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共感【キョウカン】

デジタル大辞泉

きょう‐かん【共感】
[名](スル)他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。「共感を覚える」「共感を呼ぶ」「彼の主張に共感する」

出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
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世界大百科事典 第2版

きょうかん【共感】

出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.

大辞林 第三版

きょうかん【共感】
スル
他人の考え・行動に、全くそのとおりだと感ずること。同感。 -を覚える 彼の人生観に-する
sympathy 他人の体験する感情を自分のもののように感じとること。
empathy感情移入かんじよういにゆう

出典:三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)

共感
きょうかん
empathy
他人が喜ぶのをみるとともに喜び、他人が悲しむのをみるとともに悲しむというように、他人と同じ感情をもつことをいう。この場合、ある人(他人)がまずある感情を体験しているということが前提条件で、その感情の表出を観察者(自分)がみて、自分も同じような感情を体験することをいう。他人がどのような感情を抱いているかを観察しないで、たぶんあの人は悲しんでいるであろうと自分かってに推測して、悲しんでみせるというのは共感とはいえない。また、他人が悲しみの情動を体験しているのを確かに理解できても、自分は悲しくなれないというのも共感ではない。ある人とともに悲しむためには、自分もその人と同じような悲しい体験をしていることが必要ともいえる。親を失った人の悲しみは、自分も親を失って悲しい体験をしたという人によって初めて共感できるというように、ある感情への共感は、その感情についての先行体験が必要条件ということができる。カウンセリングや心理療法などで、カウンセラーは来談者を共感的に理解しなければならないとされているが、共感はこのような専門領域における対人関係だけではなく、一般の日常生活においても人間関係を円滑にしていくために必要なことである。なお、同じ英語のempathyの訳として、感情移入ということばがある。共感は人と人との間に限定されるのに対して、感情移入は人と物との間に存在することもあるとか、共感はまず他人の感情体験が前提であるのに対して、感情移入はまず自分の現在における感情体験が前提になっているなど、両者を区別して定義づけようとしているものの、実際には混同して用いられることも多い。[花沢成一]

出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典

きょう‐かん【共感】
〘名〙 他人の考え、主張、感情を、自分もその通りだと感じること。また、その気持。同感。
※教育・心理・論理術語詳解(1885)「同情〈略〉彼の同病相憐むと云ふも亦此の意に外ならず。之を共感又は同感と訳するもあり」

出典:精選版 日本国語大辞典
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最新 心理学事典

きょうかん
共感
empathy(英),Einfu¨hlung(独)
共感とは,他人の気持ちや感じ方に自分を同調させる資質や力を意味する。すなわち,他人の感情や経験を,あたかも自分自身のこととして考え感じ理解し,それと同調したり共有したりするということである。その結果,ヒトは他人のことをより深く理解することができる。

 定義については,澤田匡人(1992)によると,20世紀初頭にドイツの哲学者リップスLipps,T.(1903,1905)が,芸術に心を揺り動かされる(美を享受する心の感動)プロセスをEinfühlung(感情移入)の概念を用いて説明し,心の中で他人と自分を融合する心理学概念として,広義にとらえたことが始まりと考えられている。その後,アメリカでティチェナーTitchener,E.B.(1909)によってempathy(共感)へと訳されているが,類似した用語であるsympathy(同情)が,悲痛や失敗など困難な経験やネガティブな状況にある他人を心配する感情に限定されるということで,ポジティブな意味合いでも用いられる共感とは区別される。

 ヒトが他人の気持ちを理解しうるのかということに関して,個人の感情を別の個人が推測することは可能であるが,それは主観が別の主観を解釈しているに過ぎず,正確である保証はない。このように共感という心理プロセスからは,曖昧性を排除することが難しいが,心理学ではこれを哲学的な人間性humanityの基礎にあるものとして理解しながら,大きな三つの流れで研究を行なってきた。

①哲学あるいは現象学的な流れを受け,ヒトが共感することの意味を探究。それを基にヒトの理解に役立てようとする人間学的心理学や臨床心理学の立場。

②進化的な考え方を主とし,共感という情動システム(モジュール)や対人認知システムの発達に注目する発達心理学,進化心理学,社会心理学の立場。

③ヒトの脳やホルモンが,共感という能力を作り出すメカニズムを解明する神経心理学や脳科学の立場。

【臨床心理学における共感】 臨床心理学の立場からは,ロジャーズRogers,C.R.(1975)のカウンセリング理論の中核をなす共感的理解がある。元来,カウンセリングにおけるクライエント理解には,二つのプロセスが並行して存在すると考えられる。一つは,カウンセラー(治療者,あるいは援助者)がクライエント(相談者,あるいは利用者)について,診断的に客観的な事実や情報を収集する知的(外的)なプロセスである。他の一つは,クライエントが経験している心の内容を,カウンセラー自身もクライエントと同じ立場で感じ(共感し),あるいはカウンセラー自身の経験などを参考にして主観的にとらえるという感情的(内的)プロセスである。

