体産生に関与する可能性がある.さらに最近,好中球による新規細菌破壊機構(neutrophil extracellular traps:NETs;クロマチンなど核内成分と顆粒内酵素(ミエロペルオキシダーゼ(MPO),プロテイナーゼ-3(PR-3))など細胞質内蛋白が活性化好中球の細胞質内で混合し,細胞死をきたすことで細胞外に排出され,細菌や真菌などを取り込んで破壊する)が知られるようになった.このNETsは細菌類などを破壊すると血中DNaseによって即座に消去されるものであるが,自己抗体などによってNETsがDNaseから保護されたりDNase機能障害をきたしたりするとNETsが体内から消失せず免疫系に暴露されることになる.その結果,その構成物であるクロマチン,DNA,ヒストン,MPO,PR-3などに対して自己抗体が産生される可能性が高まるとされている.実際に,SLEには抗NETs抗体やDNase機能低下状態(自己抗体依存性および非依存性)が存在すると報告されている.また,細菌感染症に伴いSLEが増悪することも説明できる可能性がある.一方,自己抗体-自己抗原による免疫複合体(IC)が産生された場合にも,通常これが臓器沈着や傷害をきたす前に血流から除去する仕組みが存在するが,その機能低下またはICが大量に流出して除去能以上に存在する場合には,臓器傷害に進展する可能性がある.SLEにおけるサイトカインは,Ⅰ型インターフェロンの産生増加が特徴的で,そのため増加する数多くの蛋白(typeⅠinterferon signature proteins)が知られている.さらに,形質細胞様樹状細胞の活性化が発症初期から病態に関与する可能性が指摘されている.
疫学
 SLE罹患者数を正確に示すものはない.たとえば,厚生労働省による特定疾患医療受給者証交付件数からみたSLE患者数は,平成22年度では56254人である(44人/10万人).その数は年々増加していたが,平成21年度からは999人減少していた.受給者証という医療費に関係する申請を基にしていることから,実際の患者数とは多少異なる可能性がある.米国においては25万人以上の罹病者がいるとされるが,人種差があることも特徴的で,たとえばヨーロッパ系アメリカ人女性で人口10万人対90.5人,アフリカ系アメリカ人女性で280人とされる.北部ヨーロッパにおける頻度は40人/10万人程度,アフリカ系人種においてはこれが200人に増加するとの報告がある.アジア人はおよそその中間くらいとされていることから推定すると,わが国にはもう少し患者数が多い可能性も否定できない.日本における患者ピーク年齢は,45〜55歳にある.一方,新規受給者数でみると,女性においては25~30歳にピークがありその前後も多く,発症年齢は若年に多い.男性発症には大きな年齢ピークはない.
病理
 ICの沈着が特徴的であり,皮膚,血管,糸球体などに見られる.
1)皮膚:
蝶型紅斑皮膚生検部の組織学的所見は,基底層の空胞化と濾胞状栓,ムチンの沈着である.蛍光顕微鏡所見にては,真皮-上皮境界線上に,免疫グロブリンと補体の沈着を認める(lupus-band test).
2)腎臓:
組織学的にはおもに糸球体腎炎を認めるが,微小変化からびまん性増殖性病変,硬化性病変まで臨床所見と同様に多彩である.また,腎予後との関係から尿細管間質の病変の存在は重要である.病態の中心であるICの沈着をおもに糸球体係蹄に認める.沈着部位は,基底膜の内皮下または上皮下が多く,特にICの沈着が大量で係蹄壁が厚くなったものはワイヤーループ(wire-loop)病変とよびループス腎炎に特徴的とされる(図10-4-1).免疫蛍光抗体法にて,ICの沈着が糸球体基底膜に沿って顆粒状に染色されるのが特徴的である(図10-4-2).免疫グロブリンの沈着は,IgGのみならず,IgMやIgAも認めるが,IgGの沈着が診断上重要である.2004年に報告されたWHO改訂ループス腎炎組織分類は,治療法選択や予後予測などに有用である(表10-4-2).
病態生理
 おもに,自己抗体によるⅢ型過敏反応(免疫複合体形成による)が臓器傷害の中心的機序となっている所謂全身性自己免疫疾患であるが,この疾患においてみられる特徴的自己抗体は臓器自体を認識するわけ(臓器特異的)ではない.一方,リンパ球,赤血球,血小板など細胞表面上の抗原を認識すると考えられる自己抗体も存在し,これはⅡ型過敏反応による傷害と推定される.自己抗体の産生機序に関しては不明の点が多いが,原因・病因の項に記載した.腎機能障害に関しては,人種間で進行に明らかな相違があり,アフリカ系人種において予後不良が知られており,腎臓自体の脆弱性とも関係する.精神神経障害の機序は多彩で,脳梗塞など脳血管病,自己抗体(たとえば,N-methyl-d-aspartate receptor (NMDAR)のサブユニット(NR2)に対する自己抗体,抗リボソーム-P抗体,抗リン脂質抗体など)による細胞機能障害および細胞死誘導,血管炎(中枢性および末梢性)などさまざまな病態が関与していると推定されている.最近のヨーロッパからの報告によれば,特異的神経精神障害は,脳血管病(おもに動脈硬化性・血栓性で,血管炎によるものはきわめてまれ),認知機能障害(中等度のものは一般的にみられるが,重度の進行性はまれ),痙攣(疾患活動性に相関して単発性が多い),運動障害(コレア),急性混乱状態(acute confusional state:感染症の鑑別が重要),大うつ病および精神病(SLEのみによるうつ病は一般的ではない,精神病はまれ,ステロイド誘導性精神病はきわめてまれ),脊髄症,視神経炎(通常SLEの視神経炎は両側性,虚血性視神経症は片側性),末梢神経症に分類される(Bertsiasら,2010).
