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公共図書館【こうきょうとしょかん】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

公共図書館
こうきょうとしょかん
public library
一般の人々に公開される図書館。図書館の近代的形態といわれ,1854年に設けられたボストン市立図書館がその嚆矢とされる。図書館の起源は遠くギリシア・ローマ時代,さらには古代エジプトにさかのぼり,日本でも奈良時代にさかのぼるが,近代以前の図書館は文献,資料の保存を主目的とし,その利用者もごく一部の有識層に限られていた。これに対し公共図書館は,初等教育普及背景に生れたもので,一般の人々を対象に,その便宜の拡大に運営の主眼をおいた。したがっておもに公共機関が設置し,無料制をとり,読書案内,リファレンス・サービス,移動文庫,読書会,展示会などの諸活動が積極的に展開される。

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世界大百科事典 第2版

こうきょうとしょかん【公共図書館】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

日本大百科全書(ニッポニカ)

公共図書館
こうきょうとしょかん

図書館法にのっとり、自治体が公的に設置する図書館で、市民のために無料公開される。イギリス、アメリカのパブリック・ライブラリーpublic libraryにあたる。私立図書館、家庭文庫などは公開であっても、厳密な意味では公共図書館に含まれない。「公立図書館」という呼称も使われている。

[藤野幸雄]

歴史

19世紀に入り、イギリスでは読者層の拡大、産業革命の進展により、市民、労働者のための社会教育施設としての図書館の必要が叫ばれるようになった。市民組織としての会員制図書館、労働者のための職工学校の図書室などは公共図書館設立の前史となった。1850年イギリス議会は、W・ユーワトWilliam Ewart(1798―1869)の提出した「公共図書館法」を可決し、ここに自治体の義務設置になる図書館の基盤ができあがった。もっとも古い都市公共図書館はマンチェスターにできた図書館である〔1852年。初代館長E・エドワーズEdward Edwards(1812―1886)〕。

 アメリカでも1848年マサチューセッツ州に図書館法が発布され、1854年にボストン公共図書館が開館された。こうして法的裏づけはできたものの、20世紀に入ってA・カーネギーらの資金援助で一挙に館数が増えるまでは、優れた図書館員の個人的努力に支えられていた。イギリスでも事情は同じであった。19世紀後半から20世紀にかけ、ヨーロッパ諸国は相次いで図書館法を制定した。革命を経たソ連では、1920年代から国家的な図書館事業に乗り出し、その中心は大衆図書館網の建設で、文化省の主要な仕事となった。ソ連崩壊後のロシアにおいても大筋はかわっていない。

[藤野幸雄]

日本

日本では、1872年(明治5)の書籍館(東京)、集書院(京都)の設置で公的図書館が発足したが、法的根拠を得るのは1899年の「図書館令」からで、同令はさらに1933年(昭和8)全面改正され、県立図書館設置のきっかけとなった。書籍館を受け継ぐ帝国図書館は明治以降多くの市民に利用されてきた。しかし、真の民主的機関としての公共図書館は第二次世界大戦後に始まる。1950年(昭和25)の「図書館法」施行で、地域住民のための図書館が各地にできるようになり、公共図書館の館長は司書資格を有することとの1項も含まれた。しかしながら、市町村立の図書館が一挙に出現したわけではなかった。図書館を求める市民の要求や、アメリカ、イギリスの例を学んだ図書館員の地道な活動が重なって、これらを結集した日本図書館協会とその年次図書館大会により、公共図書館の数は漸増を続けた。リポート『中小都市における公共図書館の運営』(1963)は、県立図書館とは異なる地域の中小図書館こそが住民サービスの根であることを示したものであり、たとえば東京都日野市立図書館では、団地を中心とする地域住民に貸出しサービスを広げ、自治体当局に新たな認識を迫るといった動きが現れた。『図書館年鑑2004』によると、日本の公共図書館の館数は2003年(平成15)4月時点で2759館、蔵書総数は3億2181万冊である。

[藤野幸雄]

組織

都道府県にはそれぞれ県立図書館にあたるものが1館ずつある。県立図書館は県内各図書館の中枢の役割を果たし、同時に図書館サービスの行き渡らない地域をも受け持つことになるが、市立図書館の役割を兼ねている県がまだみられる。市町村立の図書館は地域住民に直接接する最前線であり、都市では中央館のほかに分館を設置したり、移動図書館(ブックモビル)を使って全域のサービスを目ざしたりするところが増えている。公共図書館のほとんどは、該当する都道府県、市町村の教育委員会の所轄下にある。館内配置は、成人図書館と児童図書館に分けているところが多い。

