●兵農分離【へいのうぶんり】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
兵農分離
へいのうぶんり
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
Copyright (c) 2014 Britannica Japan Co., Ltd. All rights reserved.
それぞれの記述は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
デジタル大辞泉
へいのう‐ぶんり【兵農分離】
出典:小学館
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:田中牧郎、曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
世界大百科事典 第2版
へいのうぶんり【兵農分離】
出典:株式会社平凡社
Copyright (c) Heibonsha Limited, Publishers, Tokyo. All rights reserved.
日本大百科全書(ニッポニカ)
兵農分離
へいのうぶんり
太閤(たいこう)検地によって推進された近世における身分制度と階級支配の基本政策。太閤検地以前、武士は農村に根拠地を置き、個々の農民を直接支配し、農業生産にも関与していた。また、農民も下剋上(げこくじょう)を通じて武士化することもあり、兵農は未分離であった。太閤検地はこの関係を断ち、武士と農民の関係を次のように整理した。第一に、武士は農業生産そのものに直接かかわることなく、個々の武士が個々の農民を個別的に支配することはしない。第二に、武士は農村から離れて城下町に集住し、支配階級としてまとまり、農民から連帯責任制などの経済外強制を通じて、米を中心とした生産物地代を搾取する(米納(べいのう)年貢制)。第三に、年貢米(生産物地代)を取り立てた大名は商人を通じてそれを換金し、必需物資を購入したり、家臣団の維持費を捻出(ねんしゅつ)する。以上の体制全体を兵農分離という。
次に兵農分離が貫徹される過程をみると、兵農分離は畿内(きない)・近国における惣村(そうむら)や在地領主制の解体によって体制化された。畿内・近国では、生産諸力の先進性を基礎とし、長百姓(おとなびゃくしょう)、有力名主(みょうしゅ)、地侍(じざむらい)などとよばれる小領主層の手作(てづくり)経営地が縮小し、それにかわって、平(ひら)百姓の自立化に基づく請作経営地が広まった。これにより、小領主層は、事実上生産過程から遊離し、小農生産に寄生するようになる(加地子(かじし)領主化)。豊臣(とよとみ)秀吉はこれら小領主層の農民支配権を奪い、彼らを家臣団に組み入れ、武士身分として確定した。この方式を秀吉は太閤検地の全国的施行のなかで推し進めた。これに対し、九州や東北では、在地領主層が農民支配の特権を奪われることに反対し、配下の農民まで率いて一揆(いっき)を起こすこともあった。秀吉はこれを鎮圧するとともに、1588年(天正16)刀狩(かたながり)令を出し、農民の武器所持を禁じ、農民は農業に専念すべきものとした。かくて武士と農工商身分は分離され、身分間の移動は禁止されることとなった。それとともに秀吉は、国内統一戦争と朝鮮侵略を通じ、長期長途の戦いに耐えうる兵農分離した武士団の創出を諸大名の領国に強制した。
[北島万次]
『山口啓二著『幕藩制成立史の研究』(1974・校倉書房)』
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの解説は執筆時点のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
精選版 日本国語大辞典
へいのう‐ぶんり【兵農分離】
出典:精選版 日本国語大辞典
(C)Shogakukan Inc.
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
旺文社日本史事典 三訂版
兵農分離
へいのうぶんり
中世まで,武士は有力名主 (みようしゆ) として平素は農業経営の主体となり,また室町時代以来土一揆が頻発して農民は武器をおびて行動するなど,武士と農民の区別がしにくかった。しかし農業生産力の向上という背景の中で,武士はしだいに支配者たる地位を強化し,特に戦国の群雄割拠の中で,武士の城下町居住の傾向が生じた。豊臣秀吉は全国統一と土地・人民の掌握のため検地・刀狩を行い,武士と農民の身分を明瞭に区別し規定した。かくて農民は土地にしばりつけられ,支配階級に対し年貢を納めることを任務とするようになり,武士は大名の家臣として行政・軍事上の任務を負うことになり,江戸時代の四民(士農工商)の区分の基礎を形成した。
出典:旺文社日本史事典 三訂版
執筆者一覧(50音順)
金澤利明 竹内秀一 藤野雅己 牧内利之 真中幹夫
Copyright Obunsha Co.,Ltd. All Rights Reserved.
それぞれの項目は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
「兵農分離」の用語解説はコトバンクが提供しています。
●兵農分離の関連情報