臨床症状
1)自覚症状:
全身的症状と特徴的臓器症状に分けて考える.全身的症状(頻度;約50%)としては,持続する発熱,全身倦怠感,食欲低下,体重減少などがある.臓器症状は,傷害部位やその傷害の有無と程度によって異なり,すべての患者が同一の症状を示すわけではなく,きわめて多彩な症状を有する患者の集合体がSLEであると理解するべきである.出現する頻度の高い臓器傷害およびそれによる自覚症状を,表10-4-3にまとめた. 特定疾患臨床個人調査票の解析では,臨床症状には性差がみられ,男性患者では漿膜炎,腎病変といった内臓病変が多く,女性患者では皮膚症状が多い.
2)他覚症状:
 a)心・肺:胸膜炎は,片側性のことも両側性のこともあり,20~30%にみられる.胸痛を示しCRP上昇をきたすことが多い.少量~中等量の副腎皮質ステロイドに反応しやすい.頻度は5%程度であるが,肺高血圧症および肺胞出血(図10-4-4)は治療抵抗性で予後不良である.肺梗塞は,抗リン脂質抗体症候群でみられやすい.非細菌性の実質性肺炎は,ループス肺炎とよばれる.まれであるが間質性肺炎,徐々に横隔膜が挙上してくる収縮肺(shrinking lung)がある.心外膜炎がみられることがある.僧帽弁閉鎖不全をはじめとした弁膜疾患,特に,Libman-Sacks心内膜炎は有名であるがまれ.同様に,比較的まれではあるが心筋炎をきたすことがあり,ときに急激に心機能の低下することもあり注意を要する.長期的予後に関与する虚血性心疾患の頻度は高いが,疾患自体によるものか,治療関連なのか明らかではない.
 b)腎・尿路系:腎障害は,ループス腎炎とよばれ,SLEの病期を通じて約60~70%に何らかの腎障害を認めるとされ,臓器傷害の中でも頻度が高い.SLEの分類基準から,一般にループス腎炎と診断するのは,0.5 g/日(または定性+3)以上の蛋白尿もしくは沈渣において細胞性円柱の存在を認める場合である.その臨床症状は,早期に腎機能の廃絶するものから軽度蛋白尿または潜血尿を示すごく軽症で予後良好なものまでさまざまである.治療に対する反応性も一様ではない.腎機能が正常な早期に腎生検で診断を確定し組織所見に応じて治療方針を決定する.増殖性変化があれば免疫抑制薬を含む適切な治療を行うことで,ループス腎炎の予後は著明に改善されている. 間質性膀胱炎は,ループス膀胱炎とよばれ,まれではあるが進行性の膀胱壁の線維化で膀胱容量の減少を呈し,進行すると両側の尿管拡張や水腎症をきたす(図10-4-5).腹膜炎と合併する場合がある.
 c)神経精神:中枢神経系と末梢神経系のどちらも障害されうる.中枢神経系は,神経学的症状と精神科的症状に分けて考える.頻度の高い症状には,認知障害,頭痛,気分の障害(特にうつ状態)などがある.精神科的症状の一部には,治療のために使用されている副腎皮質ステロイドの影響も無視できない.精神症状をきたすループス精神病の診断には,髄液中IL-6濃度上昇が感度・特意度ともに高いとされている.さらに,近年,髄液中のN-methyl-d-aspartate receptor subunit NR2 に対する自己抗体(抗-NR2抗体)がびまん性中枢神経障害と相関するとの報告がある.末梢神経障害は,多発単神経炎,多発性神経炎をきたす.
 d)眼症状:眼底における細動脈の狭小化・白斑(滲出性),視神経炎などをきたす.またまれではあるが網膜血管炎は急激に失明をきたすことがある.治療の経過では,副腎皮質ステロイドによる,白内障や緑内障の出現に注意する.
 e)消化器系:腹膜炎,腹水をきたすことがある.まれではあるが,おもに血管炎や抗リン脂質抗体による虚血性腸炎,消化管潰瘍や壊死,蛋白漏出性胃腸症(低蛋白血症を呈するが,ネフローゼレベルの蛋白尿が存在しない場合に疑う)などをきたす.軽度肝酵素の上昇を示すことがあり,薬剤性または自己免疫性肝炎による. f)血液系:白血球減少(特にリンパ球減少が多い),慢性炎症性疾患に伴う貧血(鑑別点:MCV低下,網状赤血球低下,血清鉄低下,不飽和鉄結合能低下,血清フェリチン上昇)を示すことが多い.ときに自己免疫性溶血性貧血(鑑別点:MCV正常・ときに上昇,網状赤血球著増,血清ハプトグロビン低値,LDH上昇,間接ビリルビン上昇,直接・間接Coombs試験陽性)を認める.血小板減少(出血傾向を示す程の低下は低頻度)を示すこともあり,まれではあるが経過中に血栓性微小血管症(おもに血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)を呈する.末梢血塗抹標本において破砕赤血球の存在が診断上重要)や播種性血管内凝固症(disseminated intravascular coagulation:DIC)をきたすことがある.頻度は少ないが,血球貪食症候群を認める場合があり予後不良である.
検査成績
1)血液学的検査:
白血球減少,リンパ球減少,貧血(慢性炎症に伴う貧血,自己免疫性溶血性貧血,出血による鉄欠乏性貧血),血小板減少