[藤野幸雄]

資料

図書館での資料の種類は図書、雑誌だけでなく、レコードなど音の資料、映像資料にもわたる。図書も点字本、大型活字本とその幅が広がっている。そのほか、児童図書館では紙芝居の利用も多い。郷土資料とよばれるものも、各図書館ではコーナーをつくって積極的に集めている。資料の選択・収集については各図書館とも内規をつくっているが、明確な方針を打ち出すことが望まれる。利用者からの要求が重なるので、公共図書館では複本の占める割合は大きい。児童図書は、ある程度消耗品扱いにしなければならない。自由にすべての本に接し、自分で手にとって選べるように資料を配置するところがほとんどになった。

[藤野幸雄]

奉仕活動

図書館利用のための登録、借出しの手続は大幅に緩和されている。貸出し利用が増えたため、コンピュータ処理による公共図書館が増えてきた。利用者の資料要求は、まず受け付けてから検討するようになっている。貸出しと並んで重要な活動は参考業務(レファレンス)で、多くの図書館ではカウンターに専門の係を配している。このほか、展示会、講演会、レコード・コンサートを開催しているところがあり、また児童室の多くでストーリー・テリングなどが行われている。最近では図書館の電算化が進み、蔵書の検索はコンピュータ内蔵の画面で利用できるようになっている。

[藤野幸雄]

ネットワーク

公共図書館は1館では資料を完全に網羅できないので、地域内あるいは広い範囲の協力体制を組まねばならない。東京都の場合、都立中央図書館(東京都港区麻布)があり、区立図書館とその分館があってネットワークを形成する。県立図書館は県内図書館の中心で、国立国会図書館(東京都千代田区永田町)には図書館協力課があって、全国の公共図書館網にサービスできるようになっている。公共図書館間の協力は、技術革新により大いに進み、全国システム、地域システムによる相互貸借、利用が可能となっている。

[藤野幸雄]

図書館の自由

日本図書館協会は1954年の総会で「図書館の自由に関する宣言」を支持決議した。そこには、
(1)図書館は資料収集の自由を有する
(2)図書館は資料提供の自由を有する
(3)図書館はすべての不当な検閲に反対する。図書館の自由が侵されるときは、団結して、あくまでも自由を守る
と定められている。これに基づく「図書館員の倫理綱領」は1980年の総会で決議採択された。アメリカでも「図書館権利憲章」が1948年に決められている。

[藤野幸雄]

『日本図書館協会編・刊『市民の図書館』増補版(1976)』『森耕一著『公立図書館原理』(1983・全国学校図書館協議会)』『森耕一著『公立図書館の歴史と現在』(1986・日本図書館協会)』『藤野幸雄著『現代の図書館――図書館概説』(1998・勉誠社)』『日本図書館協会図書館政策特別委員会編『公立図書館の任務と目標解説 改訂版』(2004・日本図書館協会)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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図書館情報学用語辞典 第5版

公共図書館
第一に,日本の「図書館法」第2条にいう,“一般公衆の利用に供し,その教養,調査研究,レクリエーション等に資することを目的とする”図書館を指す.国内に3,360館(2018年現在)が設置されている.第二に,第一の意味の公共図書館のうち地方公共団体が設置する公立図書館のことを指す場合がある.第一の意味で用いるのが正しいが,「図書館法」においては公共図書館という用語が用いられておらず,かつ私立図書館の数が少ないために,実質的に第二の意味で公共図書館という用語を使う場合も少なくない.第三に,広く不特定の人々に公開されている図書館全般のことを指す場合がある.国際図書館連盟が2010年に発表した『IFLA公共図書館サービスガイドライン』第2版では,公共図書館を,市町村・地域・国レベルのいずれかの行政体や,行政とは異なる形態のローカルな組織(非政府組織や民間の財団等)が設置し,経済的に維持する“コミュニティが運営する組織”であり,地域社会メンバーへの公開性を備えたものと規定している.欧米などでは市場主導型の文化政策の潮流の中で,公共図書館を民営とするケースも少なくない.

出典:図書館情報学用語辞典 第4版
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