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公衆【こうしゅう】

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

公衆
こうしゅう
public
共通の関心で結ばれているが,拡散して組織化されていない集団。ただし,同じく未組織集団であるが,集合密度の高い群衆とは対照的に区別される。 G.タルドによれば,群の場合,その成員が空間的にまた物理的に近接していなければ存在できないのに対し,公衆は分散して存在することができ,コミュニケーション手段の進歩により間接的接触で集団を形成する。また群衆が成員間の一つの共通関心にのみ自己全体を没入するのに対し,公衆は成員間に共通な関心の対象をもちながら,一つのもののみにとらわれることなく,同時にいくつかの公衆に自己を分割できるとしている。

出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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デジタル大辞泉

こう‐しゅう【公衆】
社会一般の人々。
社会学で、伝統や文化を共有し、共通の識見をもち、公共的なものに関心をもつ不特定多数の人々。→群集大衆

出典:小学館
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世界大百科事典 第2版

こうしゅう【公衆 public】
メディアを用いたコミュニケーションで結ばれている人間集団。ル・ボンが〈現代は群集の時代だ〉と否定的に規定したのに対し,タルドが〈現代は公衆の時代だ〉と反論し,公衆を社会学,社会心理学の用語にした。タルドにおける公衆のイメージは〈拡散した群集〉であり,したがってタルドは公衆にも,群集についてと同様,情緒的・非合理的・付和雷同的などのレッテルをはっている。ただし公衆は群集と違って烏合の衆ではない。散らばっていて,同一のメディア(タルドが実際に念頭に置いていたのは数千部,せいぜい数万部の――どちらかというと党派性の強い――政治新聞)で結ばれているだけだから,ときには党派的意見,偏見センセーショナリズム扇動で暴発することもあろうが(そのときには群集として行動するだろう),もっと冷静に判断し,行動する余地もある。

出典:株式会社平凡社
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大辞林 第三版

こうしゅう【公衆】
社会一般の人々。
社会学で、一時的に集合した「群集」に対して、分散的に存在し、メディアを通じて世論を担う人々。 哲学字彙(1881年)に英語 public の訳語として載る

出典:三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)

公衆
こうしゅう
public 英語 フランス語
群集crowdと対比される概念。公衆の古典的定義を提示したのはフランスの社会心理学者G・タルドである。公衆とは「純粋に精神的な集合体で、肉体的には分離し心理的にだけ結合している」社会的集合体であって、「公衆の成立は、群集の成立よりもずっと進んだ精神的、社会的な進化を前提とする」と、彼は述べた。タルドの概念化した公衆の特徴は次のようなものであった。
(1)公衆は間接的接触の集団である。
(2)公衆は地域的に拡散し、無限の広がりをもつ集団である。
(3)人々は多数の、ときに相対立しあう公衆に同時に所属することができる。
(4)公衆を結び付ける紐帯(ちゅうたい)は彼らの信念と感情の類似性とともに、その信念と感情を共有しあっているという各自の自覚である。
(5)公衆は信念と思想に基づき行動し、知性的である。
(6)公衆はジャーナリズムの発達とともに成立する。
 タルドの公衆論は多分に散文的であったし、その公衆概念が群集の尾(びていこつ)を引きずっていたことも否定できない。民主主義社会における世論public opinionの担い手としての公衆の理念像を鮮やかに描き出したものとして、アメリカの社会学者C・W・ミルズの論述が光っている。彼は公衆社会の特徴として、以下の点を指摘した。
(1)意見の受け手とほとんど同程度に多数の意見の送り手がいること。
(2)公的に表明されるいかなる意見に対しても、ただちに効果的に反応できる機会を保障する公的コミュニケーションが存在すること。
(3)自由な討論を通じて形成される意見を効果的な行動に、必要な場合には支配的権威秩序に対抗する行動として実現できる回路が制度的に組み込まれていること。
(4)制度化された権威が公衆に浸透しておらず、公衆としての行動に多かれ少なかれ自律性が保たれていること。
 ミルズは公衆の主体性、自律性、能動性をひときわクローズアップさせた点で、タルドの公衆概念をより精緻(せいち)化したといえよう。
 だが、同時に、ミルズは公衆を大衆massとの対比においてとらえ、「公衆の大衆への転化」を現代社会の主要な趨勢(すうせい)であると主張していることも見落とせない。「公衆は大衆となり、さらにときとしては群集となる」。好むと好まざるとにかかわらず、現代社会は公衆の新たなる群集化というパラドックスに直面せざるをえないのである。他方、ポストブルジョア市民社会の普遍的展開とともに、公衆は「市民」としてよみがえり、概念的再構築化が企図されつつあることにも注視すべきであろう。[岡田直之]
『C・W・ミルズ著、鵜飼信成・綿貫譲治訳『パワー・エリート』上下(1958・東京大学出版会) ▽ジョン・デューイ著、阿部斉訳『現代政治の基礎――公衆とその諸問題』(1969・みすず書房) ▽坂本義和著『相対化の時代』(岩波新書) ▽佐伯啓思『「市民」とは誰か――戦後民主主義を問いなおす』(PHP新書) ▽ガブリエル・タルド著、稲葉三千男訳『世論と群集』新装版(1989・未来社)』

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

こう‐しゅう【公衆】
〘名〙 社会一般の人々。世間の人々。大衆。社会学的には、新聞、ラジオなどを媒介とする間接的な接触によって成立し、一定の意見(世論)を形成しうる集団をいう。同一の関心で同一時に、同一の場所に集合し、類似した反応を一時的に表示することによって成立する群集とは区別される。また、主体的合理的に判断して行動するものとされ、受動的、非合理的に判断し行動する「大衆」と区別されることがある。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一一「ペスタローヂ〈略〉有名なる学校の師にして公衆惣体の学識を開かんことに心を用ひし人なり」

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