2)生化学的検査:
低アルブミン血症,肝逸脱酵素上昇,尿素窒素・クレアチニン上昇
3)免疫学的検査:
赤沈亢進(それに比べてCRPが上昇しないのがSLEにおいては特徴的で,CRP上昇は感染症または漿膜炎を疑う),補体価(CH50)低下,C3・C4低下,自己抗体陽性(抗核抗体高値,抗ds-DNA抗体高値,抗RNP抗体陽性,抗Sm抗体陽性,抗SS-A/SS-B抗体陽性,抗リン脂質-β2-グリコプロテインI複合体抗体陽性などは,表10-4-4参照).
4)尿検査:
蛋白(アルブミン)尿(微量からネフローゼレベルまで),潜血尿,沈渣における赤血球,白血球,細胞性円柱,顆粒円柱,硝子円柱などの出現(telescopic sediment).
5)髄液検査:
精神神経ループスにおいて,細胞数の中等度上昇,蛋白軽度上昇,糖低下(示すことがある),IgG上昇(IgG index上昇),IL-6上昇.
6)画像検査:
一般X線検査にて,肺野病変,胸水など漿膜炎,関節病変などを,CT検査によって脳梗塞,肺胞出血,間質性肺炎,漿膜炎(胸水,心囊水,腹水など),間質性膀胱炎を,また,脳波,頭部MRIやSPECTによって神経精神障害をそれぞれ診断またはその一助とする.
診断
1)診断基準:
米国リウマチ学会によるSLEの分類基準(表10-4-5;1997年改訂版)が,臨床での診断基準として広く用いられている.この分類基準は,本来は臨床研究などにおいて治療成績などを比較するため,SLEという疾患に分類する目的で作られたものであり,具体的には,11項目のうち,時間的には異なる時期であっても,計4項目以上を満たせばSLEと分類できる.しかし,性格上早期診断には必ずしも有効ではない.
2)重症度,疾患活動性:
病態の多彩なSLEの病勢を評価し,治療方針を立て,治療効果を判定する上で,重症度を判定し疾患活動性を評価することが必要である.重症度を臓器障害の程度から分類する方法がある(表10-4-6).活動性の評価法は世界的に数多くあるが,米国リウマチ学会のSLAM(全身性ループス活動性評価法)やカナダのトロント大学にて活動性を数値化したSLEDAI(SLE疾患活動性指数)およびイギリスにおける疾患活動性指数(BILAG)が有効とされている.
3)亜型;薬剤(誘発)性ループス:
 a)概念:以前にループスの所見なく,薬剤内服中に,SLEの所見が出現.薬剤中止により数週間以内に改善・消失することが多い.好発年齢は50歳以上,男女比は1:1.
 b)症状:比較的軽い,発熱・関節炎・漿膜炎が多い.抗核抗体は均質型(homogeneous pattern)で,抗ヒストン抗体・抗ss-DNA(変成DNA)抗体・血球減少などを呈する.腎炎・中枢神経症状はまれ. c)原因薬剤:クロルプロマジン,メチルドパ,ヒドララジン,プロカインアミド,イソニアジド,ペニシラミン,キニジン,金剤,抗TNF製剤,インターフェロン-α製剤など.
鑑別診断
 症状,血液検査所見などから,多くのリウマチ膠原病・その類縁疾患,血液疾患,腎臓疾患,感染症および悪性腫瘍などが鑑別疾患にあげられる(表10-4-7).
合併症
1)感染症:
SLE自体による白血球減少・リンパ球減少に加えて,原病に対する副腎皮質ステロイドホルモン薬(ステロイド薬)や免疫抑制薬の使用により白血球(特にリンパ球)減少や機能抑制,IgG低下などをきたし,その結果,感染症発症の危険性や頻度が高い.感染症の内訳は,一般人と同様の感染症(グラム陽性・陰性細菌)とともに,上記免疫抑制状態を背景とした日和見感染症(サイトメガロウイルス,帯状疱疹ウイルス,Pneumocystis jiroveciiなど)である.SLEにおける死因の第1位を占める.近年,免疫抑制療法に伴うB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)再活性化が問題になっている.血清学的には既感染パターンであっても肝細胞内にHBVが潜在している可能性があり,免疫抑制治療によってHBVが出現する危険性が報告されている.このような症例に対してはガイドラインを参考に免疫抑制治療を行う.
2)脳・心血管病変:
脳梗塞や狭心症・心筋梗塞の頻度が高いことが知られており,抗リン脂質抗体または副腎皮質ステロイドによる脂質異常症・高血糖・高血圧,およびそれ以外の理由(疾患自体,生活形態)などによって発症すると推定される.虚血性心疾患は,若年女性においては同世代健常女性の50倍の危険率とされ,SLEの長期生命予後の低下に影響している.
3)大腿骨頭壊死:
副腎皮質ステロイド大量投与患者に高頻度で認められることが知られている.
4)骨密度減少:
副腎皮質ステロイド内服により,骨粗鬆症,脊椎圧迫骨折などの発症が明らかに増える.
5)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
SLEに合併することが報告されておりSLEと同時発症,TTPが先行する場合,またはSLEが先行する場合がある.SLEが先行しTTPが後に発症する場合の予後が不良である.
6)妊娠とSLE:
SLE患者の妊娠は,原病の活動性が少なくとも半年から1年間,維持量の副腎皮質ステロイドで落ち着いている場合には可能である.通常は,妊娠中は胎盤通過性のないプレドニゾロン(PSL)を用いる.腎機能障害や神経精神ループスの活動性がある場合には,妊娠自体が母体へ悪影響を与える.抗リン脂質抗体は習慣性流産を惹起し,抗SS-A抗体(およびそれに加えて抗SS-B抗体)は,新生児ループス,胎児完全房室ブロックおよび子宮内胎児死亡に関与する.
経過・予後
 早期診断,活動性の的確な評価,治療法の進歩により,SLE患者の相当数が部分的にせよ寛解状態に導入されるようになってきた.それにより,ADLやQOLの改善がもたらされている.そして,この50年間でSLEの5年生存率は,50%から90%以上に著明改善を示すに至った.しかし,発症が若年成人であることを考えると,10年生存率が60~90%,15年生存率は60~80%であることは,満足できるものではない.生命予後に関係する病態としては,感染症および脳・心血管病変が主体であり,これらの克服が今後の重要課題である.
治療・予防・リハビリテーション
1)治療法:
病態に応じて治療法を考慮する(表10-4-6).①副腎皮質ステロイド使用が基本である.臓器障害のない軽症の場合には,副腎皮質ステロイドを内服では用いないこともあり(非ステロイド系抗炎症薬や副腎皮質ステロイド局所療法),使用しても,PSL換算にて15 mg程度までである.中等度臓器傷害の場合には,副腎皮質ステロイド中等量(PSL換算で30~45 mg程度まで)を用いる.高度臓器傷害を呈する場合には,副腎皮質ステロイド大量およびステロイドパルス療法,それに加えて免疫抑制薬を使用する.また,副腎皮質ステロイドの減量が困難な症例は,重症度にかかわらず免疫抑制薬の併用が奏効する場合がある.②免疫抑制薬は,傷害臓器によって種類を選択する.たとえば,メトトレキサートは,関節リウマチに対するのと同様な使用法で,主に多発関節炎,皮疹,筋炎などに有効である.シクロホスファミド(公知申請で使用可能)は,おもに間欠的大量静注(エンドキサンパルス)療法にて増殖性糸球体腎炎(WHO分類でクラスⅢ,Ⅳ,およびⅤの一部)の長期予後改善に有効とされ,重症神経精神症状の寛解導入,肺胞出血などにも有効であるが,感染症以外に,早発無月経,出血性膀胱炎,尿路系悪性腫瘍などの副作用が知られている.投与量・方法に関しては,対象人種,プロトコールなどが報告ごとに異なるので,有効性の的確な評価ができていない.アザチオプリン(公知申請で使用可能)は,増殖性糸球体腎炎に対する維持療法として長期的有効性が再評価されている.重篤な副作用は比較的少ないが,肝機能障害,白血球減少などには注意を要する.カルシニューリン阻害薬のシクロスポリンやタクロリムス(SLE適応)は,おもに膜型(クラスⅤ)のループス腎炎に有効と考えられる.ミゾリビン(SLE適応)は,有効性のエビデンスに乏しいが副作用が少なく維持療法に期待される.免疫グロブリン大量静注療法の有効性も症例レベルで報告されている.血漿交換療法は,増殖性ループス腎炎に対して有効性が示されなかったが,難治性の神経精神障害,肺胞出血やループス腎炎などの症例には試みられる.ミコフェノール酸モフェチルは,増殖性ループス腎炎に対してシクロホスファミドと同等の有効性ではあっても勝ってはいなかったため寛解導入療法としては米国で承認されなかった.維持療法に関しては期待される.近年,生物学的製剤をSLEの治療に用いる試みがなされており,2011年にBLysに対する抗体であるベリムマブがSLE治療薬として50年ぶりに米国において承認された.CD20に対する抗体(リツキシマブ)も期待されるが承認には至っていない.さらに抗インターフェロンα抗体も有効性が報告されている.③腎不全症例に対しては,維持血液透析,CAPDなど血液浄化療法と腎臓移植療法がある.腎臓移植の予後に関しては,原発性糸球体腎炎における成績と同一であるとする報告が増えてきている.④感染症の予防には,リンパ球数や血清IgG濃度に応じ,ST合剤の予防的内服,抗真菌薬の予防投与,IgG製剤輸注などを考慮する.⑤副腎皮質ステロイドによる骨密度減少予防に対しては,カルシウムと活性型ビタミンD製剤を,3カ月以上にわたってPSL 5 mg以上を投与される場合には軽度の骨密度減少症例に対しても,アレンドロネートやリセドロネートを使用する.状態に応じて,PTH製剤も考慮する.
2)予防:
現在のところ,発症の危険性を予測する手段がないことから,有効な予防法もない.寛解もしくは軽快している場合には,精神的または肉体的な過度のストレス,日光暴露,寒冷などは増悪の危険性があるため,これらを避ける.[三村俊英]
■文献
Bertsias GK, et al: EULAR recommendation for the management of systemic lupus erythematosus with neuropsychiatric manifestations: report of a task force of the EULAR standing committee for clinical affairs. ARD, 69: 2074-2082, 2010.
Chou JD, Gregersen PK: Genomics and the multifactorial nature of human autoimmune disease. NEJM, 365: 1612-1623, 2011.