 臨床心理学において,前者にウエイトをおく伝統的精神分析学では,報告された過去の事実(幼児体験など)が重視されるが,後者ではクライエントが抱いている現在の感情やカウンセラーの共感感情が治療の中核とされる。ロジャーズによる共感とは「セラピストが,クライエントの内的世界を,あたかも自分のものであるかのように感じ取る」こととされ,その経験が治療を促進すると考える。このように,他人の気持ちや考えを共有し同調する共感こそが,治療に必須な条件であると考えられている。

【進化心理学における共感】 進化心理学では,ヒトが共感システムをどう獲得してきたのかが検討されている。すなわち,系統発生的には,原モグラが樹上生活する原猿(=サル)への進化過程で,環境の変化や捕獲者による脅威に対して,生存や防衛のシステムを改善しながら環境適応を果たしてきたが,最初は樹上にニッチを見つけ,昆虫や樹脂を食資源として利用した。その後,果実や葉を食用とすることで身体を大型化させ,危険がいっぱいの地上に降りた。そうして捕食者に対抗する防衛手段として進化させたのが,集団行動であった。集団は個体間にストレスを発生させるが,これを低減し,親和行動を促進させるために発達させたのが,多様な情動である。また,身体の大型化に伴って脳の容量も増加し,他の個体の心を読みとる認知システム(心の理論theory of mind)が進化した。こうして霊長類は,ダンバーDumber,R.I.M.とバートンBarton,R.A.(1997)が仮説を立てたところの社会脳social brainを進化させた。

 同様に,サルから進化したヒトも情動と認知のシステムを駆使して,必ずしも弱いとは限定できないが,子どもに対して情緒的にも認知的にも共感する。動物行動学者アイブル・アイベスフェルトEibl-Eibesfeldt,I.(1972)によれば,共感性は生得的なものであり,同種の他個体に対する援助メカニズムであると考えている。これに従えば,子どもへの愛や信頼である子育てや親子の愛着が容易に説明できる。さらに,この共感のメカニズムこそが,動物同様ヒトが有していた攻撃性に歯止めをかけ,その結果,ヒトが集団行動や絆を形成する基盤となると考えられる。このように考えると,共感は,子育てという直接的な遺伝子複製を超えて,集団生活をする他個体に対してヒトがもつ利他的行動(間接的な互恵性)や道徳性とも関連する。ヒトが他個体を認識し,他人の心の理論を把持し,それに基づき親和的な社会生活をするうえで,共感による基盤は必須なものと考えられる。

【神経心理学における共感】 脳研究からは,意思決定や注意などの認知機能をつかさどる前頭葉のACC(anterior cingulate cortex)とよばれる前帯状皮質領域が,共感や情動などにかかわっているとされる。この領域は,自分が痛みを感じている場合にも,また自分が見ている他人が痛がっている場合にも同じように活性化することから,ミラー・ニューロンとよばれている。この他者の行為を心的に模倣しているときに活性化するモジュールの存在は,リゾラッティRizzolatti,G.によるサルを使った実験で判明したが,イアコボーニIacoboni,M.たちの研究などからヒトにも存在することがわかり,ヒトの共感メカニズムの脳科学的基盤が示唆された。すでに生後数時間の赤ん坊が親の表情を模倣する(共鳴動作postural echo)システムの存在は,メルツォフMeltzoff,A.N.(1977)らにより確認されており,このような自動的な表象システムの存在は生得的であることは疑う余地もない。

 ただ,共感が前帯状皮質でのミラー・ニューロンと関連している事実があるものの,ヒトの情動基盤は,より深い大脳辺縁系にある扁桃体が担っている。また,その中間に位置する島皮質の役割も重要であり,これらの関連が解明されているとはいいがたい。したがって,共感できないのは,ミラー・ニューロンが存在する前帯状皮質異常によると結論づけるのは無理があり,前頭葉と辺縁系の認知や情動メカニズムの両方が関連していると考えるのが妥当である。

 以上のように,共感は認知と情動に関連するシステムと考えられる。共感の生得性を主張するホフマンHoffman,M.L.(1979)は,乳児のもらい泣きを情動伝染と考え,情動が伝染される結果,受け手には共感的苦痛が生じるとして,情動の重要性を主張した。このように共感は,脳の認知メカニズムや心の理論との関連が強調されているが,現時点では共感を一つの物差しや定義で説明することは難しい。なお,最も頻繁に使用されている共感の評定尺度は,デービスDavis,M.H.(1980)による対人反応性指標interpersonal reactivity index(IRI)である。最近取り組まれている脳の特定領域での活動量を調べる研究以外では,共感がテストステロンやオキシトシンなどの脳内ホルモン量とも関連することが報告されている。このように共感のメカニズム解明に関する脳研究も歴史が浅く,今後の研究が期待されている。 →情動と進化 →神経系
〔亀島 信也〕

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