●八幡信仰【はちまんしんこう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
八幡信仰
はちまんしんこう
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世界大百科事典 第2版
はちまんしんこう【八幡信仰】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
八幡信仰
はちまんしんこう
全国各地に鎮座する八幡神社または若宮八幡社などの名でよばれる神社信仰。本宮は大分県宇佐(うさ)市に鎮座する宇佐神宮で、八幡大神(はちまんおおかみ)、比売大神(ひめおおかみ)、神功(じんぐう)皇后を祭神とし、八幡大神、八幡大菩薩(だいぼさつ)が信仰の対象。わが国の神社信仰のなかでもっとも普及した信仰で、全国に4万余の八幡社がある。八幡神は一般に戦(いくさ)の神、仏教守護神といわれるが、その信仰の発生、発達は複雑で、海の神、鍛冶(かじ)の神、秦(はた)氏の神、焼畑の神、ハルマンの神などの諸説があった。記紀によると豊前(ぶぜん)国宇佐には宇佐津彦、宇佐津姫がみえ、宇佐国造(くにのみやつこ)が祀(まつ)る宇佐神があった。しかし宇佐八幡宮の縁起には、571年(欽明天皇32)のころ宇佐郡菱形池(ひしかたいけ)辺に奇瑞(きずい)を現す鍛冶翁(かじのおきな)がいて、大神比義(おおがのひぎ)が祈ると、3歳の童児が現れ竹葉を立てて八幡神応神(やはたがみおうじん)天皇の霊であると託宣したとあり、その後は宇佐神は「やはた神」に隠れてしまう。宇佐の特殊神事に放生会(ほうじょうえ)、行幸会(ぎょうこうえ)があるが、その祭祀(さいし)集団をみると、豊前国田川郡と京都(みやこ)郡などの「古代とよ国」と、豊前国上毛(かみつみけ)郡と下毛郡などの「古代やま国」とみられる土地の人々が「やはた神」に神験を奉っている。これが原始からの神事ならば、創祀の地は豊前国筑城(ついき)郡綾幡郷(あやはたごう)あるいは上毛郡山田郷で、のちに宇佐に移ったのかもしれない。司祭者は5世紀には豊国奇巫(きふ)、6世紀には豊国法師らしく、いずれも天皇の治病に参内している。このころ蘇我馬子(そがのうまこ)が大神比義を宇佐に遣わし、「やはた神」に応神天皇の神格を与えたのではないかとみられる。同宮は712年(和銅5)に官社となり、天平(てんぴょう)年間(729~749)の東大寺大仏鋳造に協力してその鎮守となり、以後、国分寺を通じて八幡神は全国的になった。東大寺ができると749年に八幡神に一品(いっぽん)、比咩(ひめ)神に二品(にほん)の神階、翌年、当時最高の封戸(ふこ)1400戸が授けられた。以後国家の大事に関係し、託宣により道鏡(どうきょう)の天位の野望を退けたので、宇佐へ恒例の勅使が続いた。この神に781年(天応1)菩薩号が贈られ、石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)に勧請(かんじょう)されると、皇室の太祖(たいそ)、第二の宗廟(そうびょう)と仰がれた。また、源氏の氏神となり、関東・東北地方に進出し、鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)が勧請されると中世武士の崇敬を受け、「神は八幡」といわれ、全国に勧請された。八幡神は仏教のみでなく当初は道教とも融合していて、山岳信仰との関係が深い。平安時代には、九州に広まっていた母子神信仰と結び付き、神母は人聞(にんもん)菩薩とよばれて安産、農耕、生産などの庶民信仰となり、六郷(ろくごう)山を本拠として豊後(ぶんご)の国東(くにさき)半島に栄えた。
[中野幡能]
『中野幡能著『八幡信仰史の研究』上下(増補版・1975・吉川弘文館)』
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精選版 日本国語大辞典
はちまん‐しんこう ‥シンカウ【八幡信仰】
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旺文社日本史事典 三訂版
八幡信仰
はちまんしんこう
本来九州の宇佐八幡宮に対する信仰で,奈良時代からおこり,中世に普及。宇佐八幡宮が東大寺建立に貢献したことから860年には石清水八幡宮に祭られ,都の守護神として広く崇敬された。平安時代には祭神に応神天皇・神功 (じんぐう) 皇后を加え,伊勢神宮につぐ宗廟となった。のち清和源氏の氏神となり,武神として崇敬され全国各地に分祀された。源頼朝は鶴岡八幡宮を源氏の守護神とした。
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