出典:内科学 第10版
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六訂版 家庭医学大全科

全身性エリテマトーデス(SLE)
ぜんしんせいエリテマトーデス(SLE)
Systemic lupus erythematosus (SLE)
(子どもの病気)

どんな病気か

 自分自身の体の組織に障害を与える抗体(自己抗体)ができ、さまざまな臓器で炎症を引き起こす病気です。よくなったり(寛解(かんかい))、悪くなったり(増悪(ぞうあく))を繰り返しながら慢性に経過します。日本には約5000人の小児患者がいると推定され、女子が男子に比べ5倍多く発症しています。

原因は何か

 根本的な原因は不明ですが、次のようなことが発病に関係すると考えられています。

①遺伝因子

 白血球の血液型(HLA)には、この病気になりやすい型があることがわかってきています。

 また、若い女性に発症しやすく、双子で同じように発症することがあります。

②環境因子

 外からのさまざまな要因が、不適切な免疫反応を引き起こすと考えられています。発症や増悪のきっかけになるものとして、①ウイルス感染、②紫外線、③薬剤(抗けいれん薬、抗甲状腺薬、避妊薬など)、④妊娠や出産、⑤ストレスが知られています。

症状の現れ方

 自己抗体は全身のさまざまな臓器を攻撃するため、症状は多様です。

①全身症状:発熱、だるい、疲れやすい

②皮膚:日光過敏、両方の頬に赤あざのような斑点が出る(蝶形紅斑(ちょうけいこうはん))、円板状皮疹、脱毛

③関節:関節炎によるはれ、痛み

④腎:慢性腎炎によるむくみ、高血圧

⑤神経:抑うつ、けいれん、頭痛、無意識に勝手に手足が動く(不随意(ふずいい)運動

⑥心臓:心膜炎心筋炎、弁膜症による動悸、息切れ

⑦肺:胸膜炎による呼吸困難、胸痛

⑧消化器:腸炎、肝炎、腹膜炎による腹痛、嘔吐、下痢。口内炎ができやすい

⑨眼症状:視力低下、眼球乾燥

⑩血液異常、免疫異常:病原体に感染しやすく、重症化しやすい

検査と診断

①抗体検査:さまざまな自己抗体、とくに抗核抗体、抗DNA抗体が高率で検出されます。

②血液一般検査:貧血、白血球減少、血小板減少を来します。

③血液生化学検査:肝臓、腎臓の障害などで異常値が認められます。炎症反応は陽性になることが多いです。補体(ほたい)という検査値の低下が特徴的です。

④尿検査:腎炎を合併すると血尿や蛋白尿がみられます。

 そのほか、⑤心臓の検査(心電図、超音波検査)、⑥神経系の検査(脳波、CT、MRI)、⑦腎臓の検査(腎機能検査、腎生検)など、症状に合わせて精密検査が必要になります。

*小児では約8割に腎障害が起こります。また、腎障害の程度で治療が決まることが多く、腎臓の組織を調べる腎生検が必要です。

治療の方法

 治療の目的は急性期の炎症をすみやかに鎮静化させ、臓器の機能を長期にわたり維持することです。治療の基本はステロイド薬です。

①非ステロイド性消炎鎮痛薬:発熱、関節炎などの軽減に用いられます。非常に軽症の例では、この薬のみで治療することもあります。

②ステロイド療法:経口のステロイド薬を最初は多めに使い、症状をみながら減量して、その後一定量を維持していきます。重症の場合にはステロイドパルス療法という、大量のステロイド薬を点滴する方法を行うこともあります。

*ステロイド薬はこの病気の治療に不可欠です。ステロイド薬は副作用を伴いますが、自己判断で中止しないでください。ステロイド薬の副作用としては免疫低下、高血圧糖尿病胃潰瘍、大腿骨の壊死(えし)緑内障(りょくないしょう)などがあり、医師はこれらに注意しながら使っています。ステロイド薬の量や内服方法は必ず医師の指示に従ってください。

③免疫抑制薬:ステロイド薬の副作用が強かったり、ステロイド薬だけでは治療の効果があがらない場合に併用することがあります。内服、点滴などの方法がとられます。

血漿(けっしょう)交換療法:重症の場合では血液を体の外に取り出し、自己抗体や炎症物質をフィルターで取り除く治療を行うことがあります。

病気に気づいたらどうする

 微熱が続く、疲れやすい、関節が痛い、顔が赤くなるなどの症状が続く場合、早めに小児科を受診することが必要です。治療や管理は長期にわたるので、医師の指導のもと、日常生活の過度の制限を避け、なるべく普通の生活を送るよう心がけてください。

 感染、紫外線、精神的・肉体的ストレスは再発の原因になります。バランスのとれた食事と適度な運動を励行し、感染予防、日焼け止めに留意します。

 いわゆる難病のひとつですが、現在では治療の進歩で5年以上生存できる人が95%以上と非常に改善されています。

樋浦 誠

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全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡:SLE)
ぜんしんせいエリテマトーデス(ぜんしんせいこうはんせいろうそう:SLE)
Systemic lupus erythematosus (SLE)
(皮膚の病気)

どんな病気か

 ループスエリテマトーデス(LE)とは、頬などの露出部に特徴的な赤い斑点(紅斑(こうはん))が現れ、徐々に広がる膠原病(こうげんびょう)の総称で、主なものに全身型と皮膚限局型があります。

 LEの語源はループス=狼に咬まれた傷(狼瘡(ろうそう))、エリテマトーデス=炎症性の赤い斑(紅斑)です。皮膚の症状が狼の咬み傷に類似していたためにつけられた病名です。SLEはLEの全身型で、多くの内臓臓器に障害が起きます。

原因は何か

 SLEの発症には遺伝因子と環境因子が関係します。遺伝因子が発症に関係することは一卵性双生児での高い発症頻度(24~69%)、家族内発症が多いこと(一般集団の約10倍)などが根拠ですが、発症に関わる遺伝子は特定されていません。一卵性双生児でももう一人が発症しない不一致率が31~76%であることは、後天的な環境因子の関わりが遺伝因子より大きいことを示しています。

 病気の成り立ちには自己免疫という免疫異常が深く関わっています。自己免疫に関わる要因として、ウイルス感染、性ホルモン、環境因子などが想定されていますが、真の原因は不明です。

症状の現れ方

 発熱、関節痛と皮膚症状で発症することが多い病気です。またSLEの特徴のひとつに日光過敏症があります。最も有名な皮膚症状は、日光に当たったあと、鼻を中心に蝶が羽を広げたように両頬に広がる蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)です。ほかにもSLEの初発皮膚病変は、円板状エリテマトーデス、多形滲出性(しんしゅつせい)紅斑などいろいろな形で現れます。

 このほか四肢先端の血のめぐりが悪くなった末梢循環障害が関係する皮膚症状が多くみられます。レイノー症状は寒冷やストレスにより指の動脈がれん縮して指が真っ白になる症状です。手足が赤紫にはれるアクロチアノーゼ、しもやけ様の凍瘡様(とうそうよう)紅斑などは手足の先や耳介に好発します。四肢では網目状の紅斑(リベド)がよくみられます。

