●凍傷【とうしょう】
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
凍傷
とうしょう
frostbite
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デジタル大辞泉
とう‐しょう〔‐シヤウ〕【凍傷】
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家庭医学館
とうしょう【凍傷 Frostbite】
低温により血流が停滞し、組織液や細胞が凍結して壊死(えし)するものです。
[症状]
症状の程度は、第Ⅰ度から第Ⅳ度に分けられています。第Ⅰ度は鼻の頭、指先、耳介(じかい)、頬(ほお)などの突出部が紫藍色(しらんしょく)になり腫(は)れるものです。第Ⅱ度は水疱(すいほう)、血ぶくれになり、びらんを生じるものです。皮膚の感覚は鈍くなります。第Ⅲ度は、壊死をおこした重症状態です。さらに重傷の第Ⅳ度では壊死が筋肉や骨に達し、指趾(しし)(手足の指)が脱落することもあります。
徐々に患部を加温します(「凍傷になったときの手当」)。寒冷地では保温に努めましょう。
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世界大百科事典 第2版
とうしょう【凍傷 frostbite】
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日本大百科全書(ニッポニカ)
凍傷
とうしょう
congelation
frostbite
寒冷の作用によっておこる皮膚病で、一般に手足の指の末端、手足の背面、耳たぶ、鼻の頭、頬(ほお)など身体の末端露出部に好発する。寒冷度の強弱、作用時間の長短、患者の抵抗力などによって病状は左右され、その程度によって第一~三または四度まで区分される。第一度は紅斑(こうはん)性凍傷ともいい、寒冷の作用により最初は末端部への血液の流れが停滞して局所性貧血がおこり、患部の皮膚は蒼白(そうはく)となって多少の疼痛(とうつう)ないしは知覚異常をきたす。寒冷作用がこの時期に中断されると、反射的に充血がおきて皮膚に炎症性潮紅(ちょうこう)を生じ、紫藍(しらん)色の浮腫(ふしゅ)性潮紅をきたす。第二度は水疱(すいほう)性凍傷ともいい、寒冷作用が中断されずに継続すると、皮膚はその蒼白色調をさらに加える。温熱あるいは摩擦によって血行がふたたび開始されると、激しい痛みがおこるとともに皮膚は暗紫色に腫脹し、直後あるいは数時間後に水疱を生ずる。水疱には血液が混じることが多い。疱膜が破れるとびらん面(ただれ)を露呈し、また痂皮(かひ)(かさぶた)を生ずる。第三度は壊死(えし)性凍傷ともいい、強度の寒冷が長時間作用した場合におこり、血液の流通はまったくなくなるとともに、組織成分自体も寒冷の作用を受けて崩壊し、その部分の組織壊死をきたして潰瘍(かいよう)(深い傷)をつくる。ときに軟組織のみならず骨をも侵され(第四度)、罹患(りかん)部全体が壊死性となり脱落することがある。
凍傷の治療としては従来ゆっくり暖めることが推奨されてきたが、悪化する可能性があるため現在はなるべく早く40~42℃の湯につけて暖めることが推奨されている。これは高度の疼痛を伴うため、鎮痛剤、鎮静剤あるいは麻酔剤の使用が必要となる。その後、軽度の凍傷に対しては副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤含有クリームまたは軟膏(なんこう)塗布が有効である。水疱形成がある場合、疱膜はそのままにして注射器などで内容を除去し、二次感染がある場合は疱膜を除去したのちに、軟膏を貼布(ちょうふ)し保護する。抗生剤は二次感染が生じた時に投与する。壊死性変化がある場合には、患部の境目である分界線が生じたのちに初めて外科的処置を行う。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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精選版 日本国語大辞典
とう‐しょう ‥シャウ【凍傷】
出典:精選版 日本国語大辞典
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六訂版 家庭医学大全科
凍傷
とうしょう
Frostbite
(皮膚の病気)
どんな病気か
寒冷による凍結によって起こる皮膚や皮下組織の障害で、その障害の程度は寒冷の強さや作用時間によって異なります。
血液の凝固あるいは血管の収縮・閉塞なども関係すると考えられています。冷たい金属との接触では部分的な凍傷を起こすこともあります。
症状の現れ方
受傷直後は、皮膚は白い
重症度によって4段階に分けられ、1度では発赤と
検査・治療の方法
診断のための特別な検査はありません。
できるだけ早く、40~42℃程度のお湯で患部を暖める必要があります。壊死が起これば、除去手術や四肢の切断の必要がある場合もあります。
応急処置はどうする
なるべく早く暖めるのがよいのですが、暖めると強い痛みが生じるので、その時は鎮痛薬を使用したほうがよいでしょう。全身的な体温の低下がある場合は、温かい飲み物を飲ませるのも効果があります。
堀川 達弥
出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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凍傷
とうしょう
Frostbite
(外傷)
どんな外傷か
高温の場合でなくても、低温でも組織の傷害は起こります。極端な寒冷による皮膚や皮下組織の傷害を凍傷と呼びますが、凍傷も熱傷に似た皮膚の物理化学的傷害であるといえます。
通常、凍傷は寒冷地などで長時間低温にさらされることにより組織が凍結し、さらに解凍することにより組織の傷害が起こります。このような場合には、皮膚ばかりでなく皮下組織や血管などの深部組織にも傷害が及ぶのが普通です。凍傷は体のどの部位にも生じますが、とくに手、足、鼻、耳が傷害を受けやすい部位です。
症状の現れ方
組織が冷気にさらされると、まず血管が収縮します。皮膚の温度が25℃にまで下がると、組織の活動に必要な酸素が不足するため、チアノーゼ(暗紫色)状態になります。皮膚の温度が15℃にまで下がると、逆にピンク色になります。
このころより組織の傷害が始まり、皮膚の温度がマイナス4℃になると凍傷が起こります。これは組織の水分が氷結し、シャーベット状になった状態といえます。
自覚症状は、ピンか針で突つかれたような感覚から始まり、その後しびれを感じるようになり、さらに進むと白色で冷たく硬くなり、感覚がなくなります。この状態で傷害部を温めると、
傷害が皮膚とその皮下組織にとどまっていれば、完全に元の状態に回復することができます。しかし、血管が傷害を受けてしまうと傷害は不可逆的なものになり、
応急処置はどうするか
傷害部をぬるま湯(決して熱くないように)に浸して、15~30分ほど温め、温かいお湯を注ぎ足してお湯の温度を保つようにします。耳、鼻、頬などは温かい布であてがうようにします。また、傷害部をこすったり、動かして温めるようなことは行わないようにします。
温めているうちに、焼けるような痛みとはれや変色が始まるので、皮膚が軟らかくなり血色がもどったら、温める必要はありません。
凍傷の場合には、通常は全身も冷えて低体温の状態になっています。低体温かどうかを必ず確認して、まず寒気を避けて暖かい場所に移し、貴金属類や濡れた衣類はすべて取り除き、全身を温めるなどの処置が必要になります。
佐々木 淳一
出典:法研「六訂版 家庭医学大全科」
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