検査と診断

 多くの症状がある病気なので診断基準(表3)を参考にして判断します。

 診断に重要な検査項目は、抗核抗体、抗DNA抗体、抗Sm抗体、血中免疫複合体の検出、補体(ほたい)の低下などです。蛋白尿の有無も腎障害を知るために重要です。

治療の方法

 ステロイド薬の内服がスタンダードな治療法です。効果が不十分な場合には免疫抑制薬を併用します。ステロイド薬を中心とした治療の進歩により、SLEの予後は劇的に改善しました。今では90%以上の人が、通院だけで普通の暮らしができるようになりました。

 日常生活で大切なことは直射日光を避けることです。光線過敏性がはっきりしない人でも、紫外線のUVA/UVB両領域をブロックするサンスクリーン(SPF30、PA+++以上)をしっかり用いてください。

病気に気づいたらどうする

 すみやかに専門医のいる病院にかかってください。関節症状や全身のむくみや倦怠感(けんたいかん)が強い場合はリウマチ膠原病科、顔や手足の紅斑など皮膚症状が主体の場合は皮膚科がよいでしょう。

 日光に加えて、寒冷、感染症、手術、外傷、薬剤、妊娠、分娩、ストレス、過労などがSLEの発症の引き金や増悪因子となるので注意してください。

関連項目

 膠原病

衛藤 光

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全身性エリテマトーデス
ぜんしんせいエリテマトーデス
Systemic lupus erythematosus
(膠原病と原因不明の全身疾患)

どんな病気か

 全身性エリテマトーデス(SLE)は、細胞の核成分に対する抗体を中心とした自己抗体(自分の体の成分と反応する抗体)が作られてしまうために、全身の諸臓器が侵されてしまう病気です。よくなったり悪くなったりを繰り返し、慢性に経過します。1万人に1人くらいが発病し、とくに20~30代の女性に多く、男女比は1対10です。

 多くの臓器が侵されるため臨床所見も多彩で、関節症状、皮疹(蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)円板状(えんばんじょう)紅斑)、中枢神経病変、腎障害、心肺病変、血液異常などがみられます。とくに、中枢神経病変、腎障害があると命にかかわる危険性が高くなります。

原因は何か

 SLEは、抗体を作るはたらきをしているBリンパ球が異常に活性化し、それに伴い産生された自己抗体によって、特有の臓器病変が生じると考えられています。

 SLEの原因はまだよくわかっていませんが、動物モデルにみられるように、複数の遺伝的要因が関与することは確実だと思われます。これは、ヒトでも一卵性双生児でのSLE発症の一致率が約70%と高いことからも裏づけられます。

 こうした遺伝的素因に、何らかの外因(感染症や紫外線など)が加わって発症するものと考えられています。また、女性に圧倒的に多いことから女性ホルモンが関与している可能性も示唆されています。

症状の現れ方

 全身の症状として、発熱、全身倦怠感、()疲労感、食欲不振、体重減少などがみられます。また、皮膚や関節の症状はこの病気のほとんどの患者さんに現れます。

●皮膚・粘膜の症状

 蝶型紅斑(頬にできる赤い発疹で、蝶が羽を広げた形に似ている)が特徴的です。また、顔面、耳、首のまわりなどにできる円形の紅斑で、中心の色素が抜けてコインのようになるディスコイド疹もみられます。SLEでは日光過敏を認めることが多く、強い紫外線を受けたあとに、皮膚に発疹、水ぶくれができ、発熱を伴うこともあります。また、手のひら、手指、足の裏などにできるしもやけのような発疹も特有な症状です。その他、大量の脱毛や、口腔内や鼻咽腔(びいんくう)に痛みのない浅い潰瘍ができたりします。

●関節の症状

 とくに、関節炎で発病する場合には、手指にはれや痛みがあるために関節リウマチと間違えられることもありますが、SLEでは関節リウマチと異なって骨の破壊を伴うことはほとんどありません。

●臓器の症状

 腎症状としては、急性期に蛋白尿がみられ、尿沈渣(ちんさ)では赤血球、白血球、円柱などが多数出現するのが特徴です(テレスコープ沈渣)。糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)ループス腎炎)と呼ばれる腎臓の障害は約半数に現れ、放っておくと重篤となり、ネフローゼ症候群腎不全に進行して透析が必要になったり、命にかかわったりすることがあります。

 心臓や肺では、漿膜炎(しょうまくえん)心外膜炎(しんがいまくえん)胸膜炎(きょうまくえん))の合併が約20%に起こります。間質性肺炎(かんしつせいはいえん)、肺胞出血、肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)は頻度としては低いですが、難治性です。

 腹痛や吐き気がみられる場合には、腸間膜の血管炎やループス腹膜炎(ふくまくえん)、ループス膀胱炎(ぼうこうえん)に注意が必要です。

●中枢神経の症状

 中枢神経症状(CNSループス)もループス腎炎と並んで、SLEの重篤な症状です。多彩な精神神経症状がみられますが、なかでも、うつ状態・失見当識(しつけんとうしき)・妄想などの精神症状とけいれん、脳血管障害が多くみられます。

●その他

 貧血、白血球減少、リンパ球減少、血小板減少などの血液の異常もよくみられます。また、抗リン脂質抗体という抗体がある場合は、習慣性流早産、血栓症、血小板減少に基づく出血症状などの症状を伴い、抗リン脂質抗体症候群と呼ばれています。

検査と診断

 一般的な検査としては、血沈(けっちん)(赤血球沈降速度)、尿、末梢血血液検査、胸部X線、心電図などが必要です。免疫血清検査では、免疫グロブリン、補体などの測定に加えて、抗核抗体・抗DNA抗体・抗Sm抗体・抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体、ループス抗凝血素、梅毒血清反応生物学的擬陽性)といった自己抗体の検査が重要です。

 SLEそのものの診断は、1982年のアメリカリウマチ協会の「改訂基準」(1997年に改変)に照らして行われます。

 SLEの活動性の指標としては、抗DNA抗体と補体が最も鋭敏で、活動性が高いと抗DNA抗体は上昇し、補体は低下します。一般的な炎症のマーカーである血清のC反応性蛋白は、SLEではあまり上昇しません。

治療の方法

 治療の中心は、免疫のはたらきを抑えることと、炎症を止めることで、そのための第一選択薬は副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)です。効果不十分の場合は、ステロイドのパルス療法や免疫抑制薬の併用が行われます。

 こうした治療により、現在SLE全体としての5年生存率は90%を超えています。死因で多いのは、中枢神経障害、腎不全、感染症です。

 治療に際しては、一人ひとりの重症度、疾患活動性を十分に吟味したうえで、薬の種類や量を決定します。一般的にステロイドは、重症の場合はプレドニゾロンを1日60㎎、中等症~軽症の場合は1日20~40㎎から開始します。

 ステロイドによって症状が軽快し、検査データも改善したら減量を開始しますが、急激な減量は再燃を招く危険があるため、慎重にゆっくりと行います。目安としては、2~4週間ごとに投与量の10%を超えない範囲で減量します。最終的には、プレドニゾロン1日5~10㎎を長期間にわたって使用し続ける必要があります。

 初回投与量で効果不十分の場合、または減量中に再燃した場合はステロイドを増量します。これでも不十分な場合は、ステロイドのパルス療法や免疫抑制薬(シクロホスファミド1日50~100㎎、アザチオプリン1日50~100㎎)を併用します。とくに、WHO分類のⅣ型のループス腎炎に対しては、シクロホスファミドの点滴静注(シクロホスファミドパルス療法)が長期予後の面からも有用性が高いことが証明されていますが、副作用として無月経(生殖器障害)があるので、慎重に適応を考える必要があります。

 ステロイドの副作用には、満月様顔貌(がんぼう)消化性潰瘍糖尿病、感染症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などがあります。とくに、ステロイドの内服量が多い間は、ニューモシスチス肺炎などの日和見(ひよりみ)感染に気をつける必要があり、ST合剤の内服やペンタミジンの吸入で予防します。骨粗鬆症はほぼ必発で、プレドニゾロン1日5㎎であっても進行するため、活性型ビタミンD製剤やビスフォスホネート製剤などの予防内服が必要です。

生活指導

 日光暴露(ばくろ)、感染症、妊娠、外傷、手術、薬剤アレルギーなどのSLEの増悪(ぞうあく)因子を極力避けるようにすることが大切です。SLEでは薬剤アレルギーを有することが多いので、原則として主治医以外からの投薬は受けないようにしてください。

 また、感染症を起こした場合でも、決してステロイドを中止してはいけません。これは、長期間にわたるステロイドの内服のために副腎皮質のストレス反応が十分に起きにくくなっているため、中止すると副腎不全を起こしてショック状態になる危険があるからです。

 プレドニゾロンを1日20㎎以下でSLEの疾患活動性がコントロールされていれば、妊娠・出産が可能です。しかし、分娩後に増悪することが多いので、分娩時よりステロイドを一時的に増量します。手術が必要な場合も、分娩と同様にステロイドを一時的に増量します。

 病気の悪化を招いたり、ショックになることがあるので、ステロイドは決して勝手に減らしたりやめたりしてはいけません。

 緊急の災害時にはステロイドを一緒にもって避難できるように、普段から少し余分に持っておいたほうがいいでしょう。

廣畑 俊成

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EBM 正しい治療がわかる本

全身性エリテマトーデス
どんな病気でしょうか?

●おもな症状と経過
 全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は自分の細胞や組織に対して抗体(こうたい)ができ、多くの器官(臓器)」で血管炎をおこす自己免疫性(じこめんえきせい)の病気です。
 もっとも多くみられる症状は関節炎ですが、発病の初期には、発熱、全身の倦怠感(けんたいかん)、食欲不振、体重減少などの症状が現れます。特徴的なのは、左右の頬(ほお)に赤い斑点が広がり鼻の上でつながって蝶の形にみえる蝶型紅斑(ちょうけいこうはん)が現れることです。それと同時に、手のひら、胸、足などの皮膚にも赤い斑点が現れることがあります。
 寒い場所で手の指が白くなって痛みを伴い、そのあとで赤くなるというレイノー現象もしばしば認められます。ループス腎炎、胸膜炎(きょうまくえん)や心外膜炎(しんがいまくえん)、血液の異常(赤血球や白血球、血小板の減少)などを合併することもあります。
 病気に気づかず、放置しておくと生命にかかわりかねないこともありますが、適切な治療を続ければ、十分に一般の生活を送ることができます。
 アメリカリウマチ学会は2012年にSLEの分類基準を改訂しました。臨床症状11項目(皮膚や口腔内の症状など)と免疫6項目(自己抗体など)の中からそれぞれ1項目以上、合計4項目を満たせばSLEと診断されます。(1)

●病気の原因や症状がおこってくるしくみ
 自分の体の細胞や組織などに対して免疫機能が攻撃を加えるためにおこる病気です。ただ、なぜ自分の体の一部を外敵と見なしてしまうかの原因はくわしくはわかっていません。
 遺伝的素因の一致率は、二卵性双生児での3パーセントに対して、一卵性双生児では25パーセントと高く、いまのところ、この遺伝的な要素とともに、ウイルスに感染したり、紫外線にさらされたりするといった後天的、外的要因が加わって発症するものと考えられています。

●病気の特徴
 男性に比べて女性の患者さんは9倍と、女性が圧倒的に多く、しかも20歳~40歳といった若い年代層で発病することが多いのが特徴です。日本では現在SLEは難病に指定されており、公費による治療の対象となります。


よく行われている治療とケアをEBMでチェック

[治療とケア]通常治療では、抗マラリア薬またはそれに加え副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬を用いる
[評価]☆☆☆☆
[評価のポイント] 抗マラリア薬は、全身性エリテマトーデスの活性化を抑えたり、ほかのよい効果があるとされています。(2) 視力低下や筋力低下などの副作用に注意が必要です。副腎皮質ステロイド薬を加えることで、再発予防の効果がある可能性があります。ただし、日本では抗マラリア薬をSLEに使用することはできないため、副腎皮質ステロイド薬による治療が原則となります。

[治療とケア]治療困難な場合は、免疫抑制薬を併用する
[評価]☆☆
[評価のポイント] 抗マラリア薬や副腎皮質ステロイド薬で治療がうまくいかない場合は、免疫抑制薬を併用することでコントロールがよくなる場合があります。また中枢症状(意識障害など)がある場合、中等症以上の腎機能障害がある場合にも使用します。

[治療とケア]軽症例では非ステロイド抗炎症薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] 関節炎、皮疹(ひしん)、発熱だけの軽症例では、非ステロイド抗炎症薬が、これらの症状をある程度抑えると考えられ、一般的に行われています。(3)

[治療とケア]重症の腎炎などを合併した場合は、ステロイドパルス療法や免疫抑制薬を用いる
[評価]☆☆
[評価のポイント] ステロイドパルス療法(点滴静脈注射によるステロイドの大量投与)およびシクロフォスファミドなどの免疫抑制薬による治療が行われる場合があります。通常の内服と比べた臨床研究は少ししかありません。(4)


よく使われている薬をEBMでチェック

副腎皮質ステロイド薬
[薬名]プレドニン(プレドニゾロン)(5)(6)
[評価]☆☆☆
[評価のポイント] 副腎皮質ステロイド薬により重症SLEの患者さんの症状が改善されるという臨床研究があります。

免疫抑制薬
[薬名]イムラン(アザチオプリン)
[評価]☆☆
[薬名]エンドキサン(シクロホスファミド水和物)(7)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 副腎皮質ステロイド薬での治療が困難な場合に、併用して用いられることがあります。

非ステロイド抗炎症薬
[薬名]ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)
[評価]☆☆
[評価のポイント] アスピリンやイブプロフェンと同様、軽症の場合では、炎症や発熱を抑えると考えられ、一般的に用いられています。

ステロイドパルス療法
[薬名]ソル・メドロール(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム)(8)(9)
[評価]☆☆
[評価のポイント] 症状が重いタイプの患者さんで有効なことが示唆されています。


総合的に見て現在もっとも確かな治療法
症状の引きがねとなる環境要因を避ける
 SLEは現在のところ、遺伝的な要素に加えて、ウイルスの感染や紫外線などの後天的、外的要因が加わって発病するものと考えられています。まず、予防対策としてできることは、そうした外的な要因を避けることです。
 紫外線にさらされると皮膚の発赤(ほっせき)を悪化させますし、寒冷な環境はレイノー現象を引きおこしやすいので、皮膚が直接そうした刺激を受けないようにすることが必要です。また、関節などに炎症がある場合は、安静にしたほうがいいでしょう。

副腎皮質ステロイド薬は使い方で期待する効果が違う
 日常生活の予防策を別にすれば、SLEの治療薬は、炎症を抑える薬と免疫異常を抑える免疫抑制薬に大別されます。副腎皮質ステロイド薬は、通常の量では抗炎症作用を期待して用います。点滴静脈注射による大量投与(ステロイドパルス療法)では免疫抑制効果を期待して用います。いずれの使用法も、有効なことが実証されています。

軽症の場合は非ステロイド抗炎症薬を使用
 軽度の関節痛や微熱の場合は、非ステロイド抗炎症薬のみで対応することも少なくありません。副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬でおこる副作用の可能性を考えると、軽症の患者さんでは、できるだけ非ステロイド抗炎症薬で対処するのは理にかなっています。
 しかし、腎炎、赤血球や白血球、血小板の減少といった重症の血液の異常など、生命に直接かかわる臓器の異常をきたした場合には、副腎皮質ステロイド薬のステロイドパルス療法や免疫抑制薬を選択します。

治療法の進歩で予後は良好に
 治療法の進歩により、SLEの予後はかなりよくなってきました。また、理由はよくわかりませんが、数十年前と比べて、軽症の患者さんが多くなってきたように思われます。
 しかし、根本的な原因がいまだ解明されておらず、したがって原因を完全に取り除く治療法はありませんので、医師とよく相談しながら、病気を継続的にコントロールする必要があります。

(1)Petri M, et al. Derivation and validation of the systemic lupus international collaborating clinics classification criteria for systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum 2012 64(8):2677-2686.
(2)Belmont HM. Treatment of systemic lupus erythematosus - 2013 update. Bull Hosp Jt Dis (2013). 2013;71(3):208-13.
(3)Wasner CK, Fries JF. Treatment decisions in systemic lupus erythematosus. Arthritis Rheum. 1980;23:283-286.
(4)Parker BJ, Bruce IN. High dose methylprednisolone therapy for the treatment of severe systemic lupus erythematosus. Lupus. 2007;16(6):387.
(5)Barnett EV, Dornfeld L, Lee DB, et al. Longterm survival of lupus nephritis patients treated with azathioprine and prednisone. J Rheumatol. 1978;5:275-287.
(6)Kaplan D. Systemic lupus erythematosus--corticosteroids. Clin Rheum Dis. 1983;9:601-616.
(7)Bansal VK, Beto JA. Treatment of lupus nephritis: A meta-analysis of clinical trials. Am J Kidney Dis. 1997;29:193-199.
(8)Sesso R, Monteiro M, Sato E. A controlled trial of pulse cyclophosphamide versus pulse methylprednisolone in severe lupus nephritis. Lupus. 1994;3:107-112.
(9)Illei GG, Austin HA, Crane M, et al. Combination therapy with pulse cyclophosphamide plus pulse methylprednisolone improves long-term renal outcome without adding toxicity in patients with lupus nephritis. Ann Intern Med. 2001;135:248-